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中日・福敬登投手が3年間髪を伸ばし続けた理由

中日・福敬登投手が3年間髪を伸ばし続けた理由

月曜日の『CBCラジオ #プラス!』では野球実況を担当する光山雄一朗アナウンサーが独自の取材をもとに中日ドラゴンズ情報を紹介しています。6月30日の放送でピックアップしたのは福敬登投手。長年伸ばし続けていた髪を先日ばっさりと切ったことが話題となりました。実に3年間もの間、伸ばし続けていた髪。ファンからは批判的な声もあったといいますが、それでも福投手が髪を切らなかったのには、ある理由がありました。

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髪を3年も伸ばし続けた理由

6月下旬、リーグ戦再開のタイミングで、中日ドラゴンズの背番号34はこれまでとは違う姿でマウンドに登場しました。

今シーズンの初めには、肩にかかるほど長かった髪。
プレー中には髪が舞い、牽制の動きにも支障が出ることから、髪を束ねて登板していました。
さらに、汗が滴って首筋が痒くなり、汗疹に悩まされることもあったといいます。  

それでも髪を切らなかった理由、それは、「ヘアドネーション」のためでした。
病気や治療の影響で髪の毛を失ったこどもたちに、医療用ウィッグを届けるためのこの活動。
福投手はそのために3年間も髪を伸ばし続けていたのです。

プロ野球選手としての思い

福投手がヘアドネーションを決意した背景には、2022年から続けている小児がんなどの病気と闘うこどもとその家族への支援活動がありました。

ある日、抗がん剤の副作用で髪を失い、ニット帽を被っていたこどもと出会ったことが、彼の心を大きく動かしたといいます。
「自分に何かできることはないか?」と考えた福投手は、髪の毛を寄付することを決意しました。

光山は福投手への取材を通じてこう語ります。

「ヘアドネーションの行動に至るには、あえてこう言わせてください。ふたりの福敬登がいたからだと」

プロ野球選手・福敬登と、ひとりの父親としての福敬登。その2つの顔が、このヘアドネーションの決断につながったのだといいます。

実は福投手自身も、2022年に国指定の難病にかかりました。
身体の一部が骨のように硬くなっていくという原因不明の病気で、手術を受けたものの、現在も完治には至っていません。

脚のしびれや脱力感に悩まされながらも、懸命にマウンドに立ち続けています。
プロ野球選手としての福投手の経験から、ヘアドネーションを決意したのかもしれません。

父としての思い

福投手は、支援活動を通じて出会ったある家族のことが今も印象に残っているようです。

手術のために九州から愛知の医療機関まで来た親子。
その長距離の移動や、大がかりな手術の大変さに触れ、「こどもも大変だけど、それを支える親も本当に大変なんだ」と強く感じたそうです。

福投手自身も小さなこどもを持つ親であり「父として、自分にできることをしたい」と考えた結果のヘアドネーションだったのです。 

髪型への偏見と向き合いながら

男性であること、プロ野球選手であること。
その立場からすれば、長い髪は「普通ではない」と受け取られがちです。
福投手はファンから直接厳しい言葉をかけられたり、SNSで心無いコメントを目にすることもあったといいます。

それでも彼はヘアドネーションを明かさないまま、髪を伸ばし続けました。
理由を話してしまえば、違うフィルターを通して自分を見られてしまうことを懸念していたからです。

福投手はより良い状態で髪を提供するために、3年間トリートメントやヘアオイルによるケアを欠かさず行なっていたといいます。
医療用ウィッグに必要な髪の毛は、実に30人分。
福投手は「自分は30分の1の力にしかなれない」と話したそうですが、光山は語ります。

「その力っていうのは決して30分の1なんかではなく、とても大きな力になっていると思います」

難病と闘いながらマウンドに立ち続けるプロ野球選手・福敬登。
その姿が、多くの人に勇気を与え、ヘアドネーションという活動の理解を広げる一歩となっていることでしょう。
(ランチョンマット先輩)
 

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