愛知・スケート姉妹物語
今回、CBCテレビ『スポーツLIVE High FIVE!!』の 若狭敬一アナウンサーが訪れたのは、邦和スポーツランド。
元五輪代表の鈴木明子さんら、数々の名スケーターを輩出している名門クラブだ。 『aispo!』連動企画第2弾として、フィギュアスケート王国・愛知の出身であり、 幼い頃からこのリンクで育ってきた注目の姉妹スケーターにインタビューを行った。
※平成30年12月3日発行のaispo!記事を再掲しています。
※JGP/ジュニアグランプリシリーズ SP/ショートプログラム FS/フリースケーティング
トップスケーターから小さい子まで、全選手が一緒に行う"邦和名物"スケーティング練習。初めてスケートリンクを訪れた若狭アナは、その壮観な光景に圧倒された。その列を先頭で引っ張るのは、幼少からここ邦和スポーツランドに通う横井ゆは菜選手。彼女は今季の中部フィギュアスケート選手権大会の女子ジュニアで、史上初の5連覇を達成した。今季からジュニアに参戦した中学2年生の妹・きな結選手と共に、今、最も飛躍が期待される姉妹だ。
史上初の5連覇から 世界の表彰台へ
練習を終えた2人が『スポーツLIVE High FIVE!!』特設のキス&クライに登場。インタビューは和やかに始まった。
若狭「中部選手権の5連覇、そしてJGPアルメニア大会3位、おめでとうございます!」
ゆは菜「ありがとうございます! 中部選手権では、私がジュニアに上がってからずっと苦手意識を持っているSPで、ノーミスの演技をできたことが、いちばんの収穫でした。よい練習を積んできた中で、アルメニア大会3位という結果はとても嬉しいですし、大きな自信にもなりました。もっと上を目指していきたいと改めて感じました」
若狭「きな結選手はJGPリトアニア大会で14位。初めてのJGPはいかがでしたか」
きな結「急遽出場が決まったのですが、いい経験になりました。また来年もこの舞台に立ちたいと思いました」
若狭「ゆは菜選手は海外での試合も多いですが、学業との両立は大変ではないですか」
ゆは菜「大変ですが、行ける時はなるべく学校に行くようにしています。火・水曜は朝6時から、木・金曜は8時からクラブの練習があり、終わり次第学校に向かいます。学校が終わるとまた、夜6時半からクラブで練習しています」
勝ち気な姉・ゆは菜 マイペースな妹・きな結
若狭「妹のきな結選手はどんな性格ですか」
ゆは菜「考え方はわりと似た部分あるんですが、やっぱり妹なので要領がいいですね。たまに“チッ”って思う時があります(笑)」
若狭「直してほしいところはありますか」
ゆは菜「話の起承転結をはっきりしてほしいです。本題に入るまでがすごく長いんですよ。もっとテンポよく、面白い話ができるようになってほしいです」
若狭「トーク力を磨いてほしいと(笑)。すごいなと思うところはありますか」
ゆは菜「スケートに関しては習得が早い。今日の練習でもトリプルアクセル(3A)を降りていたんですが、ダブルアクセルと同じような踏切から難なく飛べるのがすごいし、羨ましいです」
若狭「きな結選手にとってゆは菜選手はどんなお姉ちゃんですか」
きな結「いつも怖いです。言い方がキツくて、そこはちょっと直してほしいです」
ゆは菜「ずっとこれで来ているので直せません!(笑)。特に練習の時は、気が抜けてるなと感じたら“ちゃんとして!”とか、結構注意するんですよ。私が練習の大切さに気付いたから言っていることなので、そこは理解してもらいたいです」
きな結「怖い……。直してほしいです」
若狭「お姉ちゃんのこと、好き?嫌い?」
きな結「普通です(笑)」
若狭「普通ですか!(笑)では、どんなところがすごいと思いますか」
