ロシアの地震がなぜ日本に影響?カムチャツカM8.7の津波メカニズム

7月30日、ロシアのカムチャツカ半島付近で発生した巨大地震により、北海道から和歌山県にかけての太平洋沿岸に津波警報が発表され、各地に津波が押し寄せました。7月31日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、名古屋大学減災連携研究センター長の鷺谷威先生に、この地震と津波について詳しく伺いました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴くプレート境界で発生した巨大地震
カムチャツカ半島は、日本列島周辺の日本海溝や千島海溝と同様に、太平洋プレートが北西方向に沈み込んでいる地域です。
今回の地震はプレートの沈み込みに伴って発生した巨大地震であり、メカニズムとしては日本で心配されている南海トラフ地震と同じタイプだそうです。
プレート境界が海底にあり、その境界が断層運動によってずれることで海底が大きく上下します。それに伴って水面が持ち上がったり下がったりし、それが波となって周りに津波が広がっていきます。
通常の波とは異なる津波の特性
風や台風によって起きる通常の波は表面の水の動きだけですが、津波は海底から持ち上げられるため、海水全体が移動する大変大きなエネルギーを伴った波となります。
海の深いところでは波が非常に速く伝わる一方、沿岸部の浅いところではスピードが遅くなります。後ろからどんどん波がやってくるため、沿岸部の浅いところでは波の高さがかなり高くなってしまうのです。
巨大地震の規模と過去の事例
地震の規模はマグニチュード8.7から8.8と推定されています。鷺谷先生によると、今回の地震は「世界でも100年に10個も起きないぐらいの地震」。太平洋全体に津波の影響が広がり、日本列島に顕著な津波が押し寄せてきていたということです。
東日本大震災は、マグニチュード9.0。0.2の違いで地震のエネルギーの規模は約半分になるそうです。それでも今回の地震が、世界的に見ても巨大な地震であることに変わりはありません。
カムチャツカ半島では過去にも大規模な地震が発生しています。一番近いところでは1952年に、ちょうど今回と同じような場所でマグニチュード9.0、東日本大震災クラスの地震があったといわれているそうです。
津波警報への切り替えと防災の教訓
当初、午前8時25分頃に津波注意報が発表されましたが、約1時間後に警報に切り替わりました。
地震が発生した当初は、マグニチュード8.0と推定されました。その後8.7に上がったため、地震の規模は約10倍に。予想される津波の高さも大きく変わり、警報クラスになったそうです。
津波警報が解除されるまでに約11時間を要しました。これは地震の規模が大きかったことで太平洋全体に津波の影響が及び、長い時間にわたって海面が上がったり下がったりを繰り返したためです。
2011年の東日本大震災では、気象庁が最初に出した津波予測が結果的に小さく、逃げ遅れや油断を招いたという教訓があります。
鷺谷先生は、初期の地震情報は速報のため精度が十分ではなく、続報への注意が必要であること、そしてマグニチュード8程度の地震では津波を想定して海岸から避難することの重要性を強調しました。
(minto)
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