無断コピーのハンドメイド作品が入賞…弁護士が解説する著作権問題

3月19日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』には、リスナーから「自分のハンドメイド作品のコピーが入賞してしまった」との相談が寄せられました。オリンピア法律事務所の原武之弁護士が、作品の模倣と著作権の問題について回答しました。
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ハンドメイドで布製の作品を作り、SNSにアップしているAさん。フォロワーからの「いいね!」やコメントが励みになっているそうです。
そのフォロワーでよくコメントするBさんは「素敵!真似したいです!」が口ぐせで、Aさんはそれに対し返信で感謝していました。
ところが…
「ある時、そのBさんのSNSを覗いてみて驚愕。私の作品をそっくり真似た劣化コピーのような作品の写真が掲載されていて、『市民文化展で入賞しました』とありました。
そして掲載されたもうひとつの写真は、作品の横に『作者の斬新なアイデアとデザインの意図が素晴らしい』と講評がありました」(Aさん)
悔しさを抑えきれないAさんですが、一方でこんな思いも抱えていました。
「『真似していいですか?』とのコメントに『ダメです』とも書けず、曖昧にした自分も悪いのかな、という気持ちで収めました。この場合、私はどうすべきだったのでしょうか」(Aさん)
その後もBさんは、他の作家の作品にも「いいね!」を押しては「真似したいです」とコメントしているそうです。
著作権侵害の難しい線引き
Bさんのように、他人の作品を真似して受賞することは罪にはならないのでしょうか?
原弁護士「著作権上の問題があるので、それを侵害しているということで著作権侵害に該当する可能性はあります」
訴えることは可能ですが、著作権侵害と認められるには厳格な基準があると指摘しました。
「著作権侵害」で訴えるためには「ほぼ同一」である必要があるとのこと。形に限界がある以上、パロディや改変はあり得るため、「インスピレーションを得た」という主張と「著作権侵害」は紙一重なのだそうです。
刑事罰を問うとなると厳格に判断されるため、「ほぼ同一」という状態でないと著作権侵害とは認められず、特に有名でない作品に関しては、より厳格な判断基準が適用されるということでした。
ポイントは「有名かどうか」
「例えばドラえもんやガンダムのような有名なものであれば、多少近くても侵害と言いやすい」と原弁護士。
著作権侵害の判断では「有名かどうか」という要素がかなり影響するということです。
北野誠は「だからもう誰が見ても、お前ミッキーマウス失敗したみたいなやつありますもんね」と例を挙げ、「あれはミッキーマウスというのがちゃんとわかってるから、みんなわかるわけですよね」と指摘。
原弁護士は「ハンドメイドだとわかりにくい」と述べ、このような場合は著作権侵害の判断が難しいと説明しました。
著作権以外の法的問題は?
著作権侵害に該当しない場合でも、他の法的問題がないのでしょうか?
「今回は相談者が明確な許可を出していないものの、曖昧に答えてしまっているため、違法とまで言えるものはなかなかない」と原弁護士は説明しました。
北野が「揉めたくないから濁した感じですよね。どういう対応が一番いいですかね?」と尋ねると、原弁護士は「著作権というのを意識してもらいたいということで、自分の創作物であるということはちゃんと言った方がいい」とアドバイス。
「著作権侵害に当たる可能性は否定できないので、きちんと警告をするというのは必要」とのことです。
警告で身を守る
「相手に悪気がない場合は、『Aさんの作品を見て、インスピレーションを得ました』と明記してもらえれば名誉も守られるので、そのような話し合いができるといいんですけど。少なくとも警告を出さないと、相手は甘い認識でいるので」と原弁護士。
「ハンドメイドだからなんとなく難しくなっていますが、インターネット上の画像など落ちているものを拾うと、著作権侵害の可能性が非常に高くなる」と説明しました。
つまり、ネット上の画像を無断で使うのが著作権侵害になるように、他人のデザインを許可なく模倣する人に対しても、きちんと警告をしておくことが大切だということです。
(minto)
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