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なぜ緑色?賞金は直前発表?マスターズ92年の歴史と独自ルール

なぜ緑色?賞金は直前発表?マスターズ92年の歴史と独自ルール

ゴルフの4大大会マスターズが4月9日、アメリカ・ジョージア州のオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブで開幕しました。出場選手は、マスターズ委員会から招待された世界各国のツアーランキング上位選手や、全米・全英アマチュアゴルフ選手権の優勝者ら。プロもアマも世界で名を馳せた強豪が集結する「ゴルフの祭典」です。4月9日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、その92年にわたる歴史について、ジャーナリストの北辻利寿さんに伺いました。

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ふたりの創設者の思い

マスターズの歴史は1934年(昭和9年)にさかのぼります。全英オープンや全米オープンに比べると後発ですが、第二次世界大戦よりも前に始まった大会です。

創設したのはふたりの人物です。

ひとりは地元ジョージア州アトランタ出身のゴルファー、ボビー・ジョーンズ。全米オープンや全英オープンなど4大メジャーを制覇した、史上初のグランドスラム達成者です。

もうひとりはジョーンズの友人で実業家のクリフォード・ロバーツ。マスターズは、ゴルフ界に恩返ししたいというふたりの思いから誕生しました。

「敷居が高い」と反対

「マスターズ」という名前にも物語があります。

ロバーツが「名人(マスター)だけが出場できる」という意味を込めて「ザ・マスターズ・トーナメント」という名称を提案しましたが、自らもゴルファーだったジョーンズは「敷居が高すぎる」と反対。

第5回大会までは「オーガスタ・ナショナル・インビテーション」として開催され、第6回から現在の「マスターズ」に改められました。

大会の舞台となるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブは、もともと果樹園の跡地です。木や茂みに覆われた荒地をジョーンズとロバーツが買い取り、ゴルフコースに仕立て上げました。

賞金は最終日直前に発表

マスターズには他のトーナメントにはない独自のルールが数多くあります。コース内への携帯電話の持ち込みが禁止されていることもそのひとつです。

賞金の仕組みも独特で、大会賞金や優勝賞金はあらかじめ決まっていません。大会3日目までの入場券収入などをもとに算出され、最終日の直前に発表される仕組みです。

ちなみに2023年の優勝賞金は324万ドル(日本円で約4億3000万円)。この10年間で2倍になったといいます。

今年の賞金額がいくらになるかも注目ポイントです。

赤から緑へ変わった理由

マスターズの象徴といえば、前年の覇者が新たな優勝者に着せるグリーンジャケットです。この伝統にも由来があります。

ジョーンズが選手時代に全英オープンに出場した際、歓迎パーティーでコースの歴代キャプテンが赤いジャケットを着ていました。

羨ましく思ったジョーンズは「優勝したら進呈する」と言われ、実際にその大会で優勝し、赤いジャケットを手にしました。これがジャケット贈呈の起源とされています。

色が緑になった理由については、ゴルフ場の筋の緑が美しかったからなど諸説あるそうです。

当初はコースメンバー全員が緑のジャケットを着用していましたが、1949年からは優勝者にのみ贈られるようになりました。

このジャケットには厳格なルールがあり、優勝者が持ち出せるのは優勝後の1年間のみ。その後はオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブに返却しなければなりません。

ジャケットはクラブ内で厳重に保管されます。

会員の正体は非公開

マスターズでは観客を「パトロン」と呼びます。支援者・後援者という意味を込めた呼称で、他の大会とは一線を画しています。

クラブの会員についても秘密主義が徹底されており、パトロンが何人いるのか、メンバーが誰なのかは公式には明らかにされていません。

それだけ敷居の高い、権威ある大会といえます。

松山英樹選手優勝の衝撃

グリーンジャケットをまとった歴代の優勝者の中で、日本のファンにとって忘れられないのは5年前、2021年の松山英樹選手です。

日本人としてもアジア人としても初のマスターズ優勝であり、コロナ禍でさまざまな制限がある中での快挙は日本中に明るいニュースを届けました。

宮部は松山選手が優勝した直後、同じスコッティ・キャメロンのパターをすぐに買いに行ったといいます。

6度の栄冠と21歳の衝撃

マスターズ優勝回数の歴代最多記録を持つのは、帝王ジャック・ニクラウスです。

1963年に23歳で初優勝し、大会初の連覇も達成しました。さらに46歳で6度目の優勝を飾り、通算6回の最多記録と大会最年長優勝記録を打ち立てています。

現在も始球式などで見事な姿を見せるニクラウスは、マスターズの歴史を体現する存在といえます。

一方、最年少優勝記録を持つのはタイガー・ウッズです。

1997年に21歳3か月で初優勝し、その後通算5回の優勝を重ねました。先日は残念なニュースもありましたが、ニクラウスの6回に次ぐ記録はゴルフ史に深く刻まれています。

キャディは全員黒人だった

ウッズのマスターズ優勝には、記録を超えた大きな意義がありました。

映画『風と共に去りぬ』の舞台にもなったジョージア州は、非常に保守的な風土を持つ地域です。

かつてゴルフは白人のスポーツとされ、黒人の役割はキャディだとされていました。1983年まではオーガスタのキャディは全員黒人であり、クラブの会員に黒人が加わったのは1990年のことです。

そうした差別の歴史の中で、ウッズの初優勝はゴルフにおける人種の壁を打ち破る出来事となりました。

女人禁制が解けた年

マスターズの差別の歴史は人種にとどまりません。

オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブはかつて女人禁制で、女性の会員が認められたのは2012年のことです。女性団体からの抗議やアメリカ企業における女性リーダーの台頭といった時代の変化を受け、ようやく扉が開かれました。

初の女性会員となったのは、ブッシュ政権で国務長官を務めたコンドリーザ・ライスさん。黒人女性初の国務長官であったライスさんが、オーガスタにおいても歴史を切り開いたのです。

2019年には初の女子公式大会「オーガスタ・ナショナル女子アマチュア」が開催され、日本からは安田祐香選手が出場しています。

歴史と伝統を誇りながらも影の部分を抱えてきたマスターズですが、その歴史は大きく変わってきています。
(minto)
 

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