専門医が警鐘を鳴らすのどのトラブル

2022年5月8日(日)放送 【第505回】
専門医が警鐘を鳴らすのどのトラブル

サマリーSummary

ゲスト:松本明子
ドクター:西山耳鼻咽喉科医院 院長 医学博士 西山耕一郎
食べ物や飲み物でむせる、痰が絡む、声がかすれる…このような症状に心当たりがある人は要注意!季節の変わり目は、のどが過敏になり不調が出やすい時期でもあります。そのまま不調を放置していると、肺炎など命に関わる危険もあるのだとか。そこで今回は、肺炎のリスクを下げる方法やのどのトラブルについて専門医に教えてもらいました。

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。

今回のテーマは「~衰えれば肺炎のリスクも!?~ゲンキの秘訣は“のど”にアリ

食べ物や飲み物でむせる、痰が絡む、声がかすれる…このような症状に心当たりがある人は要注意!季節の変わり目は、のどが過敏になり不調が出やすい時期でもあります。そのまま不調を放置していると、肺炎など命に関わる危険もあるのだとか。そこで今回は、肺炎のリスクを下げる方法やのどのトラブルについて専門医に教えてもらいました。

飲み込み力セルフチェック

ゲンキに過ごすためには、のどの健康がとても大切だそうです。近年歯の重要性は認知されていますが、よく噛めてものどの状態が悪いと飲み込む力(嚥下機能)が低下してしまうのだとか。まずは、飲み込む力が正常かどうかチェックしてみましょう。

<飲み込む力セルフチェック>
下記の項目に1つでも当てはまる場合は、飲み込む力が低下している可能性があるそうです。
□食事中にむせたり咳が出たりする
□最近 食事の時間が長くなった
□以前よりも声が小さくなった
□錠剤が飲みにくい
□食後に痰がからむ

のどの衰えが原因!?命を脅かす「誤嚥性肺炎」

のどの衰えを放っておくと「誤嚥性肺炎」につながる恐れがあるそうです。誤嚥性肺炎とは、本来食道に流れるはずの食べ物などが誤って気管に入り(誤嚥)、肺に炎症を引き起こす病気。症状は、咳・痰・発熱など多岐にわたります。高齢者に多い病気で、日本人の死亡原因の6位。年間約4万人の方が誤嚥性肺炎で亡くなっているといわれています。

<誤嚥性肺炎が高齢者に多い理由>
先生によると、飲み込む時に大切なのが「のどの筋肉」。のどの筋肉がしっかり働く事でモノを飲み込むと同時に喉仏が上がり、喉頭蓋という蓋のような器官が反射的に倒れて気管への侵入を防いでくれます。しかし、年齢を重ねると、足や腕などの筋肉が衰えるのと同じように、のどの筋肉の働きも低下してしまうのだとか。のどの筋肉が低下し飲み込む力が衰えると、スムーズに飲み込めずのどに食べ物などが引っかかってしまいます。これが日常的に繰り返される事で、食べ物などが誤って気管に侵入する誤嚥につながってしまうそうです。

知っておきたい!「誤嚥」を防ぐ方法

のどの機能は年齢とともに衰えていきますが、日常生活のちょっとした工夫で誤嚥を防ぐ事ができるそうです。

(1)下を向いて食べる
食事をする際は、少しおじぎをするくらいの角度で下を向いて食べると、誤嚥の予防になるそうです。一方、上を向いて飲み込むと、食べ物が気管に入りやすくなり誤嚥のリスクが高まってしまうのだとか。薬を飲む時はつい上を向いてしまいがちですが、食事と同様下を向いて飲むと良いそうです。

(2)食事中にむせた時は体勢を「前屈み」に
先生によると、むせるのは誤嚥しかけた食べ物を咳反射で気道から上に出そうとしている状態なのだとか。そのため、上半身を前屈みにすると気管が水平に近づき、誤嚥した物が咳で出やすくなるそうです。一方、むせた時にやりがちな「水を飲む」「背中を叩く」はNG。むせを誘発したり、食べ物が気管の奥に入ってしまったりする恐れがあるそうです。また、のどに食べ物が詰まった場合は「上半身を倒して背中を叩く」もしくは「寝かせて背中を叩く」ようにし、緊急を要する場合は救急車を呼び適切な処置を行いましょう。

声と誤嚥の意外な関係

声を出す時に使うのどの筋肉は、飲み込むための筋肉とほぼ同じ。そのため、会話が減ったり小さな声で生活したりしていると、のどの筋肉が衰え誤嚥しやすくなってしまうそうです。

<ドクターおすすめ!のどの筋肉を鍛える「嚥下おでこ体操」>
▼額に手の平の硬い部分を当てる
▼頭を倒しながら額と手の平で押し合いをする
▼この状態を5秒間キープする
▼1セット10回、1日3セット行う
≪ポイント≫
ポイントは、おへそを覗くように頭を倒した状態で行う事。この体操を継続して行う事で、のどの筋肉が鍛えられ、誤嚥の予防・改善効果が期待できるそうです。

気をつけたい!のどの病気 ~「扁桃」のトラブル~

<「扁桃」の働き>
扁桃は6か所あり、外から入ってくる細菌などの影響を受けやすい場所にあります。先生曰く、扁桃は簡単にいうと免疫を鍛えるための臓器で、子どもの頃は細菌などを吸収し身体に外敵の存在を覚えさせる、いわば免疫トレーニングの働きをしているそうです。

<気をつけたいのどの病気「扁桃炎」>
扁桃炎とは、扁桃に炎症が起きる病気。赤く腫れ上がり、のどの激しい痛みや発熱などを引き起こします。風邪に似た症状のため、病院に行かない人も多いそうですが、放っておくと危険な状態になる事もあるのだとか。先生によると、扁桃炎で年に4回以上高熱を出す場合は両側の扁桃を切除した方が良いそうです。

<「扁桃炎」の原因は?>
個人差があるそうですが、扁桃炎の原因として考えられるのが疲労やストレス。身体の抵抗力が落ちていると、扁桃についた細菌などが増殖し炎症を起こして扁桃炎を発症してしまうそうです。

<重症化すると「扁桃周囲膿瘍」につながる恐れも>
扁桃炎の初期段階であれば、抗生物質などを服用する事で重症化のリスクを減らせます。しかし、治療が遅れると扁桃炎が悪化。扁桃の奥に膿が溜まる「扁桃周囲膿瘍」になる恐れがあるそうです。扁桃周囲膿瘍は、のどの痛みや発熱に加え、口が開けづらくなるなどの症状もあるため、生活にも大きな悪影響を及ぼすのだとか。また、治療では患部を切るなどして膿を抜き、注射で抗菌剤を投与する方法が一般的だそうです。

(2022年5月8日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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