イギリスで見た超高齢社会への取り組み・・・日本との違いは?
後藤克幸
急速に進む「超高齢社会」は日本だけの問題ではありません。
イギリスも日本とたいへんよく似た状況の中、お年寄りの健康を支えるさまざまな取り組みが進められています。日本と共通する悩みもあれば、日本とは違った取り組みもありました。最新事情の報告です。
●イギリスの医療現場を取材?今なぜ?
65歳以上のお年寄りが人口に占める割合が今後急速に増加。住み慣れた地域で楽しく過ごせる地域医療の仕組みづくりが重要課題に・・・これは、日本もイギリスも共によく似た状況に直面しています。
また、医療制度の面でも、民間保険で格差社会が深刻なアメリカとは違って、イギリスの医療は、NHS(ナショナル・ヘルス・サービス)という国の機関が運営していて、国民皆保険で国の税金も投入されている日本の医療とよく似ています。日本の医療の今後を考える上で、共通課題が多く参考になることも多いのです。
●どんな所に行ったの?
10月の上旬、私は、イギリス北部のアバディーン市という街を訪問しました。北海油田の基地として知られる街です。人口23万人。今回、認知症のお年寄りの支援センターなどを訪問したほか、介護のさまざまなプログラムを提供するケア施設のリーダーとの情報交換にも参加しました。
●「病院」中心の医療から、「地域」中心の医療へ・・・
従来の医療は、病気になったりケガをしたりして「患者」になって初めて「病院」に行く医療でした。しかし、超高齢社会の医療は、年をとっても「住み慣れた地域」で健やかな暮らしを続けたいと願う人たちを支える医療がとても重要になってきます。具体的には、病気の予防や生活習慣の改善が重要な医療分野になります。病気やケガをした「患者」だけでなく「健康人」も医療の重要な参加者というわけです。
●そうした課題に、イギリスでの取り組みは?
イギリスでは、身近な街の中の薬局で、さまざまな医療サービスが受けられる仕組みになっています。写真は、アバディーン市のショッピングモールの中にある薬局ですが、その看板を見ると例えば、NHS(ナショナル・ヘルスサービス)が推奨している禁煙外来の指導が受けられます。また、生活習慣病の代表格である「糖尿病」の自己管理を支援するサービスなども提供されています。日本では、禁煙外来も糖尿病の指導も病院で行なわれますが、イギリスでは、地域にある薬屋さんがクリニックに近い機能と権限を持って市民の健康を見守る・・・「病院」中心から「地域」中心の医療へ・・・という新しい医療のカタチが作られていました。
●「認知症」対策も日英共通の重要課題!
認知症のお年寄りを支援する施設を訪問しました。認知症のお年寄りが通ってきて、さまざまなイベントプログラムに参加する・・・日本のデイサービスセンターのようなところです。そこで驚いたのは、プログラムの多様さでした。日本のデイサービスでは、「手芸」や「合唱」など女性向きのプログラムが多いため、男性のお年寄りは参加したがらない人が多い・・・というのが課題になっています。
ところが、イギリスの施設では、女性も男性も共に楽しめようにさまざまに工夫を凝らしたイベントプログラムが、毎日たくさん用意されていました。とくに興味深かったのは「サッカーの思い出を語ろう!」というプログラムで、往年のサッカー選手やサッカーチームの活躍について語り合おう・・・というものです。このプログラムは男性に大人気で、男性のお年寄りたちは、これを楽しみに嬉々として施設に通ってくるんだそうです。日本なら「相撲」や「野球」をテーマに、こうした男性向けのプログラムを作ったら良いのでは・・・と思いました。男性も楽しくデイケアに集まってくれるようになることが期待できそうです。
●イギリスでは、独自の財源確保への努力も・・・
もうひとつ、日本も参考になると思ったことがありました。訪問した認知症の支援施設では、アバディーンの街の中に「チャリティーショップ」を何カ所も開設していて、さまざまなグッズを売ったり、チャリティーイベントを開催したりして、市民から寄付金を集める努力をしています。この認知症施設では、建物の提供と数名の正規職員の雇用は公的資金から支出されていますが、日常の運営費のほとんどは、市民や地元企業からの寄付で賄われています。ボランティアの人たちも多数参加していました。
こうした独自の財源確保のための努力は、日本の介護施設にとっても大いに参考になるのではないでしょうか?介護保険や税金などの公的財源だけに頼りすぎていては、できることが限られてしまいます。お年寄りたちのために、多様なサービスを工夫を凝らして提供するためには、地域の人たちに対してもっと情報発信をして、応援してくれるサポーターを増やす取り組みが、日本でもこれからどんどん盛んになっていくと良いですね。
国内最大の旅の見本市『ツーリズムEXPOジャパン』とは?
