ハメネイ師死亡でイラン情勢緊迫。エネルギー供給と外交、日本への影響は
2月28日、アメリカとイスラエルがイランに対して大規模な軍事攻撃を行ない、最高指導者ハメネイ師(86)が死亡しました。3月2日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、攻撃における情報戦の背景やホルムズ海峡をめぐる航行停止、日本が直面する外交上の難しい立ち位置について、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。
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この日の新聞各紙は一面でハメネイ師死亡のニュースを大きく報じています。
アメリカのドナルド・トランプ大統領が自身のSNSで死亡を明らかにし、国営のイラン通信もこれを報道。約37年にわたり宗教指導者として体制の頂点に立ち続けたハメネイ師の死亡が確認されました。
アメリカ側は今後、親米政権の樹立を目指していくとみられており、イランの政治体制をめぐる情勢は重大な局面を迎えています。
イラン国内では28日夜の時点で200人以上が死亡し、アメリカ軍も3人が死亡、5人が重傷を負いました。ハメネイ師は先月28日の早朝、自身の執務室で亡くなったとされています。
的確すぎた情報収集
今回の攻撃について、アメリカのCIAは当初夜間の奇襲を計画していましたが、新たな情報をつかみ、早朝の攻撃に切り替えたことが明らかになっています。
アメリカとイスラエルは、イランの重要人物の居場所と行動する日時を的確に把握していました。幹部が集まる会議の場所や日時を正確につかんでおり、直前に時間が変更された情報まで得ていたといいます。
CIAの情報収集に加え、石塚はイスラエルの情報機関モサドの存在を指摘します。
石塚「情報機関として大変能力の高い情報機関で、そこが相当情報収集に活躍したのではないか。それをアメリカのトランプ政権と共有するという動きもあったみたいですね」
船舶の航行が止まる
この事態は日本の暮らしにも影響を及ぼしかねません。
中東の原油を運ぶ重要航路であるホルムズ海峡では、船舶の航行が事実上できない状況です。イラン側からホルムズ海峡の通過は許さないという警告があり、日本郵船はすでに航行を取りやめて船舶を安全な場所に避難させました。
石塚「正式にホルムズ海峡が封鎖されたわけではないけれど、イランの海軍が船に『通らない方がいいぞ』『通るなよ』と連絡を船にしてくる。そういう連絡があってもなくても、ちょっと怖くてなかなか通れないですよね、今のホルムズ海峡は」
海峡の幅は約60キロで、船が通れる範囲は6キロほどです。この狭い航路を膨大な数の船が通り、原油やLNGを運んでいます。日本は中東からの原油に90%以上を依存しており、そのほとんどがホルムズ海峡を通って届きます。
石塚「これは少なからず影響があることは間違いない」
このままでは、日本だけでなく世界的にエネルギー供給への影響が出る可能性もあります。
航空便にも欠航の動き
航空便にも影響が広がっています。
日本航空は中東情勢の悪化を受け、羽田空港とカタールの首都ドーハを結ぶ路線の欠航を発表しました。当初は3月3日までの計6便でしたが、現地の空域封鎖が続いており、欠航期間は8日まで延長されています。
石塚「現実に空港が攻撃を受けたりしているところもあるらしいので、簡単には行けないということでしょうね」
日本の苦しい立ち位置
1日にはG7主要7カ国の外相による電話会合が行なわれ、アメリカ側から最新の動向や今後の見通しについて説明がありました。
出席した茂木敏充外務大臣は、イランによる核兵器の開発は決して許されないという立場を表明し、G7を含む国際社会と連携して必要なあらゆる外交努力を行なっていくと訴えています。
しかし、石塚は日本が踏み込んだ発言をするのは極めて難しいと指摘します。
石塚「それ以上踏み込んで、アメリカの攻撃を批判するのも、評価するのも、日本の今のポジションからすると非常に言いにくい。イランに対して報復するなとも、なかなか言いにくい」
どちらにも寄れない板挟み
背景には、トランプ政権を刺激するわけにはいかないポジションであるという事情があります。同時に、日本は中東の原油に大きく依存しており、イランとの関係も無視できません。
日本とイランはもともと関係が悪くなく、交渉ができる数少ない国のひとつです。しかしアメリカ側に寄りすぎれば、イランから「日本はアメリカ側なのか」とみなされるおそれもあります。
石塚「イスラム過激派に日本が攻撃される可能性もある。どっちの味方をしても日本は危ないという、非常に厳しい立ち位置です。逆に言うと、両方の仲介役をやろうと思えばできる立場でもあるかもしれない」
トランプ政権との関係と中東への資源依存の間で、日本は難しいかじ取りを迫られています。
(minto)
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