ガルシア退団!ポッカリ開いた大きな穴をどう埋める!? 若手左右の二人が与田ドラゴンズの船出を大きく左右する!
【ドラゴンズライター竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム
青天のへきれき!ガルシア退団!
暦も早12月。ストーブリーグ真っ盛りのプロ野球。移籍先がどこになるのか注目されていた広島・丸佳浩外野手は噂どおり、讀賣ジャイアンツ入りが決定。リーグ三連覇の立役者が移籍するだけに、多くのプロ野球ファンはこの移籍ニュースにさぞかし大きな関心があったに違いない。
しかしドラゴンズファンに限っては丸の移籍話などどうでもよいぐらいの驚きと悲しみを味わったはずだ。
ガルシア投手、突然の退団の報せ
まさに青天のへきれき。シーズン終了後、帰国する際、『ボクにもドラゴンズブルーの血が流れている。何ならここで腕を切ってみようか』とコメントを残し、来季もドラゴンズでプレーすることに支障がないことを見せていただけに、退団ニュースを知った時はかなりの衝撃を受けたものだった。
ガルシアの代わりにきっと森シニアディレクターがお得意のドミニカルートで新外国人投手を探してきてくれるだろう、なんて声も聞こえてくる。しかし単純に今季13勝の勝ち頭を失うのである。
頭数は揃っているものの、計算がなかなかできない現状の投手陣。早くも与田新監督に試練か!?しかし今週のサンドラを見て、少しは安堵する気持ちになれた。
プロ入り初完封を記録するなど、後半戦は安定感溢れるピッチングをみせ、侍JAPANに選出された 笠原祥太郎投手、そして度胸満点のマウンドさばきでドラゴンズ投手陣を何度も救う働きを見せた藤嶋健人投手。来季おおいに飛躍が期待される若竜の二人である。
自信を身につけ、凄みが増した笠原
今季開幕ローテを掴み取った笠原。しかし現実はそう甘いものではなかった。勝星を挙げることなく5月14日に登録抹消。ただ、この二軍落ちが後半戦、先発投手陣の軸となる働きへのきっかけを得る貴重な体験となった。技術的にはなんら変わることなく、メンタル面の変化が笠原をある意味“進化”させたという。
二軍に落ちた最初のゲームで小笠原投手コーチから得た言葉。
『自信満々で投げてみろ!』
この一言で笠原は大きく変わった。もともと“自信”というのは自身が大切にしてきた言葉。それを思い出したことが何より笠原自身を一段上のステージへ押し上げる力となったのだ。
笠原の持ち球はなんといってもチェンジアップ。分かっていても打てない魔球。被打率はなんと脅威の.165!他のピッチャーとは比較にならない球速差がバッターを困惑させているのだ。
そうなると求めたくなるのがストレートの質の高さ。常時140キロ中盤のストレートを投げられるようになれば、まさに鬼に金棒!今季交流戦で対決した西武・菊池雄星投手と互角に渡り合った実績もあるだけに、“雄星超え”も夢ではない話といえる。
『筋トレ、走り込み、投げ込みを徹底し、質の良いストレートに磨き上げたい』
今後の抱負を語った笠原。ガルシアが抜けた大きな穴も、笠原のさらなる成長さえあれば、ほとんどの部分が埋まってしまうのではと思えてしまう。期待は大きい!
投げっぷりで勝負!みなぎる気迫の藤嶋
ルーキーイヤーの昨年、一軍昇格はなく、二軍でさえわずか5試合の登板で終わった藤嶋。
『一軍で1球でも投げること』
今季の目標をそう決め、キャンプから精力的に身体をいじめた。その効果が出たのか、早々と4月に待望の一軍入り。リリーフとして10試合を防御率.161の好結果を残した。
そしてドラゴンズファンなら忘れもしない、6月17日の西武との交流戦。先発松坂登板回避から緊急登板を試合開始15分前に告げられ、本人曰く“なんだか分からないままにマウンドへ上がった”中、6回を2失点に抑える好投をみせ、見事プロ入り初勝利を飾った。それはまさにドラゴンズ2018年10大ニュースのひとつに挙げられる。それだけ価値のある登板だったといえる。
見違えるような活躍を見せるきっかけとなったのは今春キャンプ終了直後のこと。思うように投げられず、打開策として新しいものを取り入れようと動画を見ていた時に見つけた上原浩治投手(今季讀賣在籍)の投球画像。小さいテイクバックから投げる姿はまさに自分と一緒。ピンと来た!思い立ったら吉日。それから何度も見直し、研究に勉めた。同じ振りでストレート、変化球を操る姿を完成形に。バッターがタイミングの取りづらい投球フォームをとうとうモノにしてみせた。
150キロを超える球速を持っているわけではない。相手をキリキリ舞いさせる変化球もない。ましてや上原の投球フォームを真似しただけで勝てるほど甘い世界ではないことは誰もが知るところ。某ドラゴンズOBから藤嶋の一軍で好投する理由を聞いたことがある。
『内角をズバズバ攻めるところだよ』
懐を攻める。できそうでなかなかできない技。それを高卒二年目のピッチャーが恐れずに投げるのだから見上げたものである。それに加え、藤嶋はフォアボールを恐がらない。フォアボールで出塁させるなら、ヒットの方がましと言う。その強気で動じない性格が一軍のマウンドで好結果を残している一番の要因に違いない。
『腕が振れているからストレートが走り、変化球も生きてくる。投げっぷりを失うと自分の良さがなくなる』
打者を打ち取るたびに大声を放ち、身体中から気迫をみなぎらせる藤嶋。その姿はまるで星野仙一を彷彿させる。この男には二年目にして身体の中にドラゴンズブルーの血が流れ始めたようだ。
ガルシアの穴は現有戦力で十分に埋められる!
来季の抱負を聞かれ、“少しでも勝ちたい”と控えめなコメントを残した笠原とは対照に、“笠原さんより勝つ”と負けん気を見せた藤嶋。2016年ドラフト同期の二人が来季先発ローテ争いに名乗りを挙げれば、それに負けてはいられないとばかり、今季不振に喘いだ大野、小笠原そして、ドラフト同期のひとりでもある柳が奮投してくれよう。松坂、吉見、山井のベテラン組もしっかり身体を作ってくるはず。石川翔ら、若手の突き上げが投手陣を活性化させる。ガルシアが抜けても決して悲観することなかれ。彼らが本来の力を出せば、十分に戦える!二カ月後に迫った沖縄キャンプが楽しみでならないぞ!
がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!