後藤克幸
東京で、『ツーリズムEXPOジャパン』という見本市が開かれます。
・国内最大の「旅の見本市」
・日本はもちろん、世界100カ国以上の国から、旅行業者や観光地の関係者・・・毎年18万人以上が訪れる大きな見本市!
・会場では、たくさんのブースが設けられ、セミナーや商談会なども行なわれ
観光ビジネスの情報交流の場となります。
●今年の注目は・・・
2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた観光戦略に世界の関心が高まっています。
そこで今回は、東京五輪をテーマにした「特別フォーラム」が開かれ、新たな観光ビジネスの可能性を議論することになっています。
これ、どういうことかといいますと・・・
国土交通省が現在、全国13カ所の「観光圏」を認定して新たな観光需要を掘り起こそうというキャンペーンを行なっています。
この地方では、静岡県の「浜名湖」が認定されています。
この『観光プラン総選挙』では、各地が知恵を絞った「観光滞在プラン」を提案し、国民投票で TOPスリー を選ぶというもので、今回の『ツーリズムEXPO』の会場で、投票の方法など総選挙の詳しい内容が発表されます。
さらに・・・認定されている13地域の代表が一堂に会して、総選挙の第一声となる、それぞれのプランのPR合戦を、熱く繰り広げる予定です。
日本の経済成長戦略にもなっています。
日本の観光ビジネス・・・その魅力を世界にどこまでアピールできるのか?
熱い視線が集まる「見本市」となりそうです!
「防災の日」思いをはせる・・・大災害の教訓
後藤克幸
●9月1日は「防災の日」。なぜこの日なのでしょうか?
死者・行方不明者10万人以上という未曽有の大災害だった「関東大震災」が起きたのが、
1923年(大正12年)9月1日のことでした。
「防災の日」が定められた理由に、もうひとつの歴史があるのをご存じでしょうか?
1959年(昭和34年)の9月に名古屋地方を襲い、死者・行方不明者5000人以上という
大きな被害をもたらした「伊勢湾台風」です。9月は一年で最も台風上陸数が多い季節ということもあり、「伊勢湾台風」の翌年、1960年(昭和35年)に、国民全体で「防災」を考える機会にしようと「防災の日」が定められました。
●その後もさまざまな大災害が日本を襲いました
大災害が、私たちの社会に残した教訓を振り返ってみましょう。
「阪神淡路大震災」(1995年1月17日)では、犠牲者の8割が建物倒壊などによる圧死でした。この教訓から、建物の耐震性を強化するための「建築基準法の抜本的改正」(1998年)につながりました。
「東日本大震災」(2011年3月11日)では、大津波の被害に加え、過酷な原発事故が発生。津波対策の強化や高台への街の移転などが進められる一方で、原発事故の処理と復興は困難を極めています。遠くヨーロッパでは、ドイツが「脱原発」へ国の政策を大きくシフトするなど、海外の原発政策にも大きな影響を与えました。
●教訓を未来へつなぐ・・・
大災害の辛い経験の中から、私たちは多くの教訓を学び、未来へつなぐ使命があります。
その基本は、こんな言葉で表されます。
『過去の被害は消せないけれど、未来の被害は、減らすことができる』
この言葉を胸に刻んで、今の暮らし、社会のありかた、そして未来を考えるのです。
来るべき「南海トラフ巨大地震」にどう備えるのか?国や行政の取り組みについて、さまざまな議論が続いています。
