古賀陽子さん海の汚染が世界的な問題となっているプラスチックごみ。最新の研究では、私たち人間の体にも影響が出るといわれています。三重県でプラスチックを買わない・使わない“プラなし生活”をする女性の暮らしに密着しました。“プラなし生活”達人の「普段の買い物」古賀さんの買い物セット三重県多気町の主婦、古賀陽子さん。毎日の買い物で必ず持っていくのが大きな袋です。「米をいれる紙袋、ずっと使いまわし。それからシリコンのバック。ホーローの容器、中が鉄で、ガラスでコーティングされています」(古賀さん)大小合わせて7つの容れ物。量り売りを利用するまずはお米。量り売りをしている店で、用意した紙袋へ。パンによって容器を使い分けるパンの店では、シリコンのバッグと布袋が活躍。大きいパンは布袋、小さいメロンパンなどはシリコンのバッグへそのまま入れてもらいます。魚も、持参したホーローの容器へいれます。精肉店では…古賀さん「ラップもしなくていいです」お店の人「ミンチはビニール袋に入れますか」古賀さん「一緒にいれてもらえば大丈夫です」1か月のプラごみは全国平均”8分の1”3人家族の1か月分名付けて「プラなし生活」を実践する古賀さん。こうした工夫で、3人家族で出すプラごみの量は1か月でこれだけ。全国平均の8分の1です。「買い物ひとつ、選び方ひとつで大きく変わると思います」(古賀さん)きっかけは環境汚染を知ったことプラなし生活を多くの人に知ってもらおうと、インスタグラムやユーチューブ、ホームページも開設。様々な手段で脱プラスチックな暮らし方を広めようとしています。元々は、大手家電メーカーのエンジニアだった古賀さん。約3年前、知り合いの海洋学者を通じてプラスチックによる環境汚染を知り、この取り組みを始めました。「知らないところで自分もマイクロプラスチックを食べたりしているんだろうなって思います。化学物質が使われているので、いま何もないからといって、あまり軽く考えない方がいいのかなと思っています」(古賀さん)マイクロプラスチックが人体に与える影響とはここ数年、世界的な問題となっている捨てられたプラスチックが目に見えないほど細かくなった「マイクロプラスチック」。これが、人間に直接害を及ぼす恐れがあるという研究も。プラスチックは排出されても…「化学物質がたまる」東京農工大学高田秀重教授「“きちんと捨てるから大丈夫”ではない。使う時点で、多少なりとも化学物質が出てくる」こう話すのは、東京農工大学の高田秀重教授。プラスチック製品の多くには、日光による劣化を防ぐための「紫外線吸収剤」や、燃えにくくする「難燃剤」などの化学物質が含まれています。高田教授は、マイクロプラスチックをまず小さなプランクトンに食べさせ、そのプランクトンを魚に食べさせる実験を行いました。「化学物質が吸収されるということがわかってきました。人間が食べる組織の部分に化学物質がたまるということです」(東京農工大学高田秀重教授)プラスチックは体外に排出されても、含まれている化学物質は魚の身の部分に蓄積されていく事が分かったのです。人間がこの魚を食べれば、化学物質を体内に取り込むことになります。「紫外線吸収剤のなかには、女性ホルモンの働きをかく乱し、生殖機能に異常が起こるおそれがあります」(高田秀重教授)提供:早稲田大学大河内博教授さらに、早稲田大学の研究では、東京・新宿の大気中に1立方メートルあたり5個のマイクロプラスチックが漂っていることが判明。これは、ひとり年間2万5000個ものマイクロプラスチックを吸い込んでいる計算になるといいます。「肺に入ってしまうと抜けにくい。繊維状のものは、アスベストのように肺の内側に刺さって、病気を引き起こす可能性もある。さらに、有害な重金属や、発がん性をもっている有機化合物は空気中に浮遊している、そういったものをプラスチックが濃縮している可能性があり、それが肺に入って、体内に溶け出していく可能性があります」(早稲田大学大河内博教授)“脱プラ”をライフスタイルに現実に私たちの体に影響を与えつつあるプラスチック。しかし古賀さんは…「マイナスなことばかり言ってしまうと、“面倒くさい”とか“怖いこと言わないで”というふうに受け取れらてしまうことが多いので“これかっこいいよ”とか、“節約になる”と言ったほうがうまくいくかな」(古賀さん)古賀さんは、ひとつのライフスタイルとして、楽しく取り組める「脱プラスチック」を勧めています。達人がお宅でレクチャー「どこから始める?」ふきんを水で濡らし使うこの日は、三重県津市の主婦、小野智子さんに自宅でできる「プラなし生活」をレクチャーです。まずチェックしたのはキッチン。古賀さん「一般的な食器洗いのスポンジは、洗っていくうちに繊維が小さくちぎれて、流れていってしまいます」小野さん「えー!そうなんですか」古賀さん「下水処理場でろ過はされますが、完全に除去することはできないんです」木の繊維から作られたスポンジポイントは、脱・スポンジとプラ容器の洗剤。古賀さん「私は、綿の糸で編まれたふきんを、水で濡らして使っています」小野さん「けっこうが目が粗いですね」古賀さん「あとはセルロースという木の繊維からできたスポンジで、水にぬらすとふやけて柔らかかくなります」合成洗剤の代わりに使うのは、固形石鹸。固形石鹸は安くて長持ちするので、節約にもつながります。汚れをぼろ布でふき取ってから、洗ってみると…小野さん「泡立つし、洗った後もぬるぬるしないですね」天然素材の“手作りラップ”がポリ袋の代わりに野菜の形にフィットさせることができるまた、野菜を保存するポリ袋は、布に天然素材のミツロウをしみ込ませた「ミツロウラップ」に変更です。洗って何度も使えるうえ、手作りも可能。まんべんなく布の上にミツロウのかけらをおいて、クッキングシートの上からアイロンをかけ、乾かせば完成です。洗濯スペースにもプラスチックがいっぱい細かい粉が飛んでいってしまう古賀さん「外で干しているので劣化して、プラスチックの粉が排出されてしまう。ステンレスの物も手に入りやすいので、変えていくといいかなと思います」カンタン手作り洗剤「できそうな気がしてきた」重曹とクエン酸を1対1でそして、トイレでは…古賀さん「重曹とクエン酸をまぜて洗剤を作っています」プラスチック容器の専用洗剤は使わず、手作り洗剤をDIY。重曹とクエン酸を1対1の割合で混ぜ、お気に入りのアロマオイルを数滴。水をふりかけ、シリコンの型にいれて1日乾かす固形洗剤が完成です。それをトイレにポンと入れれば…泡が出てトイレ用洗剤と変わらずきれいに掃除ができます。小野さん「楽しいことから初めていけばいいんだと、強制的なものではなくて、できそうな気がしてきました」「みんなでやれば大きな力になるので、一人一人がやる、ということが大事だと思います」(古賀陽子さん)発明されて100年以上。今や暮らしに欠かせない素材のプラスチックをなくすことは簡単ではありませんが、まずは身近な暮らしを楽しく見直すことからはじめてみてもいいかもしれません。(2021年2月17日15:49~放送『チャント!』より)