ドラゴンズ開幕への課題!「根尾昂」というカードはいつ?どこで?

ドラゴンズ開幕への課題!「根尾昂」というカードはいつ?どこで?

1塁ベンチ前でキャッチボールをしていた背番号「7」が、ショートのポジションに向かって軽快に走り出した瞬間、ナゴヤドームには場内アナウンスを待たずして大歓声が巻き起こった。2019年3月13日、阪神タイガースとのオープン戦、スーパールーキー根尾昂選手の1軍デビューの瞬間である。

根尾1軍デビューに沸くナゴヤドーム

右足ふくらはぎの肉離れによって、沖縄キャンプを2軍で過ごすことになった根尾選手。
前日3月12日にナゴヤ球場で行われた春季教育リーグに初出場してヒットを打つと、与田剛監督はナゴヤドームでの1軍オープン戦に根尾選手を呼び寄せた。
思えば、2018年10月のドラフト会議以来、与田新監督と根尾選手は「新生ドラゴンズ」の象徴的な存在としてシーズンオフを熱くさせてきた。根尾選手のけがによって離れ離れの日々が続いたが本拠地ナゴヤドームで“合流”、あらためて2つのパワーが1つの場にいることの魅力を痛感させられた。
7回からの遊撃守備ではゴロを無難に捌いたが、打席は三振。それでもナゴヤドームに詰めかけたファンは竜の新時代への鼓動を聞いた、確かに。

順位予想を覆す2つのポイント

2019年ペナントレースが3月29日に開幕する。多くの野球評論家による順位予想はドラゴンズにとって大変きびしいものとなっている。球団ワースト6年連続Bクラスの現状、昇竜復活への課題はそれだけ多いと言えるが、それを踏まえた上で、開幕へのポイントを2つ挙げてみたい。

(1)投手陣の整備どうなる?

CBCテレビ:画像『イッポウ』

まず「投手陣の整備」である。かつて「投手王国」と呼ばれた面影は今や幻想となった。さらに深刻な現実が目の前にある。

CBCテレビ:画像『イッポウ』

昨シーズンのドラゴンズは63勝78敗2分という成績でリーグ5位だった。
この63勝の内、阪神タイガースへ移籍したオネルキ・ガルシア投手が13勝、けがなどで調整中の3人、松坂大輔投手6勝、小笠原慎之介投手5勝、藤嶋健人投手3勝、現役引退の岩瀬仁紀投手2勝、実に合計29勝分が今季の開幕時に存在していないのである。

CBCテレビ:画像『イッポウ』

勝ち星なしに終わった左腕・大野雄大投手など、活躍を期待した投手もいるが、このマイナス29勝は相当に大きい。これをどこまでカバーできるかに、今シーズンの浮沈はかかっている。

(2)上昇への起爆剤は誰?

CBCテレビ:画像『イッポウ』

次に「上昇への起爆剤」である。昨シーズンはリーグ2位の打率を誇って元気だった打線だが、今季への目立った補強はなかった。それぞれの打者が前年並み、いや前年以上の成績を残す期待をしても、打線は水物と言われるように安心はできない。

CBCテレビ:画像『イッポウ』

与田監督は就任会見で戦い方を問われ「驚かせるチームにしたい」と抱負を語った。「プロらしいプレーを見せたい」という真意なのだが、「驚き」という意味では、かつて開幕戦で2人の監督がファンを驚かせてくれた。

星野と落合・驚きの開幕戦の思い出

まず故・星野仙一監督である。1988年(昭和63年)開幕戦で、自らがクジを引き当てて獲得した高卒ルーキー立浪和義選手をいきなりスタメンショートで起用した。立浪選手もツーベースを打ち期待に応え、その年は新人王を獲得した。
次に落合博満監督。初采配の2004年開幕戦、ドラゴンズへの移籍から過去3年間登板のなかった川崎憲次郎投手をまさかの開幕投手起用。川崎投手は打ち込まれたがゲームは逆転勝ち、チームは一気に勢いづいた。
そしてこのどちらの年もドラゴンズはリーグ優勝を果たした。両監督がチームを“乗せた”結果であろう。

目の前にある厳しい現状

CBCテレビ:画像『イッポウ』

今季のドラゴンズはFAやトレードなどでの目立った選手補強はせず、現有勢力の底上げでの戦いとなる。かつて落合監督は就任時に「今の戦力が10%ずつ力をアップすれば勝てる」と宣言して見事優勝した。
しかしその時は、過去5年間の成績を見ても、直前の2003年は2位、2002年は3位、その前は5位、2位、優勝だった。6年連続Bクラスという現状とはベースとなる“底力”が違う。やはり厳しい戦いが予想される。

起爆剤は根尾?それとも?

CBCテレビ:画像『イッポウ』

しかし、勝負はふたを開けてみるまで分からない。順位予想を覆したチームは過去にいくつもある。そこで必要となるのが「起爆剤」である。チームに勢いを与える選手である。
今のところの流れでは、残念ながら根尾選手の開幕1軍は実現しないようだが、立浪選手と同じように甲子園で春夏連覇を果たした主力選手である。持っている潜在能力とオーラ、そしてプラスアルファの可能性は、間違いなく他の選手とは違うはずだ。与田監督がこの「起爆剤」をいつ、どのように使っていくのか、これも注目の2019年シーズンである。

ファンとしては、とにかくワクワクするドラゴンズの野球を見たい。言うなれば「ドラゴンズ・ドリームズ(竜の夢)」。この言葉を胸に開幕の日を迎えたい。

【CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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