プライドが邪魔した7年、しかし今となっては貴重な時間 キャプテン高橋周平、チーム勝利のために泥臭く食らいつく!

プライドが邪魔した7年、しかし今となっては貴重な時間 キャプテン高橋周平、チーム勝利のために泥臭く食らいつく!

「【ドラゴンズライター竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム」

新生ドラゴンズを牽引するキャプテン周平

開幕から早一週間が過ぎ、3カードが終了。4勝5敗とまずまずの結果を残した。相変わらず苦手神宮では苦戦を強いられたものの、負けた試合はどっちに転んでもおかしくない戦いばかり。昨年とはひと味もふた味も違う新生ドラゴンズに希望を抱いたファンも多いことではないだろうか。

そのチームを盛り立てたのは、新キャプテンに就任した高橋周平だ。開幕から攻守にわたってナインを牽引。打ってはチャンスが多い6番という打順で左へ右へ好打を放ち、また守りでは何度も投手陣を救うファインプレーを連発。相手チームに流れが変わりそうな場面で何度も食い止める活躍が目立ったものだ。

周平は変わった。昨シーズンまでと比較し、傍目から見ても確実に良い方向へ変化を見せている。一体何が周平を変えたのか?

まず意識の持ち方にある。昨年、主にセカンドとして128試合に出場。プロ7年目で初めて規定打席に到達したのが何物にも代え難い大きな経験となった。またあわせて今まで自身の考え方ではプロの世界では通用しないと自覚したことも彼を一回り大きく成長させていった。

中日・大島洋平選手©CBCテレビ

ここ数年、シーズンオフには先輩大島の自主トレに参加。ハードなトレーニングを積んだ。

『(トレーニングははっきり言って)地獄です”』

彼曰く、一年間の中で一番キツい練習。それを数年続けることで身体が耐える力を蓄えていった。大島も参加一年目の周平を見て“全然ダメ”と一笑していたのが、昨年あたりから“特に言うことはない”と、頑張る姿を認め始めていった。

先輩大島の見ていないところで努力している姿、そして試合に臨む準備の仕方は、周平が一流の野球人として進化させる貴重な“種”となった。そして一年間レギュラーとして戦った経験が“栄養水”となり、見事開花したのだ。

プライドを捨て、泥臭く食らいつく

中日・高橋周平選手©CBCテレビ

『バカじゃないの?』

それまでの自分を振り返っての質問に自虐気味に返答しながら、なおもこう続けた。

『甘い甘いとよく言われていたが、何が甘いのかよく分からなかった。(自分では)他の選手よりも練習しているつもりだった』

3球団競合でのドラフト1位。入団1年目の6月には早くもプロ入り初ホームランを放つなど、順風満帆なスタートを切った。ただそこからレギュラーの座を何度も掴みかけては指先から離れてしまう不甲斐ないシーズンが続き、気付いた時には7年を費やしていた。

“スラッガー高橋周平”というプライドが邪魔していたのだ。

『キレイに打ちたいという気持ちが常にあった。それが昨年は(コーチから)1試合1安打とずっと言われていて、そのためにはどんな形でもいいんだという気持ちが強くなっていった』

プライドを捨て、泥臭く食らいつく。

『ピッチャーの球が速かったら、今はもう引っ張るという気持ちはなくなった。詰まっていいんです。以前は詰まるのが嫌だったというのが自分の中であったが、今はそっちの方が快感になりつつある』

世代最強スラッガーもそれはアマチュア時代までの話。プロに入れば結果を残してナンボ。多くの出会い、そして教えを請うた結果、かなり回り道をしたものの、ようやくプロで生きていく術を身につけた。

守備面でも昨年一年セカンドを守らせてもらったことが勉強になったという。

『セカンドを一年守らせてもらって、一年間出場し続けるのは大変なポジションだと思った。その経験があるからこそ、サードの守備により一層気持ちが入る。“もっと守備でチームを助けるぞ!”と思えるんです』

ホームでのナイトゲーム時にもチーム練習が始まる2時間30分前には既に自主練習を開始する。しっかり“準備”を施し、心身を整える。甘えん坊の周平はもういない。

そんな姿を見て、与田監督も満足そうにニュー周平をこう語る。

『(周平には)もっと早い時期に活躍してもおかしくない能力があった。昨年ある程度の成績を残したが、それで守りに入らずにキャプテンという役割の中でさらに飛躍して欲しい。』

すべてはチームの勝利のため

そんな周囲が期待する中、周平は自身について未だ完全なるレギュラーだと位置づけてはいない。あくまでも競争を続けていく気だ。その思いが強く表れたのが、根尾入団について問われた時のことだ。

『(根尾の加入は)正直いい迷惑。“一緒に頑張ろう!”と言っている選手もいたけど、自分としては“何キレイごと言ってんすか!”と思いました。いずれは絶対チームの中心になる選手なので負けないようにやるだけ』

忖度なる言葉が重宝されるこの頃、なんともはっきりした物言い。

世は平成から令和へと新しい時代に移り変わるが、周平の考え方はまさに昭和感覚。仲良し野球も良いが、常にチーム内で競争をし、レギュラーを争う。ドラゴンズを再び強豪チームに復活させるためには
この上ない考えではないか。

『最高は優勝。最低でも“このチームは変わった”と思われるように。勝っていかないと変わったと思われない。勝つことが一番』

すべてはチームの勝利のため。フォア・ザ・チーム。周平が先頭に立ち、泥臭い野球をするにつれ、昇竜復活は一歩一歩近づいてくる。開幕してたった一週間だが、その思いは確実に多くのファンに伝わっている。

がんばれ周平!がんばれドラゴンズ!
燃えよドラゴンズ!

(ドラゴンズライター 竹内茂喜)

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