“宛名のない手紙”を投函するポスト 伝えられない“あなたの思い”を空に届けます 三重・津
三重県津市にある「和奏カフェ」、店には郵便ポスト!
中には、差出人や宛先のないハガキや手紙ばかり、一体このポストは?
(だいじこファミリー代表 あん子さん)
「(人に)伝えられない思いを受け取るポストで、“だいじこポスト”と言います」
市民団体「だいじこファミリー」代表のあん子さん。
母親に「あなたは大事な子だよ」と育てられたことから、この団体名にしました。
3年前から団体のメンバーが営むカフェに、このポストを設置しました。
活動のきっかけは?
(あん子さん)
「私が病気をした時に手紙を書くことで、心を整理して前向きになれた経験があって」
あん子さんは19年前に乳がんを患い、その時“誰にも言えない不安”を手紙にしたため、1人の看護師に受けとってもらいました。
すると、話を聞いてもらえたことで気分が晴れ、前向きになれたといいます。
思いを伝えることは大事。
あん子さんは、手紙やハガキを毎年8月まで保管し、かわりに三重県津市の「津観音」で焚き上げを行い、天に思いを届けてきました。
最近はコロナ禍で、文面にも変化が出てきていると言います。
『コロナで会えなくなって2年近くになるね、早く会いたいね』
『不要不急の外出は“なるべく自粛するように”との国からのお達し。
何だか行き場所、居場所がなくなってきたなあ』
(あん子さん)
「コロナが収まったあと『自分はこうしたい』など、夢とか希望を書かれる方が多いと思います」
近所に住む20代の友人2人組は、ポストのことを初めて知りました。
(客)「(家族で)1日1回みんなで面白く笑えればいいんじゃないか」
「久々に字を書いたかも。家族と行きたいって言ってたので、ピューロランドに」
これまでに届いたメッセージは500以上。
この日、カフェでハガキを書くのは70代の女性。
母親を病気でなくし、存命中にもっと話を聞いてあげるべきだったとの後悔が…。
(客)「謝らなきゃと思って、いつもお墓の前で謝ってます。涙が出てきます…」
偶然目にした「だいじ子ポスト」に初めて投函しました。
あん子さんは、学校や病院などからも依頼があれば、ポストに見立てたカバンやリュックを背負い、自ら受け取りに行くこともあるとのこと。
(あん子さん)
「手紙を書いている時間は“自分と向き合える時間”だと思う。思いを書いて、自分の気持ちと向き合う時間を持っていただけたらと思う。それは、きっとあすへの活力になるのではないかな」
#チャント #宛先のない手紙を出すポスト #だいじこポスト
2021年11月22日放送 CBCテレビ「チャント!」より