アメリカが25%もの自動車関税を発動!日本経済に与える影響は?

トランプ米大統領は先月26日、関税政策の本丸といえる自動車関税について、日本車を含むすべての輸入車に25%の追加関税を課すと発表し、3日の発動を命じる文書に署名したと朝日新聞が報じました。トランプ大統領は「アメリカに敵対的な国よりも、日本やドイツといった友こそ自動車輸出でアメリカを痛めつけてきた」という持論を展開していて、日本への関税は避けられないようです。3月29日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、このニュースについて中京大学経済学部客員教授の内田俊宏先生が解説しました。
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25%という税率がそのまま日本にも適用されるとは考えていなかったという内田さん。
現在アメリカでは日本の乗用車に2.5%の関税がかかっていますが、4月3日からは27.5%、トラックに至ってはすでに25%かかっているため、なんと50%もの関税がかかります。
また、エンジンやトランスミッションといった機関部品にも追加関税がかかります。
内田さんは「アメリカには輸出してくるなという意思表示に見え、期限を切っていない以上、恒久的な対応」と語りました。
関税を上げる理由
アメリカはなぜ、日本などの同盟国に対しても強行的な態度に出ているのでしょうか?
内田「今まで税制面で優遇していた旧NAFTA、メキシコやカナダ、日本のメーカーも輸出拠点にしてどんどんアメリカに輸出していたんですけど、そちらにも25%原則としてかけます。
一部アメリカの部品を使っていたりすると少し軽減されるんですけど、メキシコやカナダからの輸出に25%かけるだけで日本やドイツは免除するとなると、そちらの生産を増やしてアメリカに対して輸出が増える可能性があるので、それもさせませんよと」
トランプ大統領は「ラストベルト」と呼ばれるデトロイトなどの工業地帯を復活再生させることを重要な公約として挙げています。そのためには車の輸入を減らしたいという思いがあるようです。
第1次トランプ政権の時は、追加関税を交渉のカードとして利用していましたが、今回はアメリカの貿易赤字の大きな要因が自動車であり、国内の工場で車を生産して雇用を創出したり賃金を上げるシナリオのための追加関税といえます。
日本が対応できることはある?
今回の追加関税によって日本の自動車メーカーは1~2兆円以上の打撃を受けるという試算もあり、日本経済新聞は原材料メーカーやディーラーなど間接的な影響を含めると、最大で13兆円もの経済価値が打撃を受ける可能性があると報じています。
今まで日本はかなりアメリカに投資や経済的な協力などを行なってきましたが、それは考慮に入らないのでしょうか?
内田「第2次トランプ政権が誕生した今年以降の投資の見通しなどを求めている。実績に関してはリセットされて、新たにどれだけ投資をするのか、農産物や防衛装備品をどれだけ買ってくれるのか、思いやり予算をどれぐらい増やしてくれるのか。これから上積みしなさいということでしょうね」
今後の見立てとして、日本の追加投資やアメリカからの輸入増加などに対して、段階的に関税を減らす取引が行なわれるのではないかと見る内田さんでした。
(岡本)
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