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「ヒットなしでサヨナラ勝ち?」「ドラ戦士が甲子園の阪神ファンを沸かせたサヨナラ?」…川上憲伸、立浪和義、谷繁元信、井端弘和の忘れられないサヨナラゲーム

「ヒットなしでサヨナラ勝ち?」「ドラ戦士が甲子園の阪神ファンを沸かせたサヨナラ?」…川上憲伸、立浪和義、谷繁元信、井端弘和の忘れられないサヨナラゲーム

「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム

6.19待ち侘びたプロ野球開幕が見えてきた。緊急事態宣言も全面的に解除される見通しとなり、一歩一歩かもしれないが着実に進んでいる。ナゴヤドームでの練習風景に懐かしさを覚えるくらいに色々な変化があり、時間が経ってしまったが、またこうして始まっていく感覚は色々なことをひとまず置いておけるような純粋な嬉しさがある。そんな気持ちと共に、忘れかけていた熱狂を忘れられないシーンと共に思い出してみたい。

今週のサンドラでは、百戦錬磨の4人が挙げた忘れられないサヨナラゲームを特集。選んだシーンで各OBの個性が出ていてなかなか面白い。それでは、それぞれのサヨナラゲームを振り返る。

井端弘和 忘れられないサヨナラゲーム 2004年5月30日 VSタイガース

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

荒木雅博のヒット1本のドラゴンズ打線に対し、7本のタイガース打線も無得点。0-0で迎えた9回裏。四球で出た井端を一塁において福留孝介がバントし、送球時にエラーで2、3塁とチャンスを広げる。そして、代打大西崇之が放ったライトフライが定位置より少し浅い位置で捕球されたが、タッチアップ。9回の攻撃中にヒットの1本も放つことなく勝利を収めるという、大変珍しい勝利をサヨナラで収めた試合だった。

<サヨナラでホームインするまでを回想して…>
「定位置より若干前のような気がしたので、高代コーチに『行っていいですか?行っていいですか?』とやり取りしていましたよね。(ホームインした後は)ネクストバッターと抱き合っていたと思いますけど、後から打った選手を追いかけていくので、だいぶ遅れていますけど(笑)」

<試合を振り返って…>
「僕たちは塁に出るのが仕事だと思っていたので、打つのも嬉しいけどホームに帰ってくるのも嬉しいなと思います。こんなヒットの本数でも勝てるんだと驚いた。」

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

<サンドラMEMO>
井端の記憶では勝利の瞬間打った大西氏の元に行くのが遅れたというが、検証の結果、ホームイン後に一目散に大西氏の元へ。到着はなんと3人目の早さでたどり着いていたという。

<立浪和義氏のコメント>
「(ヒット1本でも勝てるもの?)滅多にはないですよね。まずピッチャーが絶対0点に抑えてくれるというのが条件で。2004年はピッチャーが良かったので、1点差勝ちも多かった」

谷繁元信 忘れられないサヨナラゲーム 2011年9月24日 VSスワローズ

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

このシーズンは東日本大震災の影響で、試合開始から3時間半を超えて新しい延長回には入らないという特別ルールを採用していた。この日、9回裏開始が試合開始から3時間18分後、この回が最後の攻撃と思われた。ヤクルトは守護神・林昌勇が登板。谷繁はこれまでずっとインサイドを攻められていて、それを意識すると外のストレートで討ち取られるという形が多かった。谷繁の狙いは初球のインコース。見事に狙い通りに仕留め、荒木の好走塁でホームをものにして試合を決めた。与えられたルールの中で最大限の効果が発揮できるように捕手・谷繁として考え尽くされた狙いと、ランナー荒木はそこを汲んで、スタート良く無駄のない走塁技術を発揮し、2つがガッチリ噛み合ったサヨナラゲームだった。

<打席での状況を回想して…>
「そのうち狙ってやろうと思っているところに来たんですよね。すごくいいボールだったんですけど狙っていた分、打ち返せて。(打った瞬間は)『落ちてくれ!』と。タイミングが微妙だな?と思ったが、それでもセカンドランナーは荒木だ!という。」

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

<サヨナラを決めた後…>
「みんなが来るのを逃げながら待っていました。すぐグチャグチャになっちゃうと(喜びが)一瞬で終わってしまうので。だからこれはサヨナラを打った人の技術!笑(この試合は)優勝にすごく関わっている試合だったので、あの1本というのは忘れられないですね。」

