立浪ドラゴンズ、鍛錬の秋季キャンプ終了!様々な改革に選手も手応えバッチリ!
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
勝負は勝たなくてはいけない
歴史的熱戦となった今年の日本シリーズはヤクルトスワローズが20年ぶり6度目の栄光に輝いた。一野球ファンとしてこれだけ楽しめたシリーズはいつ以来だったろうか?それほど手に汗握る、しびれた試合を6試合も満喫することができた。しかしスワローズナインの歓喜する姿を目の当たりにして、正直、一抹の寂しさを感じたものだった。
ドラゴンズがこの舞台から遠ざかって早10年。
改めて思う。
勝負は勝たなくてはいけないのだと。
26日に打ち上げた秋季練習。負け癖を一掃する為に、そして来季セントラルリーグ、そして日本プロ野球の頂点に立つことを目標に始動した立浪ドラゴンズ。今週のサンドラは、様々な改革に手応えを感じ始めた選手たちをクローズアップし、来季への決意を聞いた。
手応え感じた秋の鍛錬
『しんどい練習によく頑張って耐えてきたと思うけど、これは必ずみんなの力になるから』
11月26日、秋季キャンプを打ち上げ、ナインに向け、訓示を述べた立浪監督。鍛錬を重ね、実りの秋となった約三週間。選手の頑張りを褒め称えた上、レギュラー陣のさらなる奮起を促した。
立浪監督『やっぱり試合に出ていた選手が一番頑張らないといけない。その中で京田、高橋周、木下拓あたりが結構必死にやっていたので来年は非常に期待しています』
このキャンプ、一番注目されたのが立浪監督自身によるバッティング指導。特に根尾、石川昂のドラ1コンビには身振り手振りでタイミングの取り方などを徹底的に叩き込んだ。
石川昂『自分はちょっとフォームに硬いところがあるので、手を動かして打てと言う事は立浪監督にも言われてきて、やっとキャンプ後半になってから掴んだというか、監督に“よし”と言ってもらえるくらいになったので良かったです』
立浪監督から外野一本で勝負するように告げられた根尾。レギュラー獲りには何をすべきか十分分かっているようだ。
根尾『バッティングが物足りないと正直自分でも思っていますし、周りからもそういう風に見られているという自覚はあるので、打つしかないかなと思っています』
課題は一にも二にも、今までも言われ続けてきた“打撃力向上”あるのみだ。
根尾『このキャンプで収穫したものを春のキャンプに向けて、しっかり仕上げていきたいと思います』
ゲストコメンテーターの谷繁元信元監督は根尾を活かすための決断だと外野一本の起用に理解を示した。
谷繁『(外野一本の指示は)根尾にチャンスを与えるということだと思います。肩もいいですし、あとは出場機会を与えるためにライトを守らせるということではないでしょうか』
チャンスを掴め!若竜たちよ
一方、現在レギュラー不在であるセカンドのポジション争いに名乗りを挙げるのは若手“外野手”たち。岡林、伊藤康が内野守備に挑戦!
