「急に政府とかの一言で…」受験や部活等“振り回され続ける高3” 緊急リモート座談会でホンネ爆発
【6人の高校3年生がホンネ爆発】
新型コロナウイルスの感染拡大で、すっかり変わってしまった高校生活…。
大会は軒並み中止に追い込まれ、突如降って湧いた、9月入学議論。しかし、そこに当事者達の姿は見えません。
そこで今回、東海3県の高校に通う3年生がリモートで集結。不安だらけの休校生活から受験の悩み、そして大人への不満まで高校3年生のホンネが爆発です。
この座談会のため、初めてリモートで顔を合わせたのは6人。愛知県立津島高校の陸上部・こゆきさんと、ハンドボール部・しょうくん、岐阜県立岐阜商業高校・国際コミュニケーション科のさきさん、岐阜女子高校・バスケ部のゆずはさん、名古屋国際高校・茶道部のななかさん、そして三重県立四日市中央工業高校・サッカー部のゆうまくんです。
教育社会学者で名古屋大学大学院の内田良准教授とともに、座談会スタートです。
【休校期間中も授業の動画配信が…】
まずは約3カ月にわたって続いた『臨時休校』について。名古屋国際高校・ななかさんは休校中も規