一方、私たち自身も、それぞれの地域で、家庭で、「未来の被害を減らすために」何ができるか?何をすべきか?・・・9月1日「防災の日」を機会に、じっくり考えてみたいですね。
「平和首長会議」...核兵器のない世界の実現をめざして
後藤克幸
●長崎市で4年に1回の「平和首長会議」が開かれました
1982年に広島市と長崎市の市長の呼びかけで設立された「平和首長会議」には、
世界の162の国と地域から7400を超える都市が加盟しています。核兵器廃絶を目指して
世界の街が連携しようと、4年に1回、広島と長崎で交互に開かれます。今年はその開催年。
8月7~10日の3日間、「核兵器のない世界の実現をめざして」をテーマに長崎市で開かれました。
●今回の「平和首長会議」がとくに世界から注目される理由があります。
7月に国連で「核兵器禁止条約」が国連加盟国の6割以上の賛成を得て採択されました。戦後初めて、国連の場で「核兵器は違法な兵器」と明確に位置づけられました。しかし、世界唯一の被爆国の日本と、アメリカ、ロシアなどの核保有国は、この条約に賛同しませんでした。
その直後に開かれた今回の「平和首長会議」では、採択された「核兵器禁止条約」を具体的に機能させ世界の核兵器廃絶を実現するために世界の各都市が何をすべきか?また、核保有国に対して条約への早期の参加を促すためにどのようなアピール活動をすべきか?・・・など、とても重要な話し合いが行われる会議となるからです。
●現実は厳しいのも事実。しかし・・・
「核兵器禁止条約」の採択は、被爆者の切実な声を反映した画期的な成果でしたが、それ自体がゴールではありません。世界には現在、1万5000発近い核兵器が存在しています。
長崎市の田上市長は、9日の長崎原爆の日の「平和宣言」で、『核兵器が必要と言い続ける限り核の脅威はなくなりません。核兵器を持つ国々と核の傘の下にある国々に訴えます。核兵器によって国を守ろうとする政策を見直して下さい。日本政府に訴えます。核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できません。唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への1日も早い参加をめざし、核の傘に依存する政策の見直しを進めて下さい。日本の参加を国際社会は待っています』と強く訴えました。そして、「平和首長会議」にもふれて田上市長は、『世界7400の都市が参加する平和首長会議のネットワークには、戦争や内戦などつらい記憶を持つまちの代表も大勢参加しています。小さなまちの平和を願う思いも、力を合わせれば、そしてあきらめなければ、世界を動かす力になることを、ここ長崎から、平和首長会議の
仲間たちとともに世界に発信します』と宣言。
●そして「平和首長会議」最終日の8月10日。
国連で7月に採択された「核兵器禁止条約」の早期発効をめざして、すべての政府に署名と批准を求めていくことを掲げた「ナガサキアピール」を発表して、会議は閉幕しました。
「土用の丑」に想う・・・ウナギの今
後藤克幸
【CBCテレビ イッポウ金曜論説室】
●今年の夏は「土用の丑」の日が2日あります。
一般に、夏の「土用」は、立秋の前の18~19日の期間をさし、
この中で、十二支の「子・丑・寅・・・」を割り振った日をあてていくと、
「丑の日」が今年は、7月25日と8月6日の2回あるのです。
●ウナギを食べるのはなぜ?
