今まさに、浸透中―。強き竜を蘇らせる平田選手の“アスリート魂”

今まさに、浸透中―。強き竜を蘇らせる平田選手の“アスリート魂”

【あるドラライターの参考書的サンドラ活用法】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)をみたコラム

「去年大きいケガをして、ほぼ一年プレーができなかった。年齢的にも30歳。若い時とは環境が違う。ダメだったら野球を辞める。そういう気持ちでシーズンに臨みます」

平田良介選手が今シーズンの開幕前に明かしていた決意の言葉。本気で覚悟を決めた男が見せる行動とはいかなるものか―。その成果は尊敬に値する見事なものでした。
5月に月間打率4割3分1厘をマークすると、9月まで5カ月連続となる同3割超えをキープ。8月16日のベイスターズ戦には自身初のサイクル安打を達成し、首位打者争いに絡んだセ・リーグ3位の打率3割2分9厘と138試合の出場数、162安打、出塁率4割1分のすべてがキャリアハイ。念願のゴールデングラブ賞を初受賞したことで、あらためてドラゴンズを代表する選手であることを証明してみせました。
今季の活躍の土台となったのが、昨年のオフに取り組んだ約10kgの減量。「守備の一歩目が早くなり、守備範囲もさらに広がった。今まではギリギリのプレーがそうではなくなった」と俊敏さが増したことを実感した中で、一番の手応えは“故障をしない体”を手に入れたことを挙げています。
一方で「飛距離が出なくなった」と減量によるデメリットも認識。来季は安打数と出場数の向上とともに、キャリアハイを記録した4割5部6厘の長打率を“5割以上”に設定しています。すべてにおいてレベルアップを図る平田選手が新たに挑戦したことは、アメリカ・ロサンゼルスにある各界のトップアスリートが訪れる施設での海外自主トレ。自分に必要なスキルを追求する姿勢とその行動力に、平田選手のさらなる活躍を確信させてくれます。

ロスの学びは試合前の“戦闘食”にも

「(ロサンゼルスで行ったトレーニングの目的は)股関節の強化と可動域を広げるためですね」

サンドラが密着した映像をもとに平田選手が解説したのは、下半身で蓄えた力をすべて出し切るトレーニングや、バッティングに活かされる股関節の使い方。他にも理想的な走り方を身につけるために、タブレット端末を使って細かくチェックをする徹底ぶりに充実感が伺えました。
さらに栄養管理士から試合前の食事についてレクチャーを受けた一幕も。その内容は、「ラーメンとおにぎりのセットを食べるのはNG」、「ラーメンの具のチャーシューは1枚より3、4枚にしたほうがいい」など。来季は栄養学に基づいた摂取法を実践していく意向を示していました。
プロ野球選手にも千差万別があり、様々な考えを持った選手がいると思います。自分自身を知り尽くしたうえで独自の調整法を編み出して貫くタイプもいれば、平田選手のようにその道のスペシャリストに師事を仰いで積極的に知識を取り入れるタイプ。結果で優劣が決まるプロの世界においては過程より結果。結果を出した人間が正解と認められるのだと思います。ただ、100パーセントの確率で成果を挙げられる手段は無いとしても、成長するための努力を怠らず、プロのアスリートとしての自覚を持って節制ができる選手ほど、成功者に近づくのではないのでしょうか。
事実、平田選手が数々のキャリアハイの成績をたたき出した背景には、それまでは重要視していなかったことへの必要性に気付き、挑戦したことによるもの。個人で契約を結んだトレーナーとの自主トレや減量への取り組みが、故障がちだった自分を克服して誇れる成績が残せたのです。
そして、平田選手以外にもドラゴンズには個人トレーナーとの自主トレをきっかけに飛躍を遂げた選手がいます。高卒2年目で初勝利を含む3勝を挙げた藤嶋健人投手です。

次にブレークする若竜は、期待のフレッシュ球宴MVP

ルーキーイヤーの昨季、2軍で5試合の登板にとどまった藤嶋投手は、1年目のオフに東邦高時代から師事を仰いでいるトレーナーを伴って自主トレに励んでいました。オフの過ごし方でシーズンに差が出るとも言われるだけに、その効果は少なくないでしょう。
さらにこのオフから個人トレーナーと契約を結んだ若竜がもう1人。同じく高卒2年目の石垣雅海選手。今年は1軍での出場はなかったものの、フレッシュオールスターでバックスクリーン弾を放ってMVPを獲得するなど期待の大きい逸材。成長のための自己投資を惜しまない石垣選手は必ずや飛躍のきっかけを掴んでくれるに違いありません。
年齢や実績にかかわらず選手が個々に考えて成長の糸口を掴もうとする雰囲気が今のドラゴンズにはある。きっとこの流れはチームの強みになっていくはずです。

平田選手の2019年公約は「OPS8割5分」

平田選手が目標ではなく、来季の公約として掲げたのが「OPS8割5分」。OPSとは長打率と出塁率を足した数字を指しています。

「長打率は5割以上、出塁率は4割以上。本当だったら9割と書きたいんですけど、なかなか未知の数字なので。8割5分以上を残したいですね」

今季、両リーグを通じて規定打席に到達した選手の中でOPS9割以上をクリアしたのは15人・・・。平田選手にとっての“未知の数字”という意味だと思うのですが・・・、平田さん、やっぱり公約は9割に書き換えませんか?

ドラゴンズライター高橋健二

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