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その頭痛、熱中症のせいかも。「頭痛薬」に要注意!

その頭痛、熱中症のせいかも。「頭痛薬」に要注意!

ヘルステクノロジーズ株式会社が全国の20~70代男女867人を対象に熱中症に関する調査を実施。そこで熱中症を経験した人の約9割が、医療機関を受診していないことがわかりました。熱中症の症状として最も多いのが「頭が痛い」で64.5%。症状が通常の体調不良と似ているため、熱中症として認識されにくい可能性があるそうです。さらにその頭痛を治そうと市販の頭痛薬を使う際は、成分に注意が必要とのことです。7月26日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が、熱中症と頭痛の関係について解説しました。

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頭痛を引き起こすメカニズム

熱中症で頭痛が起こる場合、脱水により血液の量が減り、脳に十分な血液が送られないことによって、酸素と栄養素が不足して細胞が苦しくなるために痛みを発するため。

また、大量に汗をかくと塩分のナトリウムやカリウムが失われることで、神経のバランスが崩れて暴走し痛みを発するだけでなく、体温が上昇するとサイトカインという物質が増加して頭が痛くなることもあるそうです。

そのため「今のような暑い時期に頭痛がしたら、熱中症を疑ったほうが良い」と吉田先生は語ります。

熱中症かどうか見分ける方法

では、普通の頭痛か熱中症による頭痛か見分ける方法はあるのでしょうか?

熱中症の頭痛は頭全体に鈍い圧迫感を感じる痛みが特徴的で、偏頭痛といった頭の一部分の痛みとは異なります。

ただ、熱中症とは別に、筋緊張性頭痛も頭全体が痛むため、部位だけでの判断は難しいところ。
さらに見分けるポイントで大事なのが、他の症状も出ているかどうか。

めまい、吐き気、だるさ、頻脈(脈が速くなること)、尿の減少といった症状が同時に出ていれば、熱中症の可能性があるとのことです。

そして汗の量も重要なポイントです。初めは大量に汗が出ますが、重症化すると脱水症状で汗が作れなくなり、皮膚が乾燥することもあるそうです。

薬の選択が重要

そして、熱中症による頭痛で気をつけなければならないのが、頭痛を治すための薬の選択。これを誤ってしまうと大変なことになるそうです。

頭痛の時に使うのは一般的にロキソニンやイブプロフェンといった薬で、総称してNSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれるもの。

熱中症が原因の頭痛の場合は、吉田先生は「これは絶対に飲まないでいただきたいですね」と強く否定しました。

ロキソニンなどはドラッグストアなどで比較的安く手に入りやすいため、つい簡単に使ってしまいがちですが、これこそ注意しなければならない点。

腎臓はプロスタグランジンという成分によって血液の流れを保っていますが、ロキソニンなどはこの成分を抑えることで痛みを感じにくくしているため、当然、腎臓に送られる血液も減少してしまいます。

通常ならそれでも問題ありませんが、熱中症によって腎臓に送られる血液が減っている中で、さらにイブプロフェンなどの作用が加わると、より腎臓に血液が送られないことになり、急性腎障害に至ってしまうことがあります。

他にも注意すべき薬が

逆に熱中症の際に飲んでも良い頭痛薬は、カロナールなどアセトアミノフェン系だそうです。

ただ、これらを飲んでも熱中症自体が治るわけではなく、痛みを抑えることで熱中症への対策が遅れて重症化を招く危険があります。

また、熱中症か持病の頭痛かわからない場合、最近ではトリプタン系の頭痛薬が処方されるケースが多いそうですが、もし熱中症が原因の頭痛だと脳梗塞のリスクが高まる研究結果もあるため、注意が必要。

そして、ひと昔前まで頭痛用に処方されていたエルゴタミン製剤は、熱中症が疑われる時に循環不全を起こす可能性があるため、絶対に飲まない方が良いとのことです。

吉田先生は熱中症対策として「涼しい場所に行って水分、塩分を補給し、太い血管が通っている首や脇の下、足の付け根を冷やすと熱中症がおさまり、頭痛も解消される場合が多い」とアドバイス。

ただ、これらの対策を30~60分行なっても頭痛や倦怠感が改善しない場合、重症化している可能性があるため「必ず医療機関を受診していただきたい」とまとめました。
(岡本)
 

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