損害賠償は難しい?友人に預けた財布が希望額以下で売却された!
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身近な疑問・質問・お悩みを解決するCBCラジオ『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」のコーナー。2月12日の放送では、オークションをしている友人に財布の販売を委託したものの、承諾なく買取店で売られてしまったというリスナーから相談が寄せられました。15万円での販売を依頼した財布が、わずか3万5000円で売却されてしまったAさん。この契約違反にどう対応すればいいのか、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が解説しました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く預けた財布の無断売却
「友人が副業で小物のネット販売を始めました。オークションもしていると聞き、自分の使っていない財布を売ってもらうことにしました。売ったお金で旅行に行きたいので、最初は15万円くらい、売れなかったら12万円くらいでもいいと伝えました」(Aさん)
3か月ほど経った時に財布を返してもらおうと連絡すると、「何の連絡もなかったので買取店で売った」と言われてしまったといいます。売り値はなんと3万5000円。友人は「買取確認書とお金を返す」と言ってきたそうです。
「まさか私の財布を勝手に売ったわけじゃないよね。しかも3万5000円ってどういうこと?」とAさんが問いただすと、友人は「いくつか買取店を回ったけど、どこも同じくらいの値段だった」と返答したとのこと。
さらにAさんが「12万円で売れないなら売る気はなかった」と伝えると、友人から「連絡してこなかった方が悪い」と逆に責められてしまったそうです。
「原先生、私はどうすればよいのでしょうか?」(Aさん)
古物商の許可と契約違反
この状況に北野誠は「推定価格との乖離が激しいですね」と指摘。
まず、友人が代わりにオークションに出品すること自体の法的な問題について質問しました。
原弁護士は「もし報酬をもらってやっているということになると、古物商許可を取らなきゃいけない。報酬をもらうわけじゃなくて、無料で善意でということだと、特に許可はいらない」と説明。
そしてAさんの財布が勝手にお店で売られていた件について「これは『12万以上で売る』という委託契約になるので、相談者さんとその委託者との間の委託契約違反」という見解を示しました。
損害賠償請求は可能か
北野「でも、買取ショップを何軒か回ったら、全部3万5000円ぐらいやったと言われているから。財布の元の値段ってわかんないですよね」
原弁護士「委託契約違反は明らかなので、損害賠償請求が考えられますが、結局、損害とは何かという話になると、3万5000円のものを3万5000円で売っているなら損害はないんですね」
委託契約違反ではありますが、損がない以上は請求ができないということにもなりかねないというのです。
原弁護士「相手が本当に複数社回って、買取確認書までもらっているとすると、損害はないと言われかねないですけど。ただ、往々にしてこういう場合は、『本当に売ってるのか』ということを疑った方がいいですね」
まず本当に買取店で売られたのか、詳しく調査する必要があるということです。
取り戻しへの対応策
北野「売られてる値段の確認は必要ですよね」
原弁護士「必要ですし、最終的には結局、権利がないのに売ったことになるんですね。お店に『権利がない人から買ったんじゃないの』ということを言ってみるのもひとつの手なんですよね」
つまり、店頭価格ではなく、買い取った価格で返却を求めることができるかもしれないということです。
ただし、本当に買取価格の確認書が存在していた場合はどうなるのでしょうか。
原弁護士「そうなるとなかなか難しいので、解決金で示談するぐらいしか方法は正直ないですね、損をこうむってないので」
こうしたトラブルを防ぐため、原弁護士は依頼時に写真を撮り、何を任せたのか記録に残すことが重要だとアドバイスしました。
(minto)
番組紹介
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