きな結「面白いところです。スケートでは表現力。自分の世界をつくっているところがすごいと思います」
ゆは菜「直接言われたことがないんだけど、本当に思ってるのかな……?」
きな結「ちゃんと思っています」
ゆは菜「じゃあ、ありがとうございますと言っておきます(笑)」
全日本ジュニアでの姉妹対決に闘志
若狭「挑戦したい技や曲はありますか」
ゆは菜「“こんな演技もできるんだよ”っていうのを皆さんにお見せしたいので、新しいプログラムをつくる時は、昨シーズンとのギャップを大切にしています。自分の表現したいことをそのまま伝えることが得意なので、ミュージカルなどストーリー性のある曲が好きです。今後はクラシックにも挑戦したいですね」
きな結「今は3Aに挑戦しています。3Aの確率がもっと上がったら、後ろに3回転トウループなども付けたいです」
若狭「憧れているスケーターはいますか」
ゆは菜「ひとりには絞れないですね。最近は同世代や年下の選手が活躍しているので、それぞれのよいところをよく見ます。例えば樋口新葉ちゃんの軽い足捌きとか、坂本花織ちゃんの感動するほど高くて迫力のあるジャンプを自分も飛びたいなと思います。3Aの練習をする時には、妹の飛び方を参考にしたりもします」
若狭「今後の目標を聞かせてください」
ゆは菜「全日本ジュニアで優勝して、世界ジュニアで去年よりよい成績を残したいです。来年シニアで活躍するためには、SPとFS合わせて200点近い点を出さないといけないので、それを目指しています」
きな結「全日本ジュニアに出場して、最終グループに入ることが目標です。納得のいく演技をしてお姉ちゃんに少しでも近づけるようにしたいと思います」
ゆは菜「それを目指して練習してほしいんですけど、まだ追いつかせる気はないので、私ももっと先に進みたいと思います」
若狭「お姉ちゃん、キビシイね」
きな結「キビシイです!」
若狭「お姉ちゃんのこと、好き?嫌い?」
きな結「普通です(笑)」
ゆは菜「(トークが)わかってきたね(笑)」
貫禄の大会5連覇 ジュニア女王へ弾み
2018年9月に開催された中部選手権のジュニアで、ゆは菜選手は総合187.65点で2位に約20点差をつけて圧勝した。11月1~4日に開催された西日本ジュニア選手権では、同じ高校に通う荒木菜那選手との接戦を制して優勝。11月23日からの全日本ジュニア選手権で初の栄冠に挑む。
独特の世界観を持つ姉と勝負どころに強い妹
幼い頃から姉妹を指導する川梅みほコーチは、2人についてこう語った。「ゆは菜ちゃんはユニークな逸材。独特の世界観があり、一歩氷に乗るとスイッチが入って人を惹きつける演技をします。きな結ちゃんは勝負魂があって、ここぞというところで力を発揮できる選手ですね」。
ほどよい距離感が仲良しの秘訣!?
「ベタベタしないし、姉妹で写真を撮ることもあまりない」(ゆは菜)という横井姉妹。今回は特別に貴重なプライベート2ショット写真を母・さゆきさんより拝借! 「面白いこと言ってみんなが笑ってくれるのが嬉しい」というゆは菜選手だが、幼いころから表情豊かでひょうきんなキャラクターだったようだ。性格は違えど、母の目線で撮った写真からは姉妹の絆が伝わってくる。
通年リンクを有する愛知最大級のクラブ
姉妹が通う邦和スポーツランドは、バンクーバー、ソチ五輪代表の鈴木明子さん、世界選手権6位入賞経験を持つ本郷理華選手を育てた名門クラブ。横井姉妹のほか、17年冬季ユニバーシアード代表の日野龍樹選手、15年全日本ジュニアチャンピオンの山本草太選手、18年全国中学校スケート大会優勝の壷井達也選手ら、有望選手を育成している。
取材・文=山田智子
撮影=堀宏之
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