根尾よ柳よ!ファン投票で痛感「やはりドラゴンズには全国区スターが必要だ」

根尾よ柳よ!ファン投票で痛感「やはりドラゴンズには全国区スターが必要だ」

肩身の狭い思いとでも言い表せるのだろうか?プロ野球オールスターゲームのファン投票、連日の中間発表を見ながら、中日ドラゴンズファンとして淋しい思いをしている。交流戦は首位を走っているのに。竜に“スター”はいないのか?(数字は2021年6月7日現在)

目立たないドラゴンズ選手

オールスターゲームは、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって2020年は中止、2021年7月は2年ぶりの開催となる。ファン投票そして中間発表が始まり、そこには新たなスター選手たちの“風”が吹いている。外野手部門では、豪快なホームランを連発している阪神タイガースの佐藤輝明選手、そして抑え投手部門では、今や無失点リリーバーとなった広島東洋カープの栗林良吏投手とルーキーがそれぞれトップ争い。柳田悠岐、山田哲人、村上宗隆、山川穂高、そして久しぶりの田中将大ら日本代表級のスター選手たちも、順調に票を集めている。しかし、今回もドラゴンズブルーの選手たちは、ファン投票のステージで目立っていない。

根尾は?柳は?木下は?

「サンデードラゴンズ」©CBCテレビ

ドラゴンズからファン投票で選ばれたのは、最も近いところでは2018年の松坂大輔投手である。“平成の怪物”はドラゴンズで背番号「99」を背負って、長年のケガから復活した。残念ながら球宴の舞台では活躍できなかったが、全国区の人気を目の当たりにしてドラゴンズファンとしても「スーパースターとはこういうものだ」と、あらためて思ったものだ。その松坂投手も2シーズンでドラゴンズを去った。その後に続く全国区のスター選手が現れていない。「候補」はいる。入団3年目で1軍を勝ち取った根尾昂選手である。本拠地バンテリンドームで打ったプロ入り初の満塁ホームランは、今なおファンの語り草である。しかし、堅実な守備はともかく、打撃はまだまだもの足りない。せめて打率2割5分ぐらい打てていたら、ファン投票でも目立っていたのではないかと思う。さらに、防御率と奪三振トップの柳裕也投手や、盗塁阻止率が際立つ木下拓哉捕手も、その活躍からすればもっと票を集めてもいい存在だ。開催中の交流戦でも竜戦士たちは圧巻の活躍だ。

エース川上の鮮烈な思い出

記憶をたどると、ファン投票で選ばれたドラゴンズ選手の中で、オールスターゲームの舞台でも強烈な印象を残したのは川上憲伸さんである。ルーキーだった1998年(平成10年)にファン投票1位で球宴に選ばれた。第1戦は本拠地のナゴヤドーム(現バンテリンドーム)、先発した川上投手は3イニングを2安打無失点に抑えて、その試合のMVPに輝いた。投手のMVPはなかなか珍しい上、新人投手としては史上初という快挙だった。
その後、岩瀬仁紀さん、井端弘和さん、そして今なお現役の福留孝介選手らも複数回ファン投票で選ばれている。人気や話題性だけではなく、実力も兼ね備えた選手が、ドラゴンズブルーのユニホームを着ていたという、竜党にとっても“夢の球宴”の記憶は鮮明だ。

竜スター選手を育てよう!

「サンデードラゴンズ」より高橋宏斗投手©CBCテレビ

ファン投票で選出されるためには、贔屓チームの選手に投票する「基礎票」に加え、そのシーズンのプロ野球全体を俯瞰して投票する「浮動票」が必要だ。全国のファンにアピールする実力とスター性がほしい。ドラゴンズの若手にも根尾選手の他、将来の4番打者を嘱望される石川昂弥選手、高校ナンバーワンの快速球と言われた高橋宏斗投手、この2人のドラフト1位“全国区スター”候補に加え、「安打製造機」の呼び声高い岡林勇希選手ら、一皮むければ一躍スターダムにのし上がるだろう選手が大勢いる。本人たちの努力はもちろんだが、中日ドラゴンズという球団として、ファン投票1位を独占とまではいかずとも複数枠は占めることができるような“戦略”を立てて、スター選手を本気で育てていく新たなステージを意識してもいい。

米メジャーのオールスター戦もファン投票が始まった。ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が投票で選ばれる可能性が高まっている。投打“二刀流”の実力を見せつけて、全米での人気もますます上昇中だ。チームも勢いを増す。
残り1週間のセ・パ交流戦、ドラゴンズは首位を走る。同じタイミングでオールスターゲームのファン投票も続いている。球団創設85周年、スローガンである「昇竜復活 その先へ」、その「先」の姿を見せる意味でも、どちらも1位を取りに行く竜の気迫が見たい。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

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