配当金のある生命保険とない保険、どっちがお得?
生命保険はいざという時のために備えておくための大事なものであり、積み重ねると結構大金を費やしているにも関わらず、意外としくみをよく知らなかったりします。1月27日放送『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)、「ズバリマネー相談室」のコーナーでは小宇佐・針田FP事務所のファイナンシャルプランナー、徳山誠也さんが生命保険の配当金について解説しました。
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今回紹介した相談のおたよりは、次のとおりです。
「先日、わが家の生命保険を見直していたら配当金がある保険と、ない保険があることに気づきました。
配当金がプラスされることはうれしいのですが、仕組みがよくわかりません。
配当金のしくみ、なぜ配当金がある会社とない会社があるのか、配当金がある保険に入ったほうが有利なのかなど教えていただけないでしょうか」(Aさん)
そもそも保険の配当金とは何なのでしょうか。
配当金とは、生命保険の契約者に対して保険会社が支払う剰余金、つまり利益のことです。
保険料は予定率というものに基づいて計算されますが、実際の運営結果が予定を上回った場合、配当金として還元されるという仕組みです。
ただ、還元されるのは有配当の保険であり、無配当の保険であれば利益が出ても配当金は出ません。
無配当の保険はなぜできた?
そう考えると有配当の保険の方が良く感じるのですが、なぜ無配当の保険があるのでしょうか?
有配当の保険にするか無配当の保険にするかは、保険商品を開発する際に新しく会社が決めるのですが、実際には保険会社の形態に大きく関わるそうです。
民間の生命保険会社は大きく相互会社と株式会社に分かれますが、相互会社は保険契約者がたくさんいる企業オーナーのひとりとして位置づけられるため、企業の利益をみなさんに分配しましょうという考えなのです。
一方で株式会社は利益は株主に分配されるため、契約者には配分されません。
有配当保険のデメリットは?
ただ、最近は相互会社という形態はあまり見かけなくなってきました。
戦後の日本では、生命保険会社は相互会社が主流だったため、かつては有配当保険が主流でした。
その後、高度経済成長期やバブル経済時には生命保険会社の運用利回りが良く、有配当保険は魅力的でした。
しかしその後、バブル崩壊により日本経済は悪化し、運用利回りもどんどん下がっていったため、有配当保険といいながら配当金はあまり付かなくなった時期が続きました。
そうすると、保険料の安い無配当保険のほうが人気となり、現在は逆に無配当保険のほうが主流となっています。
また、保険会社側も資金調達の柔軟性や経営戦略の自由度を高める必要が出てきたため、相互会社から株式会社に転換するようになってきたとのことです。
とはいえ、まだまだ有配当保険の商品はありますが、長期の資産形成としては有効である一方で、やはり保険料は無配当保険よりも高めということですので、メリット、デメリットを考えて選択するのが良いそうです。
(岡本)