「クールビューティー」と呼ばれる?奈良・海龍王寺の十一面観音
毎週木曜日のCBCラジオ『ドラ魂キング』では、仏像巡りが趣味の佐藤楠大アナウンサーが、脚を運んで現地で見た仏像についてレポートしています。7月30日の放送で紹介したのは奈良県奈良市にある海龍王寺の五重塔と十一面観音です。
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佐藤「最初、模型かと思ったんですよ。と言うのも、お堂の中にこじんまりと五重塔があるんですよ。おうちの中にまた一つ建物があるみたいな構造なんです」
五重塔は簡単に言えば5回建て。一般的な物は20メートル以上は余裕であるそうです。しかし海龍王寺の五重塔は4.01メートル。
この五重塔は元号で言うと天平時代(729年~749年)のかなり早い時期に作られたそうです。時代区分で言えば奈良時代中期ぐらいのもの。
その時代の五重塔はなかなか残っていないんだとか。国宝に指定されています。
しかも細部まで普通サイズの五重塔と同じ作り。当時、どうやって五重塔を作っていたを知るための研究材料になるそうです。
考えた末の形
海龍王寺の成り立ちがポイント。光明皇后が、唐に渡っていた僧・玄昉が無事帰国できるように祈っていたお寺で、光明皇后の住まいの敷地内にあったお寺。
無事帰国した玄昉に任せすることになったものの敷地が狭いという問題が。
正式なお寺の伽藍はシンメトリー。五重塔やお堂が左右対称になっているんだそうです。
「五重塔を東にも西にも作りたい。金堂も作りたい。でも敷地が足りない。じゃあ金堂の中に小さい五重塔を作っちゃおう、となったんです」
海龍王寺に今残っているのは西金堂と五重塔。東金堂が明治元年まで残っていたそうです。海龍王寺も最初はシンメトリーだったとか。
「私もその時はパンフレットを受け取ってだけだったんですけど、後で読んだらそう言うことかと発見がありました。知ってから見ると違います」
控えめな金色
佐藤のメインは八十八面観音巡礼。いよいよ十一面観音とのご対面。
「遠くから見ると黄金色に輝いている印象です。私的には超輝く黄土色みたいなイメージの色なんです」
海龍王寺の十一面観音は幕越しにうっすらと見る形。幕がない状態は期間限定で年に何回か見られるとのこと。
国の重要文化財に指定されている鎌倉時代の作品。94センチと比較的小柄。
光明皇后が自ら刻まれた十一面観音を元に鎌倉時代、運慶、快慶などの「慶」がつく一派の仏師たちによって作られたと言われているそうです。
海龍王寺の十一面間の金色は金箔を施しているのではなく金泥と言う手法。金箔を細かく粉状にして、接着剤に使うニカワ液で溶いて塗っているんだそうです。
「だから金箔と違ってキンキンとした金属感と言うより、マットで艶やかな金色をしているんです。キラキラよりも深みのある金色です」
戦後まで秘仏だったので保存状態が非常に良く、金の剥がれもないそうです。
奈良時代のお洒落さん
「薄い金の箔を直線状に切ったものを貼って貼って貼って形を作っていくんですよ。細かく切り絵のような形で細かく直線状の金箔を貼っていって一つの絵柄を作ってるんです」
衣の装飾は切金模様と言うんだそうです。見る際には、特に下の足元の部分がわかりやすいとか。
接着剤で付けた細い物は剥がれやすいのですが、ずっと秘仏だったために今も見ることができるんだそうです。
また、装飾品には当時貴重だったガラス球も使われていて、これもしっかりと残っているとのこと。
女性らしい表情をしていて、柔らかい丸みを帯びたプロポーションの海龍王寺の十一面観音は「奈良のクールビューティー」と呼ばれているそうです。
佐藤「海龍王寺のクールビューティーな十一面観音。いろんな仏像が残ってますが、他のお寺の仏像も当時はもっと華やかだったんだろうなと思わせてくれる作品でした」
(尾関)
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