ズバリ!吉見一起が答えます!どうすればドラは勝てるの?上位進出のキーマンは誰?根尾一軍昇格は?
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
不世出の大投手逝く
快晴のち涙雨が続いた先週のドラゴンズ。バンテリンドームでのマリーンズ3連戦の初戦、高橋宏斗投手(※「高」は「はしごだか」)のプロ入り初完封、打っては細川成也選手、ダヤン・ビシエド選手の連続ホームランなど今シーズン一番と言える勝ち方に歓喜したドラファン。この勢いで交流戦勝ち越しを!と願ったものの、結果はご存じの通り(泣)。なかなか思い通りにいきませんなぁ。
苦戦が続く中、暗いニュースが飛び込んできた。“フォークボールの神様”と呼ばれ、ドラゴンズで211勝(通算記録215勝)を記録した杉下茂さんが6月12日、間質性肺炎のため、東京都内の病院で死去した。日本で最初にフォークボールを投げた投手として知られ、その魔球を駆使しドラゴンズ入団2年目から6年連続で20勝以上をマーク。1951年には28勝13敗で沢村賞と最多勝のタイトルを獲得。54年にはチーム初となるリーグ優勝、そして日本シリーズ制覇に貢献。2度目の32勝を挙げ、最多勝、最優秀防御率など投手タイトルを総なめ。MVPにも選出された。55年には川崎球場で行われた国鉄スワローズ(現東京ヤクルトスワローズ)戦でノーヒットノーランも達成した不世出の大投手である。
96年から臨時コーチとしてキャンプに元気な姿を見せていた杉下さん。いつしかキャンプで杉下さんの姿を拝見することが私にとって楽しみのひとつとなっていた。背筋をピンと伸ばし、ブルペンで腕組みしながら投手陣を見守る杉下さんの姿を見つけては安心したものだった。実は今でも忘れられない思い出がある。それは2019年キャンプのこと。昭和の魔球王・杉下さん、そして平成の魔球王・野茂英雄さんが揃ってブルペンに現れ、鈴木博志投手へ一緒になってフォークボールを伝授した。自分自身が指導されたわけではないが、それはまさに夢のようなシーンだった。コロナ禍の影響もあってか2020年以降、優しく微笑む杉下さんの凛々しい姿がブルペンから消えた。それからは便りがないのは元気な証拠とひとり暗示をかけながらも体調を心配していただけにまさかの訃報であった。ドラゴンズのエースナンバー20を背負った大スターであり、球団史に燦然(さんぜん)と輝き続ける大投手・杉下茂さん。深く感謝するとともに、心よりご冥福をお祈り致します。
さて今週のサンドラは低迷が続くドラゴンズを立て直すにはどうすればよいか、ファンから募集した質問にゲストコメンテーターの吉見一起さんがズバっと回答!長いトンネルから脱出するヒントになるのは間違いなし!
一体どうしたら勝てるの?
一番多かった質問。ファンは正直です。予想されたとはいえ、当然の結果といえましょう。
“どうしたら勝てますか?”
