目標はハイレベルのアライバ!絶対的ショートを目指し、京田陽太は日々進化する!
「【ドラゴンズライター竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム」
令和のリードオフマン
昭和から平成、そして新たなる元号・令和の世に。ドラゴンズもその時代によってチームを牽引し、活躍していった選手が存在した。
昭和でいえば高木守道、平成では立浪和義という名が多くのファンから挙がるはずだ。ともに内野としてチームを守り立てた二人。とすれば幕が開けた令和ではまず誰がその役を担うのか?
京田陽太、彼しかいない。
OBの井端弘和氏、岩瀬仁紀氏も口を揃えて彼を推す。
“今シーズン、ドラゴンズ躍進のカギを握っているキーマンは京田”
ルーキーイヤーは新人王を獲得するほどの活躍を見せ、二年目の昨シーズンもショートのレギュラーとして143試合に出場。リーグトップとなる.991の守備率を誇り、チームにとっては欠かせない主軸へと成長した。しかし慢心はなかった。
『デビューからここ2年間は試合に“使ってもらった”立場。今年はどんな試合状況でもグラウンドに立っていられるようにしたい』
三年目を迎えた今年、自ら真価を問われる立場としてキャンプを迎えた。大物ルーキーとして鳴り物入りで入団した根尾昂の存在が大きかったのは言うまでもない。
『キャンプでしっかり差をつけて、根尾が一軍に上がった時には“京田さん違うな!”と思われるようにしたい』
ただ本音はこう言いたかったはずではないだろうか。
“京田さんには追いつけない”
キャンプでどん欲にアピールし、オープン戦でも結果を出した。与田監督も満足するほど、次世代のチームリーダーにふさわしい動きを見せていた。開幕ショートは京田で決まり!誰もがそう思っていた。
初の開幕スタメン落ち
3月20日、ナゴヤドームで行われたバファローズとのオープン戦。ライト平田からのなんでもない返球を後逸し、ビンチを拡大。そしてその裏の攻撃では、あっけない三球三振に倒れ、途中交代を命じられた。
『ゲームセットまでベストを尽くさなくてはいけない。選手は百数十試合やるかもしれないが、お客さんにとってはその一試合だけかもしれない』
与田監督曰く、懲罰交代ではない。ただしやるべきことをやれない選手は使わない。それは他のレギュラー選手、控え選手にも同じこと。至極当然の話だ。
迎えた開幕戦。スタメンには京田の名前はなかった。
『走攻守すべてにおいて、まだまだ詰めの甘いところがある。同じ失敗は繰り返さない!』
緩慢なプレーはひとつも許されない。初の開幕ベンチスタート。悔しい気持ちを胸に秘め、あらためて心に刻んだ。
『ドラゴンズが上に行くには京田がすべてだと思っている』
かつてアライバコンビとして一時代を築いた名ショート・井端氏は彼の更なる奮起を期待し、阪神タイガースのトップバッターとしてチームを牽引した赤星憲広さんとともに攻守における飛躍への提言を寄せた。
甘い球を見極め、しとめる
打については、1、2番を打つのであれば最低でも打率は2割8分を残すこと。率向上のカギは四球を選ぶことにあると井端氏は話す。
『昨年は四球が143試合で19個。ここから50、60と増やすことができれば、2割5分の打率が2割9分まではね上がる。四球でも何でもいいから“出塁すればいいんだ”という意識になればもっと打てるようになる』
.266から.350
昨年の出塁率から5月4日時点の出塁率の変化である。
『昨年まではストライクを取られると“あっ!しまった!”と思っていたが、今年は勇気を持って見逃せている。3ボール2ストライクからは結構甘い球が来る。これが最近分かるようになってきた』
今シーズン、3ボール2ストライクの場面で.357と高打率を記録(5月4日時点)。甘い球を見極め、しとめる。シーズンを通して、打に関する京田の目標である。
目標はアライバのような堅守
『内野安打を減らして欲しい』
もう一歩スタートが早かったら、アウトにできたのでは?と思えた機会をよく見たという赤星氏。京田もその点はよく理解している。
『多くの人によくチャージが弱いと言われるので、一歩目を大事にしている』
難しい当たりをファインプレーするのは見た目も良い。しかし当たり前のプレーを当たり前にこなす大事さを追求する。
『井端さんや荒木さんが守っている時は、そこにボールが飛んだら誰もがアウトだと確信する。たぶんピッチャーも振り返らないと思います。ボクもそんな内野手を目指したい』
落合監督時代の黄金期、井端氏はバッターによって守備位置を変え、飛んでくるであろう打球に備えたという。相手に隙を見せない、与えない。そんな姿を見て、二塁を守る荒木現二軍コーチも守備の意識を向上させ、天下のアライバコンビを形成していった。常に起こり得る一歩先を考える、そしてその準備をする。今、京田に必要な課題はここにある。
相手チームに嫌がられる選手になれ
平成のドラゴンズの牽引車でもあり、この日サンドラ・ゲスト解説者として出演した立浪和義さんは次世代のリーダー候補に及第点を上げ、エールを送る。
『年々攻守ともに上達している。ただ彼は表情が出ないタイプ。もっと感情をあらわにしてもよいのでは?』
敵の投手、そして打者に最も嫌がられるリードオフマンに成長して欲しい。多くのドラゴンズファンはきっと願っているはず。
彼が絶対的ショートに成長した時、必ずやドラゴンズに黄金期はまた訪れる。
がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!
(ドラゴンズライター 竹内茂喜)