「声は人格の象徴」。津田健次郎さんのAI模倣訴訟で初判断

生成AIで自身の声を無断で模倣した動画が公開されているとして、人気声優の津田健次郎さんがTikTok(ティックトック)の運営会社に動画の削除を求めた裁判で、東京地裁は「人の声は肖像と同様に個人の人格の象徴だ」とする判断を示しました。声の権利の保護をめぐる初の司法判断で、声もパブリシティ権で保護されるという見解を打ち出した形です。10月1日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、この判決が持つ意味を取り上げました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く「あの人じゃん」と分かる声
今回の判決は、声の権利をめぐる大きな前進となりました。宮部和裕アナウンサーがまず注目するのは、前例のない中で津田さんらが権利侵害について声を上げた点です。
津田さんは、声優としてはアニメ『呪術廻戦』の七海建人(ななみけんと)役、俳優としては大河ドラマ『べらぼう』で蔦屋重三郎を支えた滝沢瑣吉(たきざわさきち)役などで知られています。
宮部「声の押し引き、強弱だけで『あ、あの人じゃん』と分かるほどの方が、みなさん勇気をもってという形になりました」
判決によると、動画の発信元は氏名不詳のアカウントです。2024年7月から2025年9月まで、津田さんの声質を模したとされるナレーションを付け、都市伝説や心霊現象、雑学をテーマにした動画を200本近く公開していました。
投稿者は2026年5月にアカウントを削除しています。
「友人の声」という言い分
津田さん側は、類似性の高い音声で閲覧者に混同を生じさせ、それを利用して投稿者が月に50万円から75万円の収益を得続けていたと主張しました。
宮部「個人で楽しむところとはもう別次元の話になってますんでね」
投稿者は、友人の声を生成AIに学習させたと説明していました。宮部は、それでも津田さん本人にとってはたまらないことであり、仲間や、これからの声優、俳優を含むすべての演者、表現者にも影響する問題だと話します。
山本衿奈は、声を聞けば「あの人の声だ」とわかる点に触れます。
山本「その声で発信する内容っていうのは、その人のイメージ付けにもつながってしまいますので」
削除で済む話ではない
投稿者は、声のイメージを逆手に取り、思いもよらない内容の動画を上げていました。
宮部「今は削除したからいい、という問題でも全くないと思います」
判決の骨子は、人の声は肖像と同様に個人の人格の象徴であること、人を引きつける声を無断で使用する行為はパブリシティ権の侵害に当たること、そして動画がすでに削除されているとして津田さん側の請求を棄却したことの3つです。
宮部は、最後の「すでに削除されている」という点が気になるとし、動画が公開される場を運営するプラットフォーマーの役割や、その対応の仕方も大事だと指摘します。
宮部「これまでに月数十万の収益を上げ続けていたわけですからね。インプットする身としても、アウトプットしていく身としても、これは消したからいいだろうということでは全くないなという気もいたします」
「パクる」以上の影響力
山本は「投稿者が得た収益はそのままでいいのか?」と疑問を投げかけました。宮部も、そこが一番残る点だと話します。
宮部「『え?津田さんじゃない?』みたいなことを利用するというのは、単にいわゆるパクる以上の影響力を持っているわけですからね」
宮部は、津田さんに限らず、イメージを想起させる声の持ち主が亡くなった後にどう扱われるのかも将来の大事な論点になるとして、今回の判決の重要性を強調します。
宮部「今、未解決の裁判がある中で、今後この判決がどうなっていくのか。声も商品です。ただ、その保護へ向けての一歩目ということは確かだなという気がいたしました」
(minto)
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