中国軍機が自衛隊機にレーダー照射。「ロックオン」状態が最長30分続く
中国軍機が自衛隊の戦闘機に対してレーダー照射を行ないました。攻撃目標を定めるモードで、最長30分にわたって照射が続いたとされています。12月8日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、高市早苗総理の台湾有事をめぐる国会答弁との関連や、偶発的な衝突への懸念について、光山雄一朗アナウンサーとCBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。
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12月6日午後、中国軍機が自衛隊機に対して2回にわたってレーダー照射を行ないました。日本政府はこれを「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為」と判断し、中国側に強く抗議しています。
中国軍機は、攻撃目標を定めるモードでレーダーを使用していた可能性が高いとされています。これは対象に電波を当て続けながら、機体の位置、移動速度、進む方向を把握し、ミサイルなどの照準を合わせるために用いられるものです。
このレーダーが当たっている状態は、いわゆる「ロックオン」と呼ばれます。
問題視される3つのポイント
今回、問題視されているポイントは3つあります。
戦闘機から戦闘機に照射をしていること、照射回数が2回であること、そして照射時間が長時間であることです。1回目はおよそ3分、2回目はおよそ30分でした。
こうした照射を受けた場合、相手から攻撃されるサインとなりえます。「拳銃の引き金に指をかけられたような感じ」であり、国際的にも危険な行為とされています。
偶発的衝突への懸念
この背景には、高市総理が台湾有事を「存立危機事態」と国会で答弁したことへの中国の強い反発があります。これがなければ今回の事態はなかったかもしれませんが、中国側の行為が問題であることは間違いありません。
懸念されるのは戦争の偶発的な発生です。戦争は必ずしも国のリーダーが計画して始まるわけではなく、現場で偶発的に戦闘が始まるケースも歴史上には存在します。
今回の照射が中国側の公式な指示に基づくものか、現場の戦闘機や空母の司令官が独自にやらせたものかでニュアンスは違ってきますが、中国側には日本を脅す意図があったと見られます。
石塚「こういう時にカッとなってやり返すと、それこそ偶発的になっちゃうんで。どうやって冷静に対応するかっていうのが先進国には求められる知恵というか、対応なんでしょうね」
中国側の主張は「無理筋」
高市総理が「冷静かつ毅然と対応する」「極めて残念だ」とコメントする一方、中国側は「日本側が妨害している」と真っ向から反発しています。
しかし、中国側が空母を出し、そこから戦闘機やヘリコプターを発艦させるというのは前例のないことで、自衛隊機がそれを監視するのは当然です。
石塚は、中国側の主張は無理筋であり、わかっていて言っているのだろうと分析しました。
世論調査の数字をどう読むか
JNNの世論調査では、高市総理が台湾有事について「集団的自衛権を行使できる、存立危機事態になりうる」と答弁したことについて、「問題だと思う」が27%、「問題ないと思う」が55%でした。
ただ、どういうことが行なわれているか正確に理解して回答している人は少ないのではないかと石塚は指摘します。存立危機事態の意味がわからないまま、なんとなく「中国けしからん」という感覚で答えているのではないかというのです。
世論調査では若い世代ほど「問題ない」と回答する割合が高いとされています。
石塚「これって下手すると戦争だよ。自衛隊を持っていきますよってことを言ってるわけだから。そうなったらあなたたちは鉄砲持って台湾に行かなきゃいけないかもしれない。それを総理が言ったということをちゃんと理解して、それでも『ありあり』って言ってるのか、『勘弁してよ』って思わないのか」
数字だけを見るのではなく、回答者がどこまで理解しているかを考える必要があります。
(minto)
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