3年連続赤字から世界3位へ。USJ25年の軌跡
大阪のUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)が今年、開業25周年を迎えました。4月16日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、赤字に苦しんだ開業初期から来園者数で世界第3位へと躍進したテーマパークの25年間の歩みについて、ジャーナリストの北辻利寿さんが解説しました。
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アメリカのテーマエンターテインメント協会が発表した世界のテーマパーク来園者数ランキングで、USJは2023年に前年の第5位から東京ディズニーランドなどを抜いて第3位に浮上しました。
2024年も来園者数1600万人で第3位を維持しています。
USJの母体であるユニバーサル・ピクチャーズは、20世紀初めにハリウッド周辺で映画制作を始めた映画会社です。
そのスタジオを中心としたテーマパークをハリウッドの近くに建設したのが、ユニバーサル・スタジオの始まり。「ハリウッド映画の世界を体験できるテーマパーク」がコンセプトでした。
日本にやってきたのが25年前の2001年。USJはアメリカ以外では初めてのユニバーサル・スタジオのテーマパークとして、大阪市内に開業しました。
総監督はスピルバーグ
開業当初のUSJは、ハリウッド映画を中心としたどちらかといえば大人向けの施設でした。
総監督を務めたのはスティーヴン・スピルバーグ監督です。映画『ジョーズ』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ジュラシック・パーク』など、人気映画を舞台にしたアトラクションが話題を呼びました。
オープニングの日には『ターミネーター』で主演を務めた俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーさんが来園し、テープの代わりに映画のフィルムをカットするという粋な演出も。
初年度は来場者数が1100万人を突破する華々しいスタートを切りました。
映画体験は「1回きり」?
宮部和裕アナウンサーは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のアトラクションでデロリアンに乗った思い出を振り返りますが、当時のUSJを訪れたのは1回きり。
映画自体は何十回も見たものの、パークには再び足を運ばなかったそうです。
北辻さんによると、宮部のケースはまさにUSJが抱えていた課題そのもの。リピーターがなかなか増えず、USJは3年連続の赤字を計上します。
負債がかさむ中、地元の大阪市も出資していたものの撤退し、完全な民間経営へと移行。先行きには暗雲が立ち込めていました。
家族で楽しめるパークへ
大きな転換点は2012年に訪れます。ハリウッド映画中心の大人向け施設から方針を転換し、こどもが喜ぶアトラクションを増やして家族で楽しめるエリアを新設しました。
「ユニバーサル・ワンダーランド」と呼ばれるこのエリアが大当たりし、USJは一気に息を吹き返したのです。
2つ目の転換点となったのが、2014年の「ハリー・ポッターエリア」の導入です。
人気映画シリーズの『ハリー・ポッター』はユニバーサル映画ではなくワーナー・ブラザースの作品。自社以外の映画を取り入れるという挑戦でしたが、これによって「USJ=ハリー・ポッター」というイメージが定着します。
北辻「映画人気に家族向けもあった、さらにまた映画人気ということで。私はエンタメの複合、エンタメのハイブリッドと呼んでるんですけど、これが本当に成功した秘訣です」
日本アニメが呼んだ新たな客層
USJはさらに日本独自の運営に乗り出します。
日本生まれの人気アニメ『ONE PIECE』や「ハローキティ」などとコラボし、期間限定でその世界観を体験できる「ユニバーサル・クールジャパン」を展開しました。
この魅力に飛びついたのは国内のファンだけではありません。日本のアニメは海外でも人気が高く、インバウンドの観光客が新たな客層として加わったことで来場者数はさらに伸びました。
最近では『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』とのコラボに加え、「ポケットモンスター」のエリアも誕生しています。
進化するアトラクション
宮部はスーパー・ニンテンドー・ワールドで使える「パワーアップバンド」をスタジオに持参していました。
エリア内でバンドを押し当てるとコインが加算され、ポイントがたまる仕組み。こういった仕掛けも、リピーターを生む一因。キーワードは、「そこでしかできない体験」です。
アトラクションの進化も続いています。
ドンキーコングをテーマにした「ドンキーコングのクレイジー・トロッコ」は、トロッコでジャングルを駆け巡り、水しぶきを浴びたり、途切れたレールをジャンプしたりする絶叫型のアトラクションです。
北辻「こうした絶叫型だけでなく、こども向けの優しいアトラクションもあるっていうのが、USJの家族向けにシフトした魅力ですね」
世界3位を支える懐の深さ
来園者数の世界ランキングを見ると、1位はアメリカのマジックキングダム(ディズニー)、2位がアメリカのディズニーランドで、それぞれ約1700万人。
USJは年間1600万人で第3位に位置し、東京ディズニーランドは4位、同じく25周年を迎えた東京ディズニーシーは第7位です。
ハリウッド映画からアニメまで、幅広いコンテンツを取り込んできたUSJの25年間。
北辻「懐の深さっていうのを感じますね。ゴールデンウィークも間もなくですけど、今年も大勢の方でにぎわうんでしょうね」
(minto)
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