15歳で『熟成ジャンプ』…フィギュア全日本ジュニア優勝の壷井達也 先輩・鈴木明子が認める“質”
『フィギュア王国・愛知』が誇る“超新星”、中京大中京高校1年生の壷井達也選手(15)。11月に行われた全日本ジュニアで見事優勝しました。
彼が幼い頃からその姿を見てきたプロフィギュアスケーターの鈴木明子さんが「ジャンプと滑りがかみ合うオールラウンダー」と評する壷井選手。その強さのヒミツとは…?
課題だった「トリプルアクセル」
壷井選手は中学生の頃から2年連続で全日本選手権に出場。中学生No.1を決める大会では、2位に20点近くの差をつけ、ダントツの優勝を飾っていました。
以前、中学生時代に取材した時には、朝練を行うため朝4時半に愛知県岡崎市の自宅を出発。名古屋市内の練習場・邦和スポーツランドまで、車で1時間かけて通っていました。
そして早朝から1時間半みっちり練習すると、今度は学校へ向かうため、岡崎へ戻ります。
壷井選手:
「車の中ではご飯食べて着替えたらもう着くって感じで。そんなに休めないです」
学業にも全力で取り組み…、夕方から再びリンクへ。大好きなフィギュアスケートに打ち込んでいました。
そんな壷井選手の前に、当時立ちはだかっていた大きな壁が…。
壷井選手:
「トリプルアクセルが一番の課題です」
シニアで世界と戦うためには必要不可欠な技「トリプルアクセル」。しかし一度も飛べたことがなく、壷井選手は苦戦していました。
そこで、彼を助けるべくやって来たのが本田武史さん!
ソルトレイクシティオリンピックでは、見事4位入賞を果たし、日本人として初めて4回転を決めたジャンプの名手です。
早速始まったトレーニング。まずは、本田さん流のトリプルアクセルエクササイズから。
ジャンプし着氷してから、その勢いで3回転。そうして、ジャンプのタイミングや回転のイメージを体に染み込ませていきます。
感覚をつかんだ所で、いざトリプルアクセルに挑戦!……しかし、惜しくも転倒してしまう壷井選手。
本田武史さん:
「いいんじゃない?今。けど、ちょっとだけまだ左の肩がね、開いてる」
元オリンピック選手・本田さんの熱のこもった指導のもと、トリプルアクセルの動きを徹底的に体に叩き込んでいた壷井選手。
壷井選手:
「すごい難しいジャンプだと捉えていたんですけど、今は気楽に考えられるようになりました」
鈴木明子さん「“熟成期間”で質良く」
それから9カ月たった今年11月、高校1年生となって迎えた全日本ジュニア。
羽生結弦選手、宇野昌磨選手など、これまで多くのオリンピック選手たちが優勝を飾ってきた登竜門です。
この舞台で壷井選手が狙うのは、もちろん優勝。ショートプログラム、課題だったトリプルアクセルに挑戦しました。
すると……見事、2点以上の加点が付くトリプルアクセルを成功!
このジャンプに、壷井選手が所属する邦和スポーツランドの先輩でもある、プロフィギュアスケーター・鈴木明子さんは…。
鈴木明子さん:
「習得してから本番で決められるというところ、強かったですね。形も良くなっていて氷に降りたところも素晴らしかったです」
さらにフリーでは、トリプルアクセルからダブルトウループの連続ジャンプに成功!ショート、フリー合わせて3度のトリプルアクセルを決め、見事優勝を果たしました。
壷井選手:
「この順位のまま行けば全日本選手権には行けると思うんですけど、戦うためには4回転が必要になってくると思うので、そこも習得していきたいです。今のところ4回転で練習してたのはサルコウとトウループです。感触はまだまだなんですけど、アクセルも諦めずに頑張り続けたら跳べるようになったので、何があっても諦めないように頑張りたいです」
鈴木明子さん:
「この全日本ジュニアの優勝は大きいですし、何より自信にもつながります。壷井選手は彼が小さい時から同じリンクで一緒に練習していたんですが、『ジャンプと滑りがかみ合うオールラウンダー』なんです。
今のフィギュアスケートのルールは完成度が非常に求められているんですね。そういった意味で、ジャンプだけでなくスピンやステップも出来て、演技力もあってと、時代に合った選手だと思います。
彼はもともと表現が好きだったんですけど、ジャンプではトリプルアクセルをなかなか習得できなくて、遡ればダブルアクセルも、跳べるようになるまでトリプルアクセル以上に時間がかかったんです。でも跳べるようになったら素晴らしいものになって、加点ももらえていますし、“熟成期間”が長いとそれだけ質の良いものが出来てくるということだと思います」
(12月9日(日)午後1時24分放送 CBCテレビ『スポーツLIVE High FIVE!!』より)