東日本大震災では3,000人以上認定。「災害関連死」とは?

14年前の3月11日、東日本大震災が発生しました。地震や津波による直接的な死は免れたものの、3,000人以上が「災害関連死」のために命を落としたと認定されています。11日の『CBCラジオ #プラス!』では、光山雄一朗アナウンサーが、災害関連死について、アディーレ法律事務所弁護士の正木裕美先生に尋ねます。
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そもそも「災害関連死」とはどのようなものですか?
正木「地震による直接の死亡、例えば建物が壊れたとか、津波に襲われたとかではなくて、災害で負った怪我が悪化したとか、避難生活などで心身への負担が大きくてそれによっておきた病気で亡くなったという場合に、法律に基づいて災害が間接的な原因で死亡したと認められるものです。
災害によってけがをした、入院中に被災して人工呼吸器が外れて亡くなった、避難中の車内で過労・ストレスの結果、脳疾患が発生して亡くなったというように、災害と間接的な関係というのがポイントとなります」
最近では、昨年元日に能登半島地震が発生しています。
この時はどのくらいの方が「災害関連死」と認定されたのでしょうか?
正木「まだ認定待ちの方もいらっしゃるので増えている状況です。現時点では報道によると321人に認定が下りていますが、石川県内だけで、さらに230人の申請がされています。申請期限がないので、さらに増加していく可能性はあります」
支給審査委員会が判断
「災害関連死」はどんな法律に基づいて認定されるのでしょうか?
正木「災害弔慰金の支給等に関する法律になります。災害はひとつの市町で5世帯以上の住宅が滅したというような大きなものに限られていますが、これに認定するかどうかを判断するのは各自治体とされています。
市町が条例を設けて、医師、弁護士、自治体職員など有識者で構成する支給審査委員会というところが、災害が原因で死亡したのかどうか、すなわち、災害と死亡との間に法的な因果関係が認められるかということを判断します。
この因果関係は医学的な判断にはなりますが、ただ最終的には法的な判断になりますので、医師と弁護士が両方関与することが必要で、法的な判断と医学的な判断がバランスよくできるような委員構成が求められます」
「災害関連死」は国ではなくて自治体が認定するもの、というのがポイントです。
審査会が設置されていない自治体
正木「市町村が条例を定めます。それによって支給審査委員会というものが設けられ、そこで判断されます。法律上は条例を設けてくださいとなっていますが、いまだ条例が整備されてなくて、審査会が設置されてない自治体がままあります。
能登半島のときも、スムーズな救済に動けなくて、まずそこの整備からということで遅れてしまったことがありました」
いつどこで地震があるかわからないので、各自治体には対応して欲しいですね。
正木「いざ災害が起きたときに、至急認定をして欲しいという方が出た場合、まず条例を作らなくてはいけない。そこから担当の審査員になってくれそうな人を見つけて、確保をして、審査会を設置することになるので、数か月の時間がかかる可能性があって、機動的な動きができません。
南海トラフは30年以内に発生確率80%と言われています。明日にでも起きてもおかしくないという状況なので、少なくとも支給審査委員会を早急に設置できる状況だけは整えておかなくてはいけないという状況です」
500万円の災害弔慰金
「災害関連死」認定されるとどうなるのでしょうか?
正木「災害で直接亡くなった方と同様に災害弔慰金というのがでます。ご遺族に対して生計の維持者が亡くなったときは500万円、その他の方は250万円が支給されます」
場合によっては認められないケースもあるんですか?
正生「もちろん、過去の事例によってかなり否定されている場合もあります。そういう場合は裁判所に対して、取り消し訴訟という裁判を起こすことになります。争う期間は数か月では終わらず、何年単位になります」
申請してから、どんなスピード感で認定が決められるのでしょうか?
正木「月1回審査会を開くところが多いですが、自治体次第なのではっきりとは言えないです。ただ数か月くらいで出るのが多いかなと思います。
が、裁判となると年単位になってしまう。いまお金が必要という人に届けないといけないものなので、スピーディな審査が求められます」
まずは条例の整備
自治体によって条例が定められてないところは、その対応が求められるのではないでしょうか?
正木「その整備が第一段階です。合わせて『いざ認定しろ』と言われても、どれをどう認定していいか自治体もわからないです。
国は事例集を出してはいますが、細かい内容まで載っているものではない。個人情報の特定などがあるのでかなり情報がそぎ落とされています。
細かい事例を見たときに認定すべきか、そうでないか難しいことがあります。
だから自治体の認定、裁判所の認定、細かい個人事情を含めて、少なくとも自治体には公表して、早く正確な認定ができる状況を国も整えなければいけないという状況にあります」
(みず)
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