「SALE」も…“闇ワクチン”ネットで横行 犯罪に巻き込まれる危険性も
日本では17日から、医療従事者にコロナワクチンの接種が始まる予定ですが、インターネットの裏世界では正規のルートを経ていない「闇ワクチン」の取引をもちかけるサイトが横行しています。
闇ワクチンの「売人」に直接コンタクトを取り、その実態を追いました。
横行する“闇ワクチン”「セットで半額」も
「COVID-19ワクチンと書かれています」
「ファイザー、モデルナ…これは治療薬ですね、治療薬もほとんど手に入らないものなので」
「ステロイド王」を名乗るこちらのサイト。
新型コロナのワクチンを写真付きで販売しています。
1回の接種あたり、日本でも正式に承認されたファイザー製はおよそ4000円。
EUで承認されたモデルナ製はおよそ3000円で売られています。
さらに、ロシア製のワクチンは1000回分をまとめて買うとセールで半額に。
1回あたり約400円と格安です。
見た目は普通のショッピングサイト しかし…
「それっぽいと言えばそれっぽく書かれていますよね」
こう話すのは、政府関係機関のセキュリティーアドバイザーも勤める三輪信雄さん。
新型コロナのワクチンを闇で取引するサイトを見つけました。
記者「カートに入れたらどうなる?」
三輪さん「普通にカートに入ります」
購入画面に進むと、一般的な通販サイトと同じように住所や氏名などの入力が求められ、最終的に暗号資産ビットコインでの支払いを要求されます。
「(闇ワクチンを注文して)水だったらまだしも、劇物だったらとんでもないことになる」(情報セキュリティー会社「S&J」三輪信雄 社長)
まさに「無法地帯」ダークウェブとは
このウェブサイトは、一見普通のサイトに見えますが、「ダークウェブ」とよばれる闇のサイトです。
「ダークウェブ」には「グーグル」や「ヤフー」といった一般的な検索サイトからはたどり着くことができず、アクセスには特別なソフトが必要です。
そこでは…
「通常のインターネットでは手に入れられないものが売られています。拳銃や麻薬、偽造したクレジットカードとか」(三輪さん)
ライフルに拳銃のほか、大麻などの違法薬物の売買が平然と行われていて、まさに「無法地帯」。
ここで、コロナワクチンをうたった商品の取引が始まっているのです。
“科学者”名乗るグループも
ダークウェブ上の別のサイト。
運営しているのは、中国の武漢ウイルス研究所の科学者を名乗るグループで、ワクチンの売買をもちかけていました。
『武漢ウイルス研究所の科学者はワクチンや情報を漏らすことはできないが、我々はワクチンを世界に送ることに成功した』と記載されています。
「どこで製造されたとか、中国製とも書かれていないです」(三輪さん)
ワクチンの金額をたずねると、1回の接種分あたり、やはり暗号資産を約7000円分送るよう返信があったといいます。
「法律で守られていない世界ですので、一方的にまずはお金払わなければいけない。実際に振り込んでも送ってくる保障はほぼありません」(三輪さん)
売人に接触「100パーセント本物」「48時間以内に届ける」
三輪さんの協力を得て、さらに取材を進めると…
記者「このIDを入力してみますと…出てきましたね。おそらくイギリスの人」
正規のルートを経ていない「闇のワクチン」を取引する「売人」にたどり着きました。
モデルナ製のワクチンだといいますが…
記者「まずは、ワクチンが本物か尋ねてみたいと思います」
問い合わせると、わずか2分後。
記者「返事がきました。100%本物だと。欲しい量などを聞かれていますが、ちょっと返信を返さないと、クエスチョンマークを送ってきます。返信を催促してくる感じです」
日本への配送が可能か尋ねると…
『もちろん。48時間以内に日本に届けられる』(“売人”からのメッセージ)
ワクチンをどうやって手に入れたのかたずねると…
『私たちはファイザーやバイオンテックの製薬会社の医師と取引がある』(“売人”からのメッセージ)
一般のインターネットにも「危険」が
こうした「闇ワクチン」は日本国内でも既に流通がはじまっている可能性が出ています。
「“コロナのワクチンあるけど、どう?”と言われた。中国の方から闇ワクチンが入ってきていると」
関西地方で会社を経営する佐藤さん(仮名)。先月、国内で闇ワクチンの勧誘を受けました。
「10万円で接種できると言われました。“中国人のバイヤーに会わせる、同意書を書いて現金を払って日にちを決めて打つ”と説明されました」(仮名・佐藤さん)
「裏ルート」で広がりつつある「闇ワクチン」。
ワクチンの需要が高まる中、誰でもアクセスできる一般のサイトでも出回る可能性があると、専門家の三輪さんは指摘します。
「“あなたは優先的な権利を買えます”とか、ショートメッセージやツイッターで誘われることは十分に予想されます。そういうものに近づかない、利用しないことに尽きます。非常に危険です」(情報セキュリティー会社「S&J」三輪信雄 社長)
「闇ワクチン」については厚生労働省が詐欺の可能性を指摘しています。
「闇のサイト」「ダークウェブ」は、特殊なアプリを使えばパソコンやスマートフォンで誰でも閲覧できてしまいますが、気づかぬうちに個人情報を盗まれたり、危険なサイトに誘導されて犯罪に巻き込まれたりする恐れがありますので、興味本位で利用することは絶対に避けてください。
(2021年2月15日 15:49~放送『チャント!』より)