憲伸激白!苦手はリリーフ陣が万全過ぎた阪神戦!“JFKが投げる前の江草クンとか橋本クンが良かったのよ!”
CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」燃えドラch
川上・吉見のすべらない話シリーズ プロ初話前編
今回は中日ドラゴンズのWエース対談!川上憲伸さんと吉見一起さんの特別編!
テーマは「エース論」!
ドラゴンズ85年の歴史の中で先発投手陣の大黒柱となって獅子奮迅の活躍を見せた川上憲伸さん、そして吉見一起さんのふたり。
燃えドラchでは初の組み合わせとなるだけにどんなトークが飛び出すのか楽しみです!
お金払ってもいいから勝ち星が欲しい!
1997年、ドラフト1位で明治大学から入団。
初年度から14勝を挙げ、実質エース格に登り詰めた川上憲伸さん。
2005年、同じくドラフト1位で入団、3年目の2008年シーズンから頭角を現し、エースの座に駆け上がった吉見一起さん。
エースとしてマウンドに上がり続けたふたりにとって、エースとは何か?
そしてどう考えていたのか?
まずはよく対戦したであろうエース同士との投げ合いについて。
ふたりはどんな思いで投げていたのだろうか、聞いてみた?
川上『普通に相手ピッチャーがエースと言わずに良いピッチャーだと、そんなに点を取れないイメージがあるから、いつも以上に点はやれんなという気持ちだったかな』
吉見『自分が打たれない限りはロースコアなんで』
川上さんの全盛期、対戦相手のエースピッチャーといえば、巨人・上原投手、そして阪神・井川投手との投げ合いが思い出される。
川上『相手がエース級だからと言って、いつもと違う気持ちで投げているって意識はなかったなぁ?ヨシはどうだった?』
吉見『ボクはエースというか良いピッチャーと投げ合う方が楽しかったですかね』
楽しかった!吉見さんらしい、まさにポジティブシンキング!
川上『楽しめるっていいなぁ』
吉見『内心はイヤなんですよ。勝てる確率も減りますし。それをモチベーションに変えられていた自分がいたので。広島前田くんなんかは楽しみでしたね』
2012年のナゴヤドームで行われたカープとの開幕戦。
相手ピッチャーはマエケン。
2年ぶりに開幕投手を務めた吉見さんは8回3安打2失点と好投!
2年前に開幕戦で敗れたマエケンとの再戦でリベンジに成功した忘れられない試合となった。
川上『打席に入って相手ピッチャーの気合が入っている球なんか見たら、“やべぇな”とか思うよな(笑)。ボクはね、ヨシと違って勝ちたいから。できればちょっと格落ちのピッチャーが投げてくれた方がうれしかったけど(笑)。だけどやられるんだよね、そういう時。逆にね、油断しちゃうから』
吉見『やっぱ勝ってナンボなんですよね。ゲーム作っても勝てなかったら、何の意味で投げていたんだろうと思いますし』
川上『逆に5、6点取られても勝ったら、人前ではすごく悲しい顔して、“もうこんな勝ちなんかいらないです!恥ずかしいです!勝ちを他のピッチャーにあげたいです!”とか言うけど、心の中では“よし!次頑張れる!”と思ったし(笑)。先発やったら、50万円と引き換えに勝ち下さい!と言いたいぐらい(笑)』
吉見『ホンマそうですよ!もっと払ってもいいですよ!(笑)』
川上『買いたいよな、お金で』
吉見『買えるんだったら(笑)』
気が抜けない!リリーフ万全の阪神
吉見『現役時代、誰と投げるのがイヤでした?』
川上『当時はタイガース戦の下柳さんかな』
あれっ!?タメ年のライバル、巨人・上原投手ではなく、そして阪神でも井川投手でなく下柳投手?
川上『井川くん以外、他の先発ピッチャーたちは5イニングぐらいしか投げなかったのね』
吉見『あっ!リリーフがしっかりしているからということですね!』
当時の阪神は、7回以降に登板するJ・ウィリアムス投手、藤川投手、久保田投手の頭文字を取ったJFKトリオが勝利の方程式となる継投を見せ、先発は6回までリードして投げ切れば勝ちがつく、そんなゲームを阪神は得意としていた。
ある意味、常勝時代のドラゴンズも似たパターンで先発から浅尾、岩瀬とつなぐ勝利の鉄板リレーは相手チームを震え上がらせていたわけで、両チームは似た者同士であったともいえる。
川上『でもねJFKが投げる前の5、6回に投げるピッチャーがまた厄介だったのよ。江草くんとか橋本くんとかいいんだわ!勝ち逃げされるのがイヤなんよ。1点で!』
中日、阪神ともにゲーム終盤を迎えた時点で、1点でもリードした方が圧倒的有利であり、1点でもリードされていれば絶望的なほど不利な状況であった!