土用の丑の日にウナギを食べる風習の起源については、諸説ありますが今回は2つご紹介しましょう。
「平賀源内」説;そもそも天然のウナギは、夏が旬の魚ではなく、冬眠に備えて栄養を蓄える秋が美味しいんだそうです。江戸時代の学者、平賀源内は、近所に住んでいた魚屋さんから「夏のウナギは人気が無くて売れ行きが悪い。夏にウナギを売る良い方法はないでしょうか?」と相談を受け「真夏の土用の丑の日に、ウナギが夏バテ防止に効く、といって売り出したらどうか」とアドバイスをし、それが大当たりして庶民に広まった・・・というのです。
「万葉集」説;万葉集の中に、大伴家持が詠んだという次のような歌があります。
石麻呂に われ物申す 夏やせに
よしといふものぞ 鰻とり召せ
この歌は、石麻呂という友人が夏バテでお疲れ気味だったときに、家持が、夏やせにはウナギを食べると良いと言いますから、ぜひ召し上がってくださいよ、と勧めている歌なんです。
古く万葉の昔から、ウナギは夏バテ防止に効果があるとして食べられてきた・・・という説です。
●日本人に古くから親しまれてきたニホンウナギ・・・今では絶滅危惧種
古くから日本人に親しまれてきたウナギ。農林水産庁の統計年報によりますと、ウナギの稚魚、シラスウナギの日本での漁獲量は、1950年代には年間200トン前後でしたが、現在では、10トン前後に激減。日本ウナギは、絶滅危惧種に指定され、ウナギの生息環境の保護や乱獲防止などの資源保護対策が求められています。
今年は2回ある「土用の丑」の日・・・改めて自然の恵みに深く感謝しながら、夏の疲れを癒す機会としましょうか。
【CBCテレビ イッポウ金曜論説室】
The Beatles 来日50周年に想う「Love&Peace」
後藤克幸
1966年6月29日。
CBCが招へいしたビートルズが羽田空港に到着。
4人は、はっぴ姿でタラップを降り笑顔でファンに手を振った。
7月2日の帰国まで5日間の短い滞在中、
日本武道館で5回のライブコンサート。
来日記者会見の記録を改めて読んでみて、
興味深いやり取りに気づいた。
(記者)あなたたちは、すでに名誉と財産を得たと思いますが、
次は何を望みますか?
ジョン;平和。
(記者団が爆笑)
ポール;ぼくも、平和。
ジョン;平和 と・・・
ポール;平和 と・・・
ポール;原子爆弾を禁止しようよ!
ジョン;そう、原子爆弾の禁止!
というくだりが記録されていたのだ。
記者が「名誉と財産を手に入れたあなたたちは、次に何を望むの?」と
質問したのに対して、ジョンが「PEACE!」 と答えたとき、
記者団から大きな笑いが起こった。
質問の趣旨とその場の空気から考えると、
記者たちは、おそらく「PEACE!」という言葉を
「静かな生活(を送りたい)!」という意味に解して、
そのユーモアに思わず爆笑したのだろう。
でも私は、
ジョンとポールは、そういう意味も込めたかけ言葉として「PEACE!」と
ユーモアをこめて答えたけれども、実は、
大真面目に「平和!」と言いたかったのでは、とも思う。
その根拠は、
二人は即座に、「PEACE and・・・」と続けて、
ポールが示し合わせたように「原子爆弾を禁止しよう!」と発言。
さらに、同じ記者会見の中の別の質問では、
こんなやり取りもあるからだ。
(記者)ベトナム戦争について関心はありますか?
ジョン;毎日そのことを考えているよ。
この戦争には賛同できないし間違っていると思う。
ビートルズの来日は、1966年。
翌1967年に「All You Need Is Love(愛こそはすべて)」を発表。
1968年には、ジョージ・ハリスンも、
彼の出世作でエリック・クラプトンとレコーディングで共演した名曲
「While My Guitar Gently Weeps」で反戦へのメッセージを歌った。
ビートルズは、1966年6月29日の来日記者会見で、すでに、
「Love and Peace」のメッセージを私たちに発信していたのだ!
