CBC web | 中部日本放送株式会社 / CBCテレビ / CBCラジオ

MENU

出生数が過去最低を更新 子どもはほしいのに金銭問題がネック 抜け出せない“少子化の罠”

出生数が過去最低を更新 子どもはほしいのに金銭問題がネック 抜け出せない“少子化の罠”
CBCテレビ「チャント!」

止まらない「少子化」。2024年に生まれた子どもの数は、推定68万5000人と50年前の3分の1に。2050年には、さらに半分になるとの予想も。なぜ減っているのか、その理由に迫ります。

関連リンク

【動画】25年後は子どもの数がさらに半分に!?出生数が増えない状態が続く“少子化の罠”とは【10分50秒~】

出生数は2023年から2万人減少 理由は未婚化と晩婚化

CBCテレビ「チャント!」

2024年11月、厚生労働省が発表した2024年上半期の出生数は、約33万人。2023年より2万人以上減りました。年間では過去最低だった2023年を大きく下回り、68.5万人の見通しに。

1人の女性が産む子どもの数を表す合計特殊出生率も、2023年は統計開始以降で最低の1.20になりました。

(立命館大学・筒井淳也教授)
「(減少が)若干予測より早いので、深刻さが増してきたという印象。一番大きい理由は未婚化と晩婚化」

国のデータによると、50歳時点で結婚していない人の割合は、この40年で女性は約4倍の17.81%、男性は10倍以上の28.25%に。初めて結婚する年齢の平均は、2022年で男性が31.3歳、女性が29.7歳。1985年と比べると、男性は3歳、女性は4歳以上遅くなっています。

(立命館大学・筒井淳也教授)
「第1子の出産年齢が30代半ばになると、第2子はなかなか難しくなる」

本当は子どもが欲しい!避けられないお金の問題

CBCテレビ「チャント!」

日本財団による全国の15歳から45歳の男女6000人を対象に行った調査では、将来的に「子どもを持ちたい」と回答したのは37.2%、「持ちたくない・いなくてもよい」と回答したのは35.7%でした。

名古屋の街で、将来的に子どもが何人欲しいか聞いてみました。男性22人、女性29人の計51にアンケートしたところ、44人が子どもを「2人以上」希望すると回答。しかし、子どもの数を考える際に、皆さんが「ネックになる」と口を揃えるのがお金の問題です。

(既婚・子ども1人の会社員男性)
「1人あたりにかけられるお金も決まっている。金銭的に子どもを育てるのは大変」
(既婚・子ども1人の会社員女性)
「1人生まれて、結構支出が多いなと。1人、2人が限界じゃないかな」

CBCテレビ「チャント!」

名古屋市内のマンションに住む小林さん夫婦。1歳半の男の子・奏太くんと3人家族です。週1回のまとめ買いの日は、家族3人で車に乗ってスーパーに向かいます。スーパーに到着すると、にんじんやキャベツ、魚をカゴの中へ。お肉は安さ重視で、お得な大容量パックに。お会計をして買い物が終了かと思いきや、別のスーパーに移動。お買い得品を求めてスーパーを「はしご」します。次のスーパーでお目当ての卵をゲット。最後にふりかけを選んでまとめ買い終了です。この日の出費は約6500円でした。

小林家の1カ月の食費は少ない時でも約4万円。おむつや日用品で月約2万5000円ほど。家賃約10万円、光熱費なども合わせれば月の出費は約20万円だそうです。

(小林さん夫婦)
「(夫婦)2人の時と比べて、子どもが増えてから変わってきた。買わないといけないものも増えたし、1歳でこれだけかかると、大きくなるにつれて、学校に入るとまた変わってくるとなると不安」

子どもが大学卒業までにかかる教育費用は800万円以上(大学卒業まで全て国公立の場合)と言われています。家計への負担は、さらに大きくなるばかり。本当は欲しくても現実は厳しく、子どもはあきらめるしかない状況も多いようです。

子育てしやすい環境作りを行う豊橋市の少子化対策とは?

CBCテレビ「チャント!」

政府も喫緊の課題としている少子化対策。東海地方で、子育てしやすい環境作りに、特に力を入れているのが愛知県豊橋市です。家事代行サービスや、2人目以降の子どもの保育料が無料になるなど、共働き世帯に寄り添う施策を行っています。

(豊橋市 子育て支援課・大林美依課長)
「生活を安定して送れることを、まずは目指している。その中で『もう1人欲しいな』と思ってもらって、増えていくことが理想」

「共働き子育てしやすい街ランキング」において、豊橋市は東海地方では唯一、3年連続でトップ10入りを果たしました。しかし、その豊橋市でも少子化は進む一方です。

(豊橋市 子育て支援課・大林美依課長)
「2022年度と2023年度を比較すると、年間で200人程度の子どもが減っている。コロナ禍を経てということもあるが、急激に少子化が進んでいると実感している」

食い止めることが難しい少子化

CBCテレビ「チャント!」

(立命館大学・筒井淳也教授)
「一度、少子化が始まると、20年後、25年後、子どもを産む女性の数が減っていくので、当然出生率をキープしたり、上がったりしても、出生数は増えない状態が続く。これを“少子化の罠”と言う。罠の状態にすっぽりはまっているのが日本の現状」

筒井教授によると、2024年に生まれる子どもの数を70万人と仮定した場合、そのうち女の子は半分の35万人。出生率を1.2のまま維持した場合でも、この世代から生まれる子ども数は42万人です。仮に出生率が1.0まで下がった場合は、35万人まで減ることになります。

(立命館大学・筒井淳也教授)
「日本の少子化のフェーズは、少子化を前提とした社会制度を作っていくこと。それが実は1番大事な少子化対策です」

CBCテレビ「チャント!」2024年12月17日放送より

この記事の画像を見る

オススメ関連コンテンツ

PAGE TOP