なぜ?Googleが日本の公正取引委員会から排除措置命令

公正取引委員会は4月15日、アメリカの巨大IT企業Googleが自社の検索アプリだけを初期搭載するよう、スマートフォン端末のメーカーに強いていたとして、独占禁止法違反で排除措置命令を出しました。公正取引委員会が外国の巨大IT企業に排除措置命令を出したのは初めてとのことです。4月16日放送『CBCラジオ #プラス!』では、あらためてどのような点を公正取引委員会が問題視しているのか、この命令によってスマホの販売に影響はあるのか、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。
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Googleは遅くとも2020年7月以降、基本ソフトのアンドロイドを搭載したスマホ端末メーカー大手6社に対して、アプリを購入するための自社のストア「Google Play」の搭載を許可する代わりに、初期状態のスマホに自社のブラウザや自社の検索エンジンをまとめて搭載させ、初期のホーム画面など目立つ場所に配置させる契約などを結んでいました。
大手6社だけで国内シェアは8割を占めています。
また、メーカー4社と携帯キャリア1社に対して、Googleが広告サービスで得た収益の一部を分配する条件として、競合他社の検索アプリを搭載しないことを求める契約もしていました。
いったい何が問題?
あくまでも初期状態の話ですので、後から自分の好きな検索エンジンを選んだり好きなブラウザを入れたりすることはできます。
しかし、特にこだわりがなかったり、利用に問題がなかったりすれば、自然と最初から設定されているものを使用するのが一般的です。
実際に検索サービスの国内シェアはGoogleが約81%で、2位のYahoo!の約16%と比べると突出して高いです。
またネットで検索することを「ググる」という言い方も当たり前になるほど、Googleの検索エンジンは浸透しています。
これがスマホを初めて使う際に、検索エンジンやブラウザをどれにするか選択するという仕組みになっていれば、ここまでグーグルの独占状態になっていないかもしれません。
一方で人によってはいちいち選ぶのはめんどくさい、選ぶこと自体を複雑に感じてしまうということがありますので、初期状態で搭載させるのは便利という面もあります。
自由競争か端末の値下げか
とはいえ、やはりこの仕組みは公平な競争を阻害させる要因となっています。
石塚「巨大ITみたいなものが力をどんどんつけちゃって、規制が及ばないぐらいな感じになってる怖さを若干感じるので、市場原理を守ろうということももちろんあるんだけど、巨大ITって今本当にすごくなってきちゃってるでしょう?
公正取引委員会って各国にいろいろあるけど、自分の国のことをやるだけなんですよ。この力関係の違いってのもあるけど、万が一の時に誰が規制するんだっていうのは感じますね」
ヨーロッパでは先によく規制をかけていますが、日本の公正取引委員会もヨーロッパの機関と協力して今回の対応を行なっているという話もあるそうです。
ただ、今回の排除措置命令によって競争環境が改善される代わりに、各社へ利益が分配されることはなくなり、スマホの端末代金が上がる可能性もあります。
とはいえ、今後生成AIなどでさまざまな企業が新たな市場を求めて競争をする中で、巨大IT企業が独占的な力を持つことは必ずしもプラスには働きません。
Googleは「競争は阻害していない」と主張していますが、今後、日本の公正取引委員会がどのような対応をするのか注目されます。
(岡本)
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