<サンドラMEMO>
この試合を含むカードで、1位のスワローズに3連勝し4.5ゲーム差から1.5ゲーム差に縮めた。そしてこの試合の勢いそのままに勝利を重ねて、球団史上初のセ・リーグ連覇を達成することとなる。

川上憲伸 忘れられないサヨナラゲーム 2004年5月8日 VSタイガース

「サンデードラゴンズ」より川上憲伸さん(C)CBCテレビ

「これほどサヨナラホームランを打たれてスッキリした試合はなかったですよ。」
中5日で先発登板した川上は、立ち上がりに苦しみながらも粘りのピッチングを見せ、8回まで無失点。しかし味方打線もタイガース・藪恵壹に押さえ込まれていて、0-0のまま9回裏へ。4番金本に打席が回る。川上自身フォークボールはあまり得意ではないが、対戦が多いので一応投げておかなければと思って投じた。これまでの力投も虚しくそのフォークは浮いてしまい、左中間スタンドに打球は飛び込んでいった。

<サヨナラを決められた後…>
「大盛り上がりですよ甲子園が。だから、僕いいことしたんじゃないかと誇らしく感じて。それがちょっといけなかったですね。「打たんほうがあかんのやろー!」と思いましたからね笑」

「サンデードラゴンズ」より川上憲伸さん(C)CBCテレビ

<サンドラMEMO>
「(サヨナラゲームの)3日くらい前に家のマンションの階段で足首を捻挫したんですよ、ここだけの話。誰にも言えなくて、試合まであと2、3日なのに、今更言えんなと。一か八かで試合に出た。それが、(投球した時の足の)着地もなんか優しくなって、コントロールも良くなったんすね。調子良かったんすよ。」

<立浪和義のサヨナラ負けの記憶…>
「金沢の球場で、自分のサヨナラエラーで負けたという記憶があるんですが、しばらくもうどこにも出たくない気持ちになります。」
立浪氏のような勝負強く、気持ちの切り替えができる選手でさえも引きずるサヨナラ負け、むしろいいことをしたと思い込める川上氏の強靭なメンタルは誰にも敵わない。

立浪和義 忘れられないサヨナラゲーム 1995年6月11日 VS巨人

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

序盤から相手にリードを許す試合展開。1-4のビハインドで迎えた8回、立浪のヒットからドラゴンズ打線が繋がると、仁村徹の内野安打で追いつく。そして同点で迎えた9回裏1塁にランナーを置いてバッター立浪が4球目を仕留めて、打球は右中間スタンドへ。まだ素朴な顔立ちのドアラと勝利に沸き立つナインに出迎えられた立浪のプロ初のサヨナラホームランだった。

<サヨナラホームランを打った感触は…>
「良かったですね。ランナーを進めようと思って引っ張りにいってるんですね。それがたまたまホームランになったんですけれども、綺麗にバットが上から出て。自分で言うのもなんですけど、素晴らしいですね笑」

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

<サンドラMEMO>
平成に入ってナゴヤ球場でのサヨナラ安打数は1位(6本)、サヨナラ満塁本塁打数は1位タイ(2本)、通算サヨナラ安打数はチーム最多(13本)と球界全体でも歴代7位と圧倒的な勝負強さを誇っている。その秘訣は、自分で決めてやろうとして力むと上体に力が入り、いい結果が出ない。できるだけ下(下半身)を踏ん張って、上(上半身)は力を抜く感じで臨んでいたと言う。

<サンドラMEMOその2>
立浪氏は必ず試合前にバナナを食べていた。食べ過ぎると集中力が出ないので、極力バナナだけにしていた。あまり満腹にならないようにというのと、栄養バランスの観点から、故・村田トレーナーに勧められて食べていた。1日1本打てるようにという願掛けの意味もあった。

4人のサヨナラゲームを振り返って…

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

井端氏が「ヒットなしでサヨナラ勝ちをおさめた試合」を語る嬉々とした表情を見ると、あの試合において、派手な何もかもが削ぎ落とされ、野球で勝つことの本質を煮詰めたような面白さが改めて蘇った。一見地味な勝ち方だったなで済まされるようなことが、美しく飾られた満塁のホームランと肩を並べて興奮させてくれるところが野球の醍醐味だと思う。またプロ野球がこうして開幕することで、新たな感動が生まれる日々をもう少しだけ待とう。

澤村桃

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