子育て中のお母さんを手助け“抱っこ隊” 小さな手伝いが大きな救いに… 約3組に1組が“孤育て” 全国に広がるボランティア活動とは
子育て中のお母さんを「抱っこ」で助ける、「抱っこ隊」というボランティアがあります。小さな手伝いが大きな救いになるという、その活動とは。
生後10か月の元気な双子の赤ちゃん。抱き上げた女性は、母親でも友人でもない初対面の人です。
「ちょっと眠たくなっちゃった~?」
実はこれ、抱っこでお母さんを応援する、その名も「抱っこ隊」というボランティアサービス。

母親は、岡村美沙さん(36)。4歳の長男と双子の赤ちゃん合わせて3人のお母さんです。
(岡村美沙さん)
「夫は仕事が忙しくて、1人の状態が続いていた。子どもとの時間は楽しいので日々楽しんではいるが、家族で買い物に来ている人たちを見ると…(自分は)1人だなと思う」

抱っこ隊の存在に「感謝しかない」
仕事は建築士ですが、今は育児休業中。長男がまだ小さい中、赤ちゃんが2人増えてワンオペ育児で大変な時に知ったのが「抱っこ隊」でした。
(岡村さん)
Q.抱っこ隊の存在は?
「心強いです、感謝しかない」

愛知抱っこ隊のメンバー・中嶋真由美さん(40)。名前の通り、ちょっと手助けがほしいお母さんを訪ね、赤ちゃんを抱っこします。
(愛知抱っこ隊 中嶋真由美さん)
「癒やしですね、この時間は。本当に楽しい。生まれてきてくれて ありがとう。かわいいね、2人とも。健康とお金さえあれば、本当は何人でも産みたい。本当に懐かしい」
中嶋さんも3人の子どもの母親。子どもをあやすのも、お手の物です。

4歳の長男も幸せな時間を独り占め
この日は、久しぶりにショッピングモールへ来ていました。抱っこ隊は、4歳の長男・悠利くんにも幸せなひとときをもたらします。
(悠利くん)「ママがずっと鬼なの!」
(岡村さん)「1・2・3・4 もういいかい?」
中嶋さんが双子を見てくれていることで、お母さんを独り占めです。

(岡村さん)
「下の子が生まれてから、(悠利くんに)かまってあげられてなくて」
実は、こんなことも我慢していました。
(悠利くん)「いつもはママが(双子用の)ベビーカーを押しているから」
(岡村さん)「良かったね!」
お気に入りのカートも独り占め。

久しぶりに買い物を満喫
双子が生まれてから、買い物も難しくなった岡村さん。店内が狭い雑貨店には、大きい双子用のベビーカーは入りません。でもこの日は…
(中嶋さん)「行ってきて、見てるから」
(岡村さん)「ありがとうございます」

他にも…
(岡村さん)「試着室に入れるなんて、久しぶりすぎて」
この1年ほど、ネットでしか買えなかった洋服も、久しぶりに試着することができました。
(岡村さん)「目が届く距離にいてもらえるので安心」

母親が1人で育児… 約3組に1組が“孤育て”
当たり前のことが難しい、赤ちゃんのお母さん。それを応援するのが、抱っこ隊です。
(中嶋さん)
「私も子ども3人毎日ワンオペで育てて、5分だけ 一瞬だけでもいいから、誰か抱っこしてくれないかなと度々思った。あの時の私みたいなお母さんがいるなら寄り添いたい」

核家族が増える一方で、地域のつながりは薄くなる中、母親が孤立して1人で育児を抱え込んでしまうことは“孤育て”とも呼ばれ、問題になっています。
こども家庭庁が、子育て中の家庭に聞き取りをした結果、孤立感を感じている世帯は3割以上にのぼりました。約3組に1組が、“孤育て”をしている実態が。

「温かいラーメンを伸びる前に食べたい」
抱っこ隊を頼む母親の依頼には、本当にささやかなものも。
(呼び出し音)「ピピピーピピピー」
(愛知抱っこ隊 星野紋子さん)「私 見ているので」
(谷口明日佳さん)「すぐ帰ってきます」
(星野さん)「ゆっくりでいいです、こしょうもかけてきてください」
この日依頼したのは、名古屋市中川区の谷口明日佳さん(28)。生後4か月の赤ちゃんの母親です。願いは「温かいラーメンを伸びる前に食べたい」。ただそれだけです。

(谷口さん)
「ベルが鳴った時に片手で持って、片手で(ベビーカーを)引いて、(ラーメンを)こぼしたら怖いからやめとこうとなって、ずっと行けていない」
(星野さん)「(ラーメン食べるの)半年ぶりよママ」
(谷口さん)「緊張する、おいしい~」
(星野さん)「念願のラーメンよ」

この日担当していたのは、星野紋子さん(50)。
(星野さん)
「かわいすぎますね。自分が子育ての時に余裕はなかったので、それを取り戻す時間になっている」
「愛知抱っこ隊」活動のきっかけは?
星野さんは、「愛知抱っこ隊」の設立者でもあります。
(星野さん)
「私は子育ての時めちゃくちゃしんどかった。世の中から、自分と子どもだけ分離されたみたいな。本当に苦しんでいて孤独を感じているんだったら、数時間だけでもママが笑顔になってくれたら、多分子どもも幸せ。そこにつながっていけば、うれしい」

他の県ですでに活動していた「抱っこ隊」の存在を知り、ことし2月に愛知でもこの取り組みを開始。参加者はわずか5か月で、230人を超えています。SNSのグループに参加することで受けられるこのサービスは、もちろん無料。今や全国33都道府県に広がるボランティア活動です。
赤ちゃんだけでなく“お母さんのために”抱っこをする、草の根の活動。ほんのちょっとのサポートで、お母さんたちがいかに救われるのかを教えてくれます。





