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中日・京田陽太が名伯楽に誓った言葉。「ライバルは根尾君ではありません」

中日・京田陽太が名伯楽に誓った言葉。「ライバルは根尾君ではありません」

年齢差が実に60歳近いプロの職人同士が、理想の遊撃手について、奇しくも同じ名前を挙げました。

「牛若丸といわれた、吉田義男さんです。」

華麗で堅実な守りはもちろん、盗塁王に加え、実に9度も遊撃手としてベストナインに輝くなど、阪神のリーグ優勝に貢献。三度にわたる監督就任で日本一にも導きました。

語り合った二人とは、83歳の名伯楽、法元英明さんと、ドラゴンズ京田陽太遊撃手。法元さんは、現役引退後、長くドラゴンズのスカウトを務め上げ、田尾・三沢・小松・牛島・立浪ら後の名選手をプロ入りさせ、入団後の親代わりともいえるチームの生き字引。

京田に語った対戦の記憶

その法元さんを京田が、宴席での乾杯もそこそこに、質問攻めしたのです。

「いろいろな方々の遊撃手の映像を拝見していて、吉田義男さんの守備は、全ての打球を予測していたかのような動きに見えるのです。」と京田。

よっしゃ!とばかりに法元さんは語り始めました。かつての吉田さんとの対戦の記憶を京田への期待に変えて。

「ゴロを捕る、投げるの一体化の素晴らしさは、言うまでもない。凄いのは、その動作の前後。かつて、甲子園でワシが二塁ランナーだった時、フライに追いつけるはずがないと思っていた深い位置で、吉田さんは、捕球して、即、二塁へ送球。ベースへ戻れずアウトになったことがある。唖然とするやら、恥ずかしいやら。あの時は、自軍のベンチまで戻るのが遠かったわ。」

つまり、吉田義男さんは、ランナー法元の動きと若干の油断を予測、見透かしていたかのように、好捕だけでなく、同時に二つのファインプレーをしたのです。

法元さんは熱を帯び、語りは打撃へ。

「ワシは、京田の良さを日大時代から視とるよ。お前さんの思い切りの良さは、ツーストライクまでは、大いに魅力。ただ、カウントで追い込まれたり、チーム打撃の制約がある中でこそ、いかに自分の味を出せるか。粘っこさは、自分のためにもなる。
セーフティーバントも、もっとやってみなさい。やるぞと相手に思わせれば、三遊間は空く。そこへ打てば、お前さんの強い打球も活きる。」

名伯楽に誓った言葉

法元さんは続けた。

「それと、もうひとつ。四球の数を増やせ。試合の流れというのは不思議なもんで、四死球でもらったランナーが盗塁に失敗しても、嫌な流れにはならん。逆に、成功したら、二塁までタダで進める。お前さんの足が、チームの得点に直結する。」

粘りに関しては、吉田義男さんもかつて、東京五輪の昭和39年シーズン、打率3割マークに加え、179打席連続無三振の当時の日本記録を樹立、タイガースをリーグ優勝に導きました。

名伯楽の言葉を受け、京田は、自身に言い聞かせるように誓いました。

「ボクのライバルは、根尾君じゃないですし、もっともっと凄い遊撃手にならなくちゃ。」

法元さんは、ドラゴンズの将来を見据えます。
「京田と根尾の二遊間も楽しみや。もう一回、ワシが元気なうちに、生え抜きで、優勝を見せてほしい」と。生き字引が願う、燃えよドラゴンズ。

【CBCアナウンサー 宮部和裕 CBCラジオ「ドラ魂キング」(毎週水曜午後6時放送)他、ドラゴンズ戦・ボクシング・ゴルフなどテレビ・ラジオのスポーツ中継担当。生粋の元少年ドラゴンズ会員。山本昌ノーヒットノーランや岩瀬の最多記録の実況に巡り合う強運。早大アナウンス研究会仕込の体当たりで、6度目の優勝ビール掛け中継を願う。】

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