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映画「名も無い日」が東海3県で先行公開 日比監督が名古屋で舞台挨拶

映画「名も無い日」が東海3県で先行公開 日比監督が名古屋で舞台挨拶

2021年6月4日(金) 16:00

名古屋を舞台にした映画「名も無い日」が5月28日、東海3県で先行公開。名駅の映画館「ミッドランドスクエアシネマ」で初日舞台挨拶が行われ、日比遊一監督が登壇した。

 日比監督は名古屋市熱田区出身。同映画は、カメラマンでもある日比監督の実話に基づいた三兄弟の物語。主人公のカメラマンの長男・達也を永瀬正敏さん、自ら破滅に向かう生活を選ぶ次男・章人をオダギリジョーさん、健気に兄たちを支える三男・隆史を金子ノブアキさんが演じる。弟・章人の訃報を受け、25年暮らしたニューヨークから故郷の熱田市に舞い戻った達也は、カメラを手に過去の記憶を探るように名古屋を巡り、家族や周りの人々の思いをたどっていく。出演は他に今井美樹さん、真木よう子さん、木内みどりさんら。

 上映終了後、MCの石井亮次アナウンサーの呼びかけで日比監督が登壇すると、客席からは大きな拍手が起こった。日比監督は「撮影から3年が過ぎ、いつ上映できるかと不安でしょうがなかった。愛知県、名古屋市、熱田区と大勢の方々の協力と支援でこの映画が出来上がり、感無量です。映画というものは、観客を持つことで完成形になります」とこれまでを振り返り、公開を喜んだ。

 熱田神宮、神宮前商店街、堀川沿いなど市内各地でロケを行い、主人公の家も監督の実家を使って撮影したという本作。物語に出てくる手紙も実際のものを使用したと明かす。「弟が本当に残した手紙です。読んだ時に小さな希望を感じて、それは映画の中でおばあちゃんが代弁しています。大切な人を失くした悲しみは、乗り越えるものではない。大切に抱き、心の中でいつまでも生き続けるもの。悲しみや喪失感は向き合ってこそ、一歩が踏み出せる。そういう思いを込めた映画です」と話した。

 自分の分身ともいえる役を演じた永瀬さんについて、日比監督は「日本を代表する俳優に演じてもらって光栄です。男として、人間として、一監督として、一皮むけさせていただいたという気持ち。映画だけでも100本以上やっている人なので、演出するというより、永瀬さんなりのカメラの構え方、歩き方を、僕自身が楽しんで見ていました。本当に絵になる人です」と絶賛した。

 ここで永瀬さんからのメッセージを上映。永瀬さんは観客に向け「大変な時期に劇場までお越しいただき、本当にありがとうございます。皆さんに直接お会いしたかったのですが残念です。この映画は名古屋で作られた作品。ぜひ愛知、三重、岐阜の東海3県で、まず盛り上げていただければ」と呼び掛けた。

 続いて石井アナが客席からの質問を募集。日比監督は、クライマックスの場面に込めた思い、女優陣の魅力など、一つひとつに丁寧に答えた。「また観に来る」という声には顔をほころばせ、「デジタルと違ってデリート(消去)できないフィルムは、人間の人生そのものだと思います。主人公がフィルムを使うのは、先週あったことをあたかも無かったかのように生きる現代人に、少しだけ私の世代ならではのメッセージを入れたつもり。そんなところも次に観る時は楽しんでください」と話した。

 最後に日比監督は「コロナ禍で毎日、生と死と背中合わせに生きている中、勇気を持って映画館に足を運んでいただき、本当に感謝しています。皆さんのお力添えでこの作品を育んでください。名古屋から全国へ、世界へ向けて、この普遍的なドラマを発信したいと思っています。よろしくお願いいたします」と映画の成功を祈った。

6月11日から全国公開。