それは私も知りたい!おそらくドラゴンズファン全員がすがる思いで吉見さんの回答を待っているはず!6月17日終了時点で、ドラゴンズ投手陣の防御率は2.85とリーグ2位、被本塁打は28本とリーグ最少と大健闘。しかし打撃陣の成績は打率.238、得点圏打率.239はいずれもリーグ5位、得点にいたっては172点とリーグ唯一の100点台と数字からも得点力不足が見て取れる。去年強かった一点差ゲームも今年は8勝14敗と接戦をモノにできない歯がゆい試合が続いている。吉見さんは苦笑いを浮かべながら持論を語った。
吉見氏「ピッチャー目線で言わせてもらえば、今年は若手が特に起用されていて、“イヤだな”と思う打者が少ないように感じます」
ピッチャーという特性上、得点圏にランナーが進めば、当然“打たれたくない”という気持ちが頭に浮かぶ。そこに“コイツはイヤだなぁ”と思うバッターが打順に並んでいなければ、思いっきり攻めることができる。要するに名前負けしているのだ。
吉見氏「だからこそドラゴンズのバッターたちは工夫しなければいけません。簡単に打ち取られるのではなく、打席で粘りを見せるのもひとつの手と言えます。あと点を取るのはヒットだけではないことを理解してもらいたいですね」
それは見ている側にもバッターが何をしたいのか分かるプレー。たとえば無死2塁の場合なら、最低セカンド方向に打球を転がしてランナーを進める。無死1、3塁で内野ゴロゲッツーでも最低1点をもぎ取るバッティングなどが例に挙がる。なんとしても点を取るんだという泥臭い野球が今まさにドラゴンズには求められている。
吉見氏「打つことはなかなか変われなくても盗塁とか走ることはすぐに変わることができます」
ただ来たボールを打つだけではなく、どうすれば相手ピッチャーが嫌がるのか。そして塁に出れば、得点に導く走塁を全員で心掛ける。まずそんな些細なことから変えていく。その積み重ねがチーム力を増していく。それはまさに常勝ドラゴンズ時代の野球そのもの。何も言わなくてもひとりひとりが勝利へ向けてのプレーを積み重ねる。それが勝利への近道と言えよう。
上位浮上のキーマンは誰?
2年連続交流戦負け越しが決まったドラゴンズ。レギュラーシーズン再開後、上位浮上するためのキーマンは一体誰になるのか。吉見さんは自信をもって名前を記したフリップを掲げた。
吉見氏「石橋選手です。木下選手がケガで離脱して、今がチャンスだと思います。ずっと期待されている選手。キャッチャーというポジションは試合を支配できるし、色を付けることができます。石橋という新しい色を付けて、ドラゴンズを勝たせてもらいたいと思います」
去年11月、左ヒザのクリーニング手術を受け、ようやく6/13に一軍昇格を果たした石橋選手。いつまでも二番手捕手に甘んじず、ここが野球人生最大のチャンスと打撃、そしてリードに持てる力を存分に活かしてもらいたい。
気になる根尾の一軍昇格は?
そして多くのドラファンが気になる選手といえば、やっぱり根尾投手。今シーズン中の一軍昇格はいつなのか?専門分野の吉見さんならではの厳しい視点で“根尾昂の現在地”を評価した。
吉見氏「ズバリ、今年昇格の可能性は低いかなと思います。現時点、先発投手としてはまだまだです」
現在ファームにいる先発投手陣の顔ぶれを見て、吉見さんが思い描く一軍昇格順位予想を発表した。1番手には涌井投手、そして順にメヒア投手、梅津投手。4番手にようやく根尾投手の名前が挙げられた。
現役晩年、二軍でローテーションを務めた経験を持つ吉見さん。外からではなく、二軍の中にいたからこそ分かることがあったそうだ。
吉見氏「あくまでボクの経験ですが、中にいると自分の立ち位置というのが分かるんです。このピッチャーが次に上がるなとか。そんな考えからいくと、根尾投手が昇格するのはまだまだなのかなと」
では、先発投手としてまだ足らないものは一体何か?吉見さんは即答した。
吉見氏「投げるスタミナ、そして経験ですね。まだピッチャーになって2年目。だからこそ急いで一軍で投げなくても、来年まで多くの経験を積むことを勧めたいですね」
一軍へ昇格する時は調整以外、二度と二軍で投げないくらいの実力をモノにしてから。それは根尾投手の実力を高く評価する吉見さんだからこその親心といった提言。私たちファンも焦らず、彼の成長を待ちましょう!
出でよ!孝行ドラ息子!
なかなか連勝ができず、気づけば負けが膨らみ続けているドラゴンズ。今はただ、この悪い流れを一変させる選手が現れることを待ち望むだけだ。出でよ!孝行ドラ息子!暑い夏を迎える前に終戦なんてご勘弁!吉見さん提唱の今すぐに実行できる“勝つ野球”を心掛け、これからのゲームに挑んでもらいたいものである。
そして何度でも言う。
もうこれ以上、弱いドラゴンズは見たくない!
がんばれドラゴンズ!
燃えよドラゴンズ!
竹内 茂喜