名古屋市山崎川の桜満開を迎えている名古屋の桜。去年7月、その名古屋の桜に危機が迫っているという心配なニュースを放送しました。今まで日本にいなかった、桜を枯らしてしまう外来生物が名古屋市港区で見つかったのです。このニュースを桜の季節に改めて取材したところ、由々しき事態になっていることがわかりました。問題になっているのは、桜の木を枯らしてしまう危険な外来昆虫「クビアカツヤカミキリ」です。赤い首が特徴で体長は2.5〜4センチ程と大型。幼虫が桜や桃の木を食い荒らして被害をもたらす「大害虫」で、特定外来生物に指定されています。名古屋市港区では、去年7月に取材した当時、180匹見つかりました。中国からやってきた外来種天敵がいないため一気に拡大環境省によりますと中国からやって来たというこの害虫の被害は去年の段階で関東、関西、四国に広がっていました。おととし、徳島県の桃畑で木を幼虫が食い荒らし壊滅的被害に。外来種なので日本に天敵はおらず、1箇所の畑で1000匹以上が発生しました。また大阪府では5年前から桜の木が大きな被害を受け、伐採せざるを得なくなった場所も。恐ろしいのはその繁殖力です。クビアカツヤカミキリは木の表面に一度におよそ300個も卵を産み付けます。かえった幼虫は樹皮のすぐ下にある道管部分を食い荒らします。水や栄養が運ばれる道管部分がやられるとそこから木が枯れてしまいます。それにより木から幼虫のフンと木くずが混ざったものが排出されこのくずが見つかれば、木が枯れるのは時間の問題です。関東ではこの害虫が群馬、埼玉、栃木などで一気に広がっていて、生息域は1年間で2キロから3キロ拡大するといわれています。名古屋市で発生した場所の10キロ圏内には、桜の名所である名古屋城や山崎川があり、早ければ数年でたどり着いてしまう恐れもあるのです。桜の季節に改めて取材すると“最悪の展開“にこの害虫について改めて取材をすることにした私たちは、まず、去年7月に取材した名古屋市港区の桜のもとへ向かいました。しかし、あったはずの桜の木が見当たりません。実はクビアカツヤカミキリの拡大を防ぐために桜の木は伐採されてしまったのです。その数、実に28本。この切り倒された木を調べたところ、桜に迫る危機がはっきりとわかりました。幹の中にはクビアカツヤカミキリの幼虫がいました(左の写真)。そして右の写真のように、内部が食べつくされています。さらに木の中を詳しく調べると大小おびたただしい数の幼虫が見つかったのです。名古屋市の担当者(なごや生物多様性センター)に話を聞くと、「幼虫は大量すぎて数を数えられないほど見つかった」「これが成虫になっていたらと思うとぞっとする」とのこと。この害虫は一体どこまで広がっているのか。取材してわかったのは、考えていた「最悪のシナリオ」の通りに生息域が広がってしまっていること。取材班がクビアカツヤカミキリが見つかった場所のひとつとしてなごや生物多様性センターの担当者に案内された場所、そこは・・・日本さくら名所100選に選ばれている名古屋市瑞穂区の「山崎川」です。この美しい場所で桜を枯らす恐ろしいカミキリムシの幼虫が見つかっていたのです。蝕まれていた桜は2本。その2本の桜は、500メートルほど離れた場所に位置していました。山崎川沿いにおよそ600本あるという桜並木は大丈夫なのか。名古屋市の担当者に話を聞くと、「このまま何もしないでおけば、名古屋の桜も危ない」とのこと。名古屋市は、4月に発行する市の広報紙に「クビアカツヤカミキリ」に関する情報を載せ、見つけた場合はすぐに通報してほしいと市民に呼びかけ、速やかに駆除したいということです。さらにもう一つ、最悪の展開が・・・この虫は桜だけでなく、桃の木も枯らしてしまう害虫ですが、これまでに名古屋市港区の桃の木からも見つかっていたことが新たにわかりました。この木は1本だけ単独で生えていたものということですが近隣の桃畑に広がったら、農家はひとたまりもありません。この害虫は、老いた桜や桃の木に発生することが多く、幼虫のふんと木くずの混ざった「フラス」と呼ばれるクズが木の根元に出ていたら危険信号です。クズは今の時期から出始め、成虫が出てくるのは6月~8月ごろになるということで、ことし桜の花が咲いていても、幹の中に幼虫がいて一気に枯れてしまう可能性があります。なごや生物多様性センターは、クズや成虫を見つけた場合はすぐに通報してほしいと話しています。<通報先>・なごや生物多様性センター電話番号052-831-8104・またはお住まいの自治体の環境課など