伊藤康『荒木コーチにもワンバウンド目で逆算しながら捕球に入っていけるようにと言われているんですけど、なかなかそこが難しいですね』
岡林『なんとか気合いで乗り切っています』
岡林には荒木コーチから毎日ノックの雨あられ!慣れない内野守備克服にヘトヘトになるまでボールを追いかけさせた。バッテイングセンスの良い岡林をなんとか活かしたい立浪監督期待の表れと言えよう。
セカンドと外野両翼が空いている中で、若手を中心に様々なポジションを守らせた今回のキャンプ。谷繁さんは立浪監督のその意図について推論を述べた。
谷繁『これは危機管理ということと、ベンチの選択肢を増やす意味もある。来年になって急にやらせるのではなく、この秋の時点で経験をさせておくことが大切になるのでは』
若手にとっては一打席でも機会をもらいたいところ。慣れないポジションだろうが、しっかり成果を表す。これが来春キャンプまでの命題となろう。
徹底的なる下半身強化
リーグトップの防御率を誇った投手陣にとっても過酷なキャンプとなったようだ。
落合ヘッドコーチの指示による一時間連続投球でドラ1高橋宏が自己最多となる246球を投じた。この投げっぱなしの効果について谷繁さんはこう述べた。
谷繁『やっぱり投げるスタミナをつけるということでしょうね。今年先発陣が投じたイニング数が多くなかったので、そこを解消する狙いがあると思います』
未経験だった一時間ピッチングを行い、高橋宏は来季に向け手応えを感じたようだ。
高橋宏『リリースポイントだけ力を入れてという風に投げていったら、200球超えた頃に何か感覚を掴めたかなと思います』
実戦形式であるシート打撃で登板した高橋宏。最速150キロのストレートで打者を圧倒し、仕上がりの良さをアピールした。
今キャンプ、特に投手陣に課せられたのは下半身強化。ナゴヤ球場の観客席階段を何度も上る過酷トレを行い、徹底的に下半身を鍛えあげた。終盤には山井新二軍投手コーチ発案の雑巾がけトレーニングでダメ押し!下半身だけでなく全身を苛め抜く、投手陣にとっては過酷な練習が続いた。
投打のキーマン
立浪新体制での初めてのキャンプ。ここまで見てきて来季のキーマンに石川昂を挙げた谷繁さん。
谷繁『ドラゴンズには左バッターに同じようなタイプが多い。右で長打を打てる野手が少ないので、彼が出てきてもらわないと打線が活発にならないと思いますね』
気になるのは守備位置。
サード高橋周、ショート京田は不動と見られ、現時点で石川昂の勝負ポシションはセカンドかレフトではないかと予想する谷繁さん。
そして下半身トレ等、実戦というよりは地道な体力トレーニングに終始した感のある投手陣。この狙いについて谷繁さんはさも当然のように語った。
谷繁『投げることに対して下半身は特に大事。下半身が使えないと上半身、特に肩や肘に負担がかかり、ケガにつながる要素となります。まずはやっぱり下半身からですよ!』
技術を習得するのは春のキャンプ。対して身体が壊れてもいいから、体力アップを図るのが秋のキャンプと言われるが、まさにドラゴンズ投手陣にとっては徹底的に身体を鍛え上げる三週間となったようである。
また投のキーマンには大野の名を挙げた。
今年の成績は7勝11敗、この数字が最低逆ぐらい、大野で貯金を10ぐらい作らなければドラゴンズの浮上はないと断言。さらに谷繁さんは来季大野の起用方法についても言及した。
谷繁『大野を相手のエース級に当てているからこその数字。来年はローテーションを変えることも一つの手ではないでしょうか』
勝てる試合は確実にモノにする。
エース対決となり一点差で泣くケースが多かった今季を振り返っての提案と解釈するが、果たして来季の起用法はいかに!
若手には絶好のチャンス!
ポジションが全く空いていなく、控え組にとっては絶望感しか漂っていなかった落合監督時代はもう遠い昔のこと。現時点、一塁ビシエド、ショート京田、センター大島以外は立浪監督のお目にかなえば、ポジション奪取可能なドラゴンズ。必然と若手の目の色が変わるのも頷けよう。
今年日本シリーズに進出したスワローズ、バファローズともに共通して言えるのは、村上、紅林ら若手の活躍がベテラン組を刺激し、ケミストリーとなってチーム力を上げていたこと。若手組が実力を付ければ、必然的に今まで主力として活躍していた選手らの尻に火がつき、定位置を明け渡すまいと力が入る。結果、自ずとチーム力が増していく流れとなる。
また投手陣にも同じ理由が当てはまる。奥川、高橋奎、宮城らの好投を見て、ドラゴンズ先発陣の面々はどのような感想を持ったことだろうか。まさに若手が活躍するチームに栄冠はやってくるのだ。根尾、石川昂、岡林、高橋宏ら若手の活躍如何で来季のドラゴンズは劇的に変わる。そう信じたい。
春のキャンプまで二カ月。
秋で鍛えた体力、そして学んだ技術をいかに沖縄の地まで継続して身体に染み込ませて来られるか。若竜らの精悍なる姿を待ちたいものである。
がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!
竹内 茂喜