沖縄へ旅行されるなら・・・
後藤克幸
夏休みに、もし沖縄へ旅行される方がいらっしゃいましたら、ぜひたくさんの方に訪問してほしいと思うのが、『旧海軍司令部壕跡』です。那覇空港から車で15分ほどの所にあります。沖縄戦で、日本海軍が、激しいアメリカ軍の攻撃に抵抗して持久戦を続けるために地下壕を掘って司令部を置いた場所で、今は、地下壕の中に、悲惨な戦争の実情を伝える様々な資料が展示されています。この中でも、特に、心を打つのは、当時の司令官が海軍本部にあてて打った『沖縄県民かく戦えり』という電報文の展示です。
沖縄県民は、青年も老人も女性もみんな防衛戦に駆り出され、砲爆撃の下でさまよい、看護婦も身寄りのない重傷者を助けて一緒にさまよい歩いています。沖縄の実情は言葉では形容できません。一本の木、一本の草さえすべてが焼き尽くされて食べ物もありません。沖縄県民かく戦えり。県民に対して、なにとぞ後世特別のご配慮を賜りますようにお願いします・・・と書かれていました。
"沖縄に後世特別のご配慮を"・・・。司令官のこの悲痛な叫びは今、どこに・・・?
超高齢社会の在宅医療
後藤克幸
論説室・CBCラジオ・名古屋大学医学部の共催による健康シンポジウム「超高齢社会の在宅医療」が3月7日、CBCホールで開催されました。医療現場と市民社会の情報共有を深め、医療に関する的確な知識を届けるラジオ番組として、「広瀬隆のラジオでいこう!」7時台コーナー『健康ライブラリー』を2年間続けてきました。放送で発信してきた身近な健康情報の中から、超高齢社会への対応として国の医療政策が急速にシフトしている「在宅医療」をシンポジウムのテーマに選びました。
第1部は、在宅医療に積極的に取り組まれている、あいち診療会の内科医、野村秀樹先生が講演。野村先生は、実際の診療現場での事例を具体的にあげながら、◆在宅医療を受けるための基礎知識◆納得のいく在宅医療を受けるためのアドバイスなどについて、わかりやすい語り口で説明しました。
第2部は、パネルディスカッション。在宅医療の現場で活躍するさまざまな専門家、医師、看護師、薬剤師、ケアマネジャー、社会福祉士が◆病状急変の不安◆介護家族の重い負担◆老老介護の破たん・・・などの難しい課題をどう解決していけばよいのかについて話し合いました。
このシンポジウムの内容は、CBCラジオのホームページに詳しく掲載していますのでご覧ください。
https://hicbc.com/radio/hirose/kenko/150307_event.htm
女性の活躍支援
後藤克幸
新年度の政府予算案の中で、女性の活躍支援は、成長戦略の重要な柱と位置づけられています。あまり大きく報道されていませんが、厚生労働省の「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」が1月23日、医療界における女性支援策の現状について報告書を公表しました。
報告書によりますと、女性医師が活躍する割合は年々高まっていて、現在、医学部の学生の3分の1が女性。将来、男女ともに「職場」と「家庭」を両立させながら医療現場で活躍できる環境を整えることが重要な課題になっています。
とくに、医療界は、医療技術の進歩や新しい薬の開発が日進月歩。女性医師が出産や育児によって一時的に職場を離れた場合、その間の医療情報の進展が急速なため、復職に大きな不安を抱える人が多いのです。報告書では、出産、育児により一定期間職場を離れた女性医師の復職が円滑に進むよう、ブランク期間の医学情報の更新や診療技術を補い、現場の感覚を取り戻すための支援が必要だ、と訴えています。
こうした中、地元名古屋市内の病院に勤務する女性医師が中心となって・・・
認知症に国家戦略
後藤克幸
認知症の高齢者が10年後の2025年には、700万人に達するという推計が、厚生労働省から発表されました。現在460万人余りとされていますから、約1.5倍に増える計算です。
医学・医療の進歩によって人類は、長寿を実現した一方で、認知症という病と向き合う宿命を負ったともいえます。昨年秋、認知症予防をテーマにした国際会議が東京で開かれ、その中で日本政府は、認知症対策を国家戦略と位置づけて取り組む姿勢を表明しました。国際会議ではまた、世界中の研究者が、認知症予防と治療の研究に取り組んでいる現状も報告されました。
最近の研究によって、認知症になりにくい生活習慣があるらしいということが、しだいに明らかになってきています。
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