ミシュラン料理人も絶賛!石の端材を活用した「魔法の器」とは?
墓石など石の端材を「もったいない精神」から、様々な料理を彩る食器を石で作ってみようと石の器を製作している稲垣石材店。
実際に石の器を使っているお店では、石のお皿やふたなど珍しい器から出てくる料理を見て、お客さんがビックリするそうです。
これまでおよそ50種類の石の器を製作してきた創業94年の石材店4代目が、愛知県岡崎市の地場産業を盛り上げようと仕掛けた唯一無二の器について取材しました。
端材の石が宝の山に?
稲垣石材店の4代目、稲垣遼太(いながき・りょうた)さん(31歳)は石の器などを製造販売する会社の代表を務めています。石の器の材料は、墓石などを製造する過程で出た端材。本来であれば産業廃棄物になるものを利用して器を作っています。その取り組みはまさに「もったいない精神」でした。
稲垣さん「昔は端材をいつ捨てようかな…という感じでした」
今は、端材の石を見ると器のイメージが湧いてくるようで、稲垣さんにとっては宝の山なのだそう。
使い込むほど色合いが変化する鞍馬(くらま)石や、厚みが揃っていて加工しやすい根布川(ねぶかわ)石、硬くて磨くほどに美しいツヤがでる黒御影(みかげ)石など、石という同じ素材でも色々な顔がある器に無限の可能性を感じています。
墓石がステーキ皿へ
稲垣さんは6年前までサラリーマンをしていました。
石の器を製作することになったきっかけは、実家に戻った際、器っぽく見える端材を見つけて「もしかしたら売れるかも?」と軽い気持ちでネットショッピングに出品したことだったそうです。
稲垣さん「それを見た神戸のステーキ店から『ステーキ皿を作って欲しい』という依頼が、最初の一歩でした」
しかし、最初はどうしていいかわからず、全くの手探り状態。そこで、石材店の従業員である職人に協力を仰ぎ、1年の歳月をかけて製作したのが黒御影石のステーキ皿です。
今までにない素材で作られたステーキ皿は、お店のお客さんからも評判も上々。お店の顔になったと聞いて、うれしかったと言います。
最近では高級旅館やミシュラン星付きレストランなどからも注文が舞い込むようになりました。
石を器以外にも活用
2020年4月に稲垣石材店内に新ブランドとして「イナセ」を展開し、これまで約50種類の石の器を制作してきた稲垣さん、器の製作以外にも次なる一手を考えていました。
キャッシュレス時代に対応した石のQRコードを彫刻した商品です。
高級なお店では、石のQRコードを置いておけばオブジェにもなり、お店のクオリティを上げつつ機能的に使えると見込んでいると話す稲垣さん。まだ置いている店は少ないですが、話題性も抜群です。
岡崎の地場産業の石を、「墓石や石碑だけではなくさまざまな所で使ってほしい、石の素晴らしさをもっと知って欲しい」と話す稲垣さんの挑戦は、まだ始まったばかりです。
CBCテレビ「チャント!」3月4日の放送より。