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エアコン掃除は火災に注意!誤った新型コロナ対策でも火災の危険あり!

エアコン掃除は火災に注意!誤った新型コロナ対策でも火災の危険あり!

 今年は連日猛暑が続き、エアコンが大活躍しています。ところがエアコンの掃除で火災が起こるケースがあることをご存じでしょうか?また、新型コロナウイルスの感染防止のために身の回りの消毒や掃除を徹底している人も多いはず。CBCテレビの情報番組「チャント!」では、エアコンを掃除する時、消毒用アルコールを使う時の注意点を調査しました。

 番組リポーターの市野瀬瞳さんが向かったのは、名古屋市消防局の消防研究室。消防指令補の阪下照男さんに解説してもらいながら、火災の実証実験を行いました。

◆誤ったエアコン洗浄で火災発生!

 2013年に福岡市の住宅で、エアコンの室内機が発火して天井や壁に燃え移る火災がありました。出火の原因は、エアコン内部の洗浄のやり方にあったと見られています。製品評価技術基盤機構(NITE)によりますと、このようなエアコンの火災事故はこの5年で244件発生し、7人が死亡しているということです。

 阪下さんによると「エアコン洗浄スプレー」の使い方を誤ると、火災発生の原因になることがあるといいます。では、エアコン火災の実験映像を見てみましょう。

 エアコン掃除の手順に沿って、まずは「エアフィルターを取り外す」。続いて「冷却フィンに洗浄スプレーをかける」。そして「元通りに取り付けて電源を入れる」。掃除は完了です。しかし、しばらくすると…炎が立ち上がりました!高熱でエアコンのカバーがグニャリと曲がり溶け落ちています。一体何が起こったのでしょうか?

 阪下さんは「トラッキング現象による発火です」と解説。トラッキング現象とは、電気回路の中に水分やほこりが溜まり、内部がショートして出火する現象のこと。

エアコンの場合、内部の電気回路に水滴が付着しているとトラッキング現象が起き、出火することがあるそうです。

 番組では「トラッキング現象」を分かりやすく再現。エアコンの電気回路に見立てたコンセントに洗浄スプレーを噴霧し、意図的にトラッキング現象を起こす実験を行いました。電流と電圧の測定器と、20アンペア以上の大きな電流が流れると自動で電気を遮断するブレーカーも設置。このブレーカーは、ショートした際にそのまま電流が流れ続けて火災が大きくならないようにするものです。

 コンセントにスプレーの水滴を吹き付けた後、カウントダウンをして通電。するとショートして大きな電流が流れて発火しました。たちまち、コンセントは黒焦げになって溶け落ちましたが、肝心のブレーカーは作動しませんでした。

 阪下さんは「トラッキング現象で、ブレーカーが作動するような大電流が流れるのはわずかな時間です。一瞬ではブレーカーは作動しません」と説明。スローで確認すると、スイッチを入れるとすぐに炎が立ち上がり、ブレーカーの許容電流を超える20Aを一瞬超え、30Aに達しています。しかしブレーカーは動かず。瞬間的に大電流が発生するトラッキング現象ではブレーカーが作動しない場合があるのです。

 市野瀬さんは実験結果をもとに、エアコン掃除をする際の注意点を整理。「エアコンの洗浄液は、電子基板・電気回路などに絶対にかけない」ことが鉄則。そして「不安な場合は専門業者に依頼する」ことも提案しました。ちなみに業者に依頼した場合、価格は1台約8000円から1万4000円ほどで掃除してもらえるそうです。

◆要注意!消毒用アルコールの使い方

続いて、新型コロナ対策で使用頻度が増えている「消毒用アルコール」の実験です。消毒用アルコールは、消防法上の危険物に該当します。阪下さんは「アルコール自体が非常に燃えやすい液体なので、火を扱う場所では着火しないように気を付ける必要があります」と注意を呼び掛けます。

 実験では、消毒液を十分に乾かさないまま、コンロの上のやかんを持ち上げてみました。消毒用アルコール(エタノール)の引火点は約13度。室温でも蒸発しやすいので、あっという間に軍手に燃え移りました!

 次に、テーブルに除菌スプレーを吹き付け、十分にふき取りをせずに蚊取り線香に着火すると…。気化したアルコールに火が付き、瞬く間にテーブル一面に燃え広がりました。炎でテーブル近くに設置したマネキンの髪が焼けてしまいました。

 阪下さんは「アルコールはしっかりふき取ることが大事。新型コロナ対策で消毒の徹底が当たり前の中、正しい使い方をする必要があります。これからの季節、屋外で炭火やガスなどを使うバーベキューの際にも消毒液の扱いには要注意です」と話しました。

 また、消毒用アルコールよりも値段が安く、手に入れやすい「燃料用アルコール」を消毒に使おうと考えている人がいるかもしれませんが、とても危険です。誤って摂取すると失明や最悪死亡することもある劇物です。絶対に消毒用として使わないようにしてください。

 市野瀬さんは消毒用アルコールの注意点もまとめました。「消毒液を使うときは火気厳禁」が鉄則。そして「燃料用アルコールは猛毒注意!」。

 今や日常的に行っているエアコンの掃除、身の回りの消毒ですが、正しい使い方を調べ、気を付けて行いましょう。

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