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保護司殺害に無期懲役判決。弁護士が解説

保護司殺害に無期懲役判決。弁護士が解説

滋賀県大津市で起きた保護司殺害事件。先日の裁判員裁判で無期懲役判決が言い渡されました。3月3日の『CBCラジオ #プラス!』では、弁護士の正木裕美さんが、この裁判の責任能力の判断や、保護司制度の課題について解説しました。聞き手は光山雄一朗アナウンサーです。

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無期懲役の理由は

事件は2年前の5月、滋賀県大津市で発生しました。
保護観察中の男性が面接のため保護司の自宅を訪れ、ナイフやおので複数回襲撃し、殺害したものです。

裁判では、被告に責任能力があったかどうかが最大の争点となりました。
検察側は無期懲役を求刑し、弁護側は精神疾患の影響で責任能力がなかった、あるいは心神耗弱の状態だったと主張。
しかし、裁判所は責任能力を認め、求刑通り無期懲役の判決を言い渡しました。

正木さんはこの裁判について、責任能力が認められる以上、かなり厳しい判決が出ることは予想されたと振り返ります。

正木「責任能力があるとされたら、やっぱりこのような判決はやむを得ないのかなと思います」

無差別に等しい行為

正木さんは今回の犯行について、個人的な恨みに基づくものではなかった点を重く見ます。

仕事がうまくいかなかった不満を背景に、保護司を殺害することで制度そのものに打撃を与えようとした点が問題だと指摘しました。
そのうえで、無差別と変わらないと断じられたほど悪質な事件だったとし、厳しい判決はやむを得ないとの見方を示しました。

ただし、高裁で争われる可能性があり、「これは最終判断ではない」とも述べています。

問われる保護司制度のあり方

保護司制度そのもののあり方も問われていると指摘する光山。

保護司は、刑務所や少年院を出た人など保護観察中の対象者と面談し、生活や仕事の相談に乗り、社会復帰を支える民間ボランティアです。
非常勤の国家公務員ですが報酬はありません。
全国でおよそ4万6000人が活動し、平均年齢は65歳前後と高齢化も進んでいます。

今回の事件を受け、昨年12月には保護司の安全確保策などを盛り込んだ法改正が行なわれました。
正木さんは、自宅で面談を行なうことが多い現状では安全が確保されたわけではないとし、事件後に恐怖を感じている保護司が少なくないと説明しました。

改正では、面接場所の安全確保を国の責務としたほか、人材確保を保護観察所長の責務として明確化。
企業に勤める保護司が活動のために休暇を取得する際、不利益な扱いをしてはならないことも定められ、制度の下支え強化が図られました。

地域全体で更生を支える必要性

光山は、保護観察中の人の更生を「保護司任せ」にしてきた社会のあり方を見直し、地域全体で支える仕組みづくりが必要ではないかと問いかけました。
こども食堂などのボランティア活動に、保護観察中の人と保護司が参加できる環境整備も、その一例として挙げられています。

これに対し正木さんは、「地続きの更生が必要」と強調しました。

正木「刑務所の中と社会を分断するのではなく、受け入れる社会、地域全ての方が受け入れようという体制がないと、更生することは非常に難しい」

こども食堂のような特定の場だけでなく、日常生活の中で受け入れる姿勢を社会全体が持つことが、結果的に再犯防止や更生につながるとの認識を示しました。

今回の事件であり方が問われた保護司制度。
安全確保とともに、更生をどう支えるのかという社会全体の課題が浮き彫りとなりました。
(ランチョンマット先輩)
 

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