岩瀬仁紀が全投球を徹底解析!根尾昂の現状と今後の課題
「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム
6月26日放送回のサンドラでは、投手転向に舵を切った根尾昂の全投球を岩瀬仁紀氏がチェックし、分析していきます!根尾投手の"強み"や"今後の課題"に迫ります。
ジャイアンツ戦(6/19)
vs岡本和真 1球目149kmストレートのあと、136kmのスライダーを空振り。スライダーで追い込んで高めのストレートで空振り三振
「スライダーは手元に来てから曲がるので、バッターが空振りしますよね。(曲がり方は?)斜めですね。高めのボールで空振りが取れるっていうのは、150km出ていてもなかなか取れるピッチャー少ないので、これはすごい良いことですよね。(4番の岡本から三振を奪ったことについて)逆に岡本選手だから。長打を狙うバッターにとっては、あの高め(の直球)は空振りが取れます。」
スワローズ戦(6/22)
vs長岡秀樹 1球目147kmストレートでセカンドゴロ
vs川端慎吾 1ボール2ストライクからの4球目スライダーをセカンドゴロ
vs塩見泰隆 岩瀬氏が今まで見た中で一番良いというストレートで追い込み、自己最速152kmの高めのストレートで空振り三振
「(フォームで気になる点は?)野手からピッチャーになったばっかりなので、どうしても上半身が強いですよね。上半身がもう少し下から入っていくと、もっと良いボールが投げられると思います。(調子がいい時のバロメーターは?)ストレートがあまりシュート回転しない時ですかね。(空振り三振を奪う)高めのボールは威力がありますよね。」
タイガース戦(6/25)
vs佐藤輝明 2球目に投じたストレートはシュート回転した危ないボールだったが、打者に差し込みファーストゴロ
vs大山悠輔 置きに入ったスライダーを特大ファールにされた後、5球目のストレートをライト前ヒット
「この日は調子が悪く、身体の開きが早いのでボールが全部抜けている。大山選手に投げた最後の球も差し込んではいるんですけど、シュート回転して甘く入っている分ヒットになりましたよね。」
vs糸原健斗 調子の悪さゆえ置きにいったボールが初球から3球連続でストライク入らず、カウント持ち直すも結局フォアボール
「糸原の打席から置きにいってるんですよ。置きにいくっていうことは、抜けるボールもあるし、引っ掛けるボールもあるということ。だからこの日の根尾投手ははっきり言って調子が良くないです。(悪いときはマウンドで修正できるもの?)普通は、自分の悪いところをわかっているんで、今日は身体の開きが早いとはわかっているんですけど直し方がまだわからないので、悪い中で良いボールを投げようとしているかたちしか見えないですね。」
vs小幡竜平 1ストライクの後、3球連続ボールで5球目のストレートをレフト前ヒット
「カウントを悪くして、置きにいったところを打たれたというボール。自分がしっかり腕を振って投げて打たれたボールじゃないので、腕をしっかり振ってストライクを取れるように今後はしていかなきゃいけないですね。」
vs梅野隆太郎 ボールが抜けたり、引っ掛けて、カウントを悪くしてしまったがキャッチャーフライ
vs伊藤将司 コントロールを重視してストライクをとりにいき見逃し三振
「梅野選手の打席は打ち取ったんですが、たまたまシュート回転しすぎたおかげ。梅野選手が逆に詰まってしまってポップフライになっています。ピッチャーの伊藤将投手の打席は、もう全部置きにいっています。ちょっと力を抜いてストライクをとにかく取りにいっている。この阪神戦で初めて悪い姿を見たので、悪い姿をいかに出さないようにしていくかっていうのが課題ですよね。」
初失点の根尾投手のコメントは
「(ストライクを)取りにいったボールを打たれてしまったので自分のボールをしっかり投げたい。」
立浪和義監督
「どれくらい通用するか見たかったので、あえてクリーンアップのところをいかせたが、ボール自体があまり良くなかった。打たれることは勉強なので、これからも使っていきながら考えたい。」
投手根尾としての球界からの評価
対戦したスワローズ高津臣吾監督のコメント
「すごいなと思いましたね。なかなかあんな球を投げられる人はいない。もっともっと練習していけば、すごいピッチャーになるんじゃないかなと思いますね。」
燃えドラchで配信された根尾投手とジャイアンツ岡本選手の対戦を見たダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)のコメント
「素晴らしいですね。スライダーも一級品です。プロで投手経験がほとんどないのに、あれだけの球をストライクゾーンに投げられているだけで凄いです!課題というか伸び代しかないなという印象ですね。」
アマチュア時代ではあるが、同じく野手から投手へ転向した境遇の岩瀬氏から今後の課題について
「一軍でこのままやっていくんだったら、短いイニングしか投げられないのでセットアッパーで勝ちゲームに投げられるようにしていかなきゃいけない。課題としてはランナーが出た時のクイックだったりとか、ランナーが出てからの制球ですよね。しっかり腕を振って、常に投げられるかというのが課題になります。」
慎重に言葉を選びながらも、適切に課題を検討する岩瀬氏の分析からも、投手転向の苦労の大きさは伝わってくる。語られた課題を乗り越えた先には、岩瀬氏自身がとても心強い前例としてある。高校時代の転向ではあるが、浅尾拓也氏、田島慎二投手らも投手として大成していることが記憶に新しい。さらに海外に目を向けると、MLBでの歴代セーブ数上位の中にトレバー・ホフマン氏はじめ複数の選手が、マイナーリーグで野手からの転向をした経験があるという。MLBもチェックする野球ファンには有名なジェイコブ・デグロム投手(ニューヨーク・メッツ)は、大学時代はほとんどショートで約1年間の投手経験からのプロ入り後の大活躍と言える。今シーズンの激しい変化に戸惑いも覚えたファンも多いかもしれないが、ダルビッシュ有氏の「伸び代しかない」という言葉もポジティブに受け取って投手根尾の未来を見守っていきたい。
澤村桃