川上『あの時の戦いだけは“先取点あげたらいかん”という戦いになっていたから、初回からどんなピンチ作ってもいいから、球数使ってもいいから0点でいこうと思っていたね』
相手である井川、下柳投手ともに、さぞかし川上さんと同様で、絶対先に点は与えないと初回から気を使っていたはず。
それだけ当時の落合中日、対する岡田阪神は気の抜けない戦いを繰り広げていた記憶が強い。
入団当時の評判は“150キロを投げる本格派”
興味ある話として、エースになった実感はいつ頃だったのか?
その質問に吉見さんはサラリと答えてくれた。
吉見『ボクはあまりエースという自覚がなかったんです』。
当時、先発陣を形成していた中田賢一投手、チェン・ウェイン投手(ともに現阪神)という活きの良い速い球を投げるスターターの方がたしかに見栄えは良かったともいえる。しかし安定感といえば吉見さんがダントツであったことは言うまでもない。
吉見『ボク自身、速いボールが投げられなかったので、そんなに目立たない投球だったかもしれない。ただ大事な試合、例えば開幕戦だったり、CSや日本シリーズなど、初戦は自分が投げなくちゃいけないと自覚していました』
もともとアマチュア時代、150キロを記録した速球派として評判高かった吉見さん。
吉見『ボクが入団した時に、川上さんがまだアメリカ行かれる前、周りのピッチャー見て、“なんじゃ!この世界は!”と思いましたもん(笑)』
吉見さんが入団した当時、二軍からの報告を一軍にいた川上さんは聞いていたという。
川上『ファーム情報とか聞くわけよ。ドラ1のヨシくんはどうなのって。“150キロ近く出そうと思うと、コントロールが荒れます。今、彼はちょっとセーブしてコントロール重視でやってますので、意外とスピードは出ていないですよ”と聞いていた。でもそっちの方がいいよと周りでは話していたんだよ』
吉見『そうだったんですか!』
川上『ほんとチェンと一緒のタイミングで成長し始めたよね』
吉見さん、チェン投手の左右二枚エースが川上さんが抜けた大きな穴をしっかり埋め、期待以上の働きを見せてくれたことはドラゴンズファンであれば知らない人はいないはず。
ドラゴンズ投手陣レベルは12球団一
あらためて吉見さんは川上さんに向かって、入団当時の心境を本音で語った。
吉見『レベルが高過ぎましたね』
川上『ドラゴンズってレベル高かったのかな?』
吉見『入団する時は投手陣のレベルは12球団一だと思っていましたね。当時は川上さん、朝倉さん、中田さん、そしてドミンゴとか』
川上『色んなバリエーションがいたよね。コントロールの良いピッチャーとゴッツイ球遅いけど、上手いピッチングする人、球速いけど、ひとつ狂うと2回ぐらいでKOされるヤツ、試合前に違うモノと戦っている人とかね』
コントロールの良いピッチャー?川上さん自身のことかな。
ゴッツイ球遅いけど、上手いピッチングする人?舌出しながら投げる大柄のサウスポー?
球速いけど、ひとつ狂うと2回ぐらいでKOされる“ヤツ”?ヤツというからには後輩だろうね。A倉、N田ご両人あたりを指すのでしょうか?(笑)
川上『ドミンゴとか、いつも森さんと戦っていたよな!何しとんねん!ドミンゴ!追いかけっこして!って(笑)。“オレはもう野球やんねぇーんだよ!”とか、言っていたの知らん?サロンでグローブ投げつけていたりと、普段はアイツ優しいのに、試合前になったら急にスイッチが入るのか知らんけど(苦笑)』
当時の森さんとドミンゴはまさにトムとジェリー。
仲良くケンカ(?)していたのでしょう!(笑)
後編へ続く
(竹内茂喜)