2006年、クリプトン・フューチャー・メディアから「MEIKO」に続いて発売された男性バーチャルシンガ―「KAITO」。今年2月17日のKAITO 19th Anniversaryのために「推定ラブソング」を書き下ろしたのは、ボカロPのあ子さん。MVのイラストを手掛けたのは、長くコンビネーションを続けてる葵山わさびさんです。3月23日放送のＣＢＣラジオ『RADIO MIKU』にはあ子さんが、2021年12月以来、約3年3か月ぶりの出演となりました。実はあ子さん、この『RADIO MIKU』とは番組開始の2021年から深いつながりがありました。聞き手は清水藍です。

あ子さんと番組の縁

今回のオープニングでは、あ子さんがKAITO 19th Anniversaryのために書き下ろした「推定ラブソング」をオンエア。
インタビューに先立ち、「我らがあ子さん」と紹介する清水。

2021年、ＣＢＣラジオは開局70周年キャンペーンとして「初音ミク」を起用したマンスリージングルを公募しました。
このうち4月分に採用されたのがあ子さんの作品。

あ子さんのジングルは、1ヶ月に渡りＣＢＣラジオの各番組で放送されました。
その年の12月11日には、ＣＢＣラジオで当時放送されていた『RADIO MIKU EX』に、初の女性ボカロＰとして出演。

さらに翌年1月から、あ子さんは『RADIO MIKU』とコラボ機会の多かった『たかぴぃのクリエイターズミッドナイト』（InterFM897）でアシスタントを務めるなど、何かと縁が続いたのです。

リミックス・オリジナル曲両方で「ボカコレ」参加

2月下旬にニコニコで開催されたボカロ楽曲投稿祭「ボカコレ2025冬」で、あ子さんはREMIX部門で「愛して愛して愛して」（きくお　REMIX by あ子）を投稿し、見事20位を獲得。

清水「ちなみに、あ子さんはリミックス曲だけじゃなくてオリジナル曲も『ボカコレ』のTOP100に巡音ルカの曲で参加されていました。いつ頃から曲の準備をされてたんですか？」

あ子さんによると、オリジナル曲「カーテシー」は前年12月下旬頃から準備していたそうです。

ちなみに番組が投稿した楽曲「おゆるしください」を聴いたかを確認する清水。

あ子「もちろん拝見しました。映像込みで世界観が独特で、観てても聴いてても楽しい作品で」

感想をもらったところで、「言わせてしまった」と恐縮、まさに「おゆるしください」状態となりました。

原曲へのリスペクトと愛

3年前の出演の際、あ子さんは、「リミックスはボカロPなりのラブレターなんです」という名言を残していたことに触れた清水。

清水「あの言葉がすごく印象に残っていて、いつもあ子さんのリミックス曲を聴く度に『本当にこの曲のことが好きで、こういうアレンジをしているんだな』としみじみ感じるんですけど。楽曲をリミックスする際に心掛けていることは？」

あ子「そうですね、今も『ボカロPなりのラブレター・ファンレター』っていう思いは変わりませんし。
今回も6日と時間はなかったけど、絶対100％の状態で出せると思ったからやりました。もし少しでも納得がいかない状態だったら出さなかったと思います」

リミックスする際は、原曲へのリスペクトはもちろんですが、自分なりの解釈を混ぜるそう。曲や歌詞が持っている距離感と大きく差が出ないようリミックスでしていると話します。

「ボカコレ2025冬」のオススメ曲

「ボカコレ」期間中は、他の投稿曲もよく聴いていると話すあ子さん。
今回の2025冬ではTOP100投稿楽曲を200曲、活動2年以内のルーキー部門で最終に残った500曲のうち、100位くらいから聴いていたそうです。

清水「ボカロP目線の楽しみ方ってあるんですか？」

あ子「クリエイター目線だと、できるだけ細かい音まで聴いて『あ、この人こんなところにこんな音入れてるんや』っていうのを聴き分けながら、サビ前は楽器が一つ減ったけど、サビになったら楽器が倍に増えた！とか」

そんなあ子さんの「ボカコレ2025冬」オススメ曲は、「あたしの姿は蜃気楼」（シシド feat.初音ミク）。

シシドさんとあ子さんは、一緒に楽曲作りもするなど見知った仲。いつもギターをカッコよく使っているところに惹かれるそうですが、この曲については「ボカロのイメージソングのようなイメージで作られているのが新鮮だった」とのこと。

インタビューでは、KAITOの魅力などについて触れた他、13人のバーチャルシンガ―を所有していると語りましたが、番組放送中のＸに「直近で1人増えていま14人になりました」とポスト。
あ子さんの作品世界はまだまだ広がりそうです。
（葉月智世）