21万トンの備蓄米が放出。高騰が続く米の価格は下がるのか?
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米の価格高騰に対処すべく、政府が備蓄米21万トンの放出を決定しました。私たちの生活に欠かせない米ですが、備蓄米の放出によって価格は下がるのでしょうか?2月15日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが備蓄米の放出について解説します。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴くお米がJAに集まっていない?
米の価格高騰が続く中、「流通の円滑化」を目的に政府が備蓄米を放出することが決まりました。
東日本大震災や熊本地震を除くと、備蓄米の放出は初めてとのこと。
異例の決定の理由は米が足りず、価格が上がっているためです。
昨年収穫された米は679万トンで、前年より18万トン多い量でした。
ところが、12月末の時点で集荷業者に集まった米は21万トンも少なかったのです。
大石「おかしくない?収穫量は増えているのに、集まっている米は21万トンも減ってる。どこへ行ったの?」
これが「消えた米騒動」と呼ばれる所以です。
通常の流通ルートでは、農家で収穫された米をJAが買い取り、卸売業者を通じて店頭や外食産業へ流れていきます。
ところが現在、農家で作った米に対し、JAよりも早く農家と交渉する業者が現れ、JAよりも高く買い取る動きが出ているのです。
大石「せっかく買ったお米を溜め込んで、出し渋っていたんですね。なので市場に出回らなかった」
もう一つの理由は昨年の「令和の米騒動」以来、農家と小売の消費者がつながり、直接販売する農家がかなり増えたこと。
そのため、「日本のお米の半分」が集まると言われるJAに米が集まらない、という現象が起きているのです。
大石「他のところに行っている」
一般の米と同様に販売される備蓄米
また、お米の出来がイマイチだったのではないか、という指摘もあります。
収穫された米から弾かれるのが、いわゆる「出来の悪い米」。
通常はそうした米は1割程度ですが、愛知の場合は昨年2割程度もあったそう。
大石「そもそもの収穫量が減ってる。(さらに)一部、今までと違う動きがあったので、米はなかなか出てこない」
そんな中、行われた今回の備蓄米放出。
備蓄米は国内300箇所ある集荷業者の倉庫に分散保管されています。
まず21万トンのうち、最初に15万トンが市場に出回ります。
足りない場合は残り6万トンが追加され、それでも足りなければさらに追加されることになります。
内訳としては、古米にあたる2023年米が5万トン、新米にあたる2024年米が10万トンとなっています。「〇〇〇〇年産」と表示されますが…
大石「『備蓄米』と書かれて売られるわけではありません。一般のお米と同じように売られる。基本的には書かれない」
高騰が続けば「米離れ」の恐れも
気になる価格は業者によって設定されます。
備蓄米が出るとなると、今まで出し渋っていた業者も米を出さざるを得なくなり、価格が下がることも予想されますが…
大石「(農家やJAなどに取材したところ)このくらいの量ではおそらく価格は下がらないだろう、という見方をしている人が多い」
出し渋りや高値をつけることを防ぐべく、「どれだけ販売したか」「いくらで販売したか」を1週間おきに国に報告することが義務づけられました。
農水省のホームページで価格を随時公開することで、「ちゃんと適正価格で販売しているか」を国が監視するというわけです。
一方で「生産者である農家も困っている」と大石。
大石「(農家の本音としては)ある程度、高い方が嬉しいんです。高すぎるとやっぱり売れない。米離れが進むのが一番怖い」
普段の生活に欠かせない米だけに、備蓄米の放出によって適正価格に落ち着くことが望まれます。
(nachtm)
番組紹介
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