中日vs巨人・戦いの歴史ひとかけら

北辻利寿

2017年8月18日

画像:足成

プロ野球の2017年シーズンも大詰めを迎えています。
ナゴヤドームでは、夏休み後半に中日ドラゴンズと讀賣ジャイアンツの2連戦がありますが、伝統あるこの両チームは、1936年(昭和11年)からこれまでに1907試合戦っています。
ドラゴンズ側からの通算対戦成績を見てみますと、ドラゴンズの827勝1025敗55分。
昨シーズン、最下位だったドラゴンズですが、ジャイアンツには13勝11敗1分と勝ち越すなど、このところ頑張っている印象が強いのですが、通算対戦成績では200勝近い差をつけられています。
やはりジャイアンツは強いですね。
様々なドラマを歴史に刻んできた両チームの対戦ですが、何と言ってもまず思い浮かぶのは、シーズン最終戦に同率で並び、勝った方が優勝という1994年(平成6年)10月8日いわゆる「10.8」決戦です。
地元ナゴヤ球場で戦ったドラゴンズ、6対3で長嶋茂雄監督率いるジャイアンツに破れましたが、肩を脱臼しても一塁にヘッドスライディングした立浪和義選手の鬼気迫るプレイなど、数々の記憶を残しました。
毎年8月になると思い出すのが、近藤真一(現・真市)投手がプロ入り初登板初先発で、ジャイアンツ相手に見事ノーヒットノーランを達成した1987年(昭和62年)8月9日のゲームです。
高卒ルーキーをいきなりジャイアンツ戦に先発させるという星野仙一監督の大胆な選手起用が、ドラゴンズの歴史に素晴らしい1ページを残しました。
近藤さんは現在ドラゴンズの1軍投手コーチ。若くて粋のいい、そしてファンを夢中にさせるような投手をどんどん育ててほしいですね。

もうひとつ8月の記憶としては、66年前の1951年(昭和26年)8月19日。
中日スタヂアム(現ナゴヤ球場)のスタンドで火災が起き、3人が死亡、300人以上がケガをするという大惨事になりました。
これもジャイアンツ戦です。この時のスタンドに当時は小学生だった高木守道さん(後にドラゴンズの名二塁手さらに監督)が観客としていたというエピソードは有名です。
記憶から記録に目を向けてみましょう。2003年(平成15年)9月16日のジャイアンツ戦の6回裏、ドラゴンズは何と11連続得点をあげました。
1イニングでの11連続得点はセ・リーグ記録です。
この時の監督は途中休養した山田久志監督に代わって采配をふるっていた佐々木恭介監督でした。翌年からは落合博満監督が率いた8年に及ぶ黄金時代、その兆しを感じさせる勢いでジャイアンツに19対2の圧勝でした。
逆に残念な記録もあります。
1ゲームで6個の併殺というのはプロ野球記録ですが、これは、1950年(昭和25年)4月29日にドラゴンズがジャイアンツ戦で喫しました。
野球は普通9イニングですから、6併殺というのはなかなか破られることのない不名誉な記録です。この時は21対6で、もちろんジャイアンツが勝ちました。
このようにプロ野球はじめスポーツは、「記憶」を辿り「記録」を意識して観戦するとさらに楽しみが増すと思います。
そして何といっても大切なことは「現在(いま)」です。
1907試合戦ってきた中日ドラゴンズと讀賣ジャイアンツ、次の試合でどんな新しい「記憶」と「記録」を残してくれるか、楽しみですね。

【イッポウ「金曜論説室」より  by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】