ピンチをチャンスに! ドラ1石川昂弥よ、今こそ竜の救世主となれ!
「【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム」
ケガ人続出!早くもピンチの与田ドラゴンズ
6月19日に開幕して約一カ月。無観客試合で始まったペナントレースも先週から5,000人とはいえ、ようやく観客を入れての開催にこぎつけた。球音だけだった野球場にファンの応援という“音”が加わり、選手にはおおいに励みとなったはずだ。
我がドラゴンズも規制緩和とともに、上昇気流に乗って、さあ上位進出!と弾みをつけたいはずだった。がしかし、6月27日、中継ぎで好投を続けていた又吉克樹投手が左わき腹を痛めて登録抹消されてから、堂上直倫内野手、ソイロ・アルモンテ外野手と抜け、右のエース・柳裕也投手までが右わき直筋の筋挫傷で、一軍から姿を消した。チームにとってクリーンナップとローテという投打の主力がラインナップから名前が消え、早くもピンチを迎えた。そこに追い打ちをかけるかのように、開幕から絶好調で打撃ベストテンにも名を連ねていた高橋周平内野手が先週土曜日の広島戦において、左太もも裏肉離れでベンチに下がり、病院での診断では復帰に3週間から1カ月かかる、チームにとってもファンにとっても痛すぎる戦線離脱となった。
ピンチをチャンスに!
ただこの世界、誰かがいなくなれば、その穴を代わりが埋める。ピンチをチャンスに捉え、レギュラーを取りに行く。確かに周平の名前がスコアボードから消えるのは痛い。痛すぎる。しかしこのような状況だからこそ、起用が可能となるケースもある。ドラ1、竜党期待の星・石川昂弥内野手の一軍昇格だ。周平が当面試合に出られそうもないとの情報が流れた途端、ネット界隈で石川昂の起用について意見は二分された。
“今こそドラゴンズを救って!”
“いや、今年一年は二軍でじっくり育成するべき”
そして一軍首脳陣が下した結果は「一軍昇格」。数少ない二軍の試合でもモノの違いを見せていた石川昂のポテンシャルにかけたのだった。サンドラ生放送中にはその日の起用がまだ伝わっていなかったものの、この日のゲストコメンテーター、鉄腕・岩瀬仁紀さんは
「あれだけ期待されている選手なので、やっぱりスタメンで見たいですね。上げるならばすぐ使うはずです」
とコメント。その予感はズバリ的中!7番サードとしてスタメンに名を連ねた。ドラゴンズの高卒新人がスタメンで初出場するのは遡ること30年前。1990年8月20日、ナゴヤ球場で行われた対大洋ホエールズ(現DeNA)戦の種田仁内野手以来となる起用。試合前のインタビューで石川昂は
「周平さんのケガで一軍昇格となった形だったので、こういう時のために二軍で準備してきた。しっかりとこのチャンスをつかめるように今日は全力でがんばりたい」
と、自身の思いを語った。
モノの違いを感じさせた初打席初安打
“プロでの目標は三冠王”そう公言してプロの世界へ飛び込んだ石川昂。彼が入団して以来、サンドラは彼の姿を追い続けた。
“一年目から活躍して新人王を取って、与田監督を胴上げしたい”
ビッグマウスと言われながらも、キャンプ、練習試合、そして二軍戦で実戦を積み重ね、周囲の声を封印させていった。そして開幕一カ月後、周平のケガというアクシデントとはいえ、つかんだ一軍切符。
そして挑んだ初打席。やはりモノが違った。カープ先発・遠藤淳志投手が投じた3球目のチェンジアップを上手く拾い上げ、レフトフェアゾーンギリギリに落ちる二塁打を放ち、最高の形でプロデビューを飾った。その後、3三振を喰らったものの、石川昂にとっては思い出に残る一軍デビューとなったはずだ。
この日の彼の打席を見て、“おっ!”と感じた方も多かったのでは。プロ入り後、打撃フォームをオープンスタンスに変えていたが、この日は以前のスクエアの構えに戻っていたのだ。打てるためにはどうすれば良いか。きっと野球に関しては禅問答を繰り返していることだろう。他チームであるホークス内川聖一内野手にも教えを求めたほど。貪欲な姿勢は買いだ。
常勝チームになるためのカンフル剤に
チーム史上、高卒野手が1年目に初出場をスタメンで飾りヒットを放ったのは1988年4月8日のナゴヤ球場で行われた開幕戦、大洋戦の立浪和義内野手以来で、この時も石川昂同様、3打席目にライト線2ベースヒットを放っている。まさに歴史は繰り返す。後にミスタードラゴンズと称され、長年チームの顔として活躍した立浪さんと同じセンセーショナルなデビューを飾った石川昂。チームの成績が芳しくない中、石川昂の活躍が必ずや状況を打開する一番のカンフル剤となるはずだ。周平が戻ってくるまでとは言わず、打って打って打ちまくり、周平が復帰を焦るぐらいの活躍を是非期待したい!
ファンの立場としてもう一度言う。
ピンチをチャンスに!
そして公言通り、新人王に輝け!昂弥!
この願いを本人が聞けば、こう答えてくれるかな?
“当たり前だがや!”
がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!
(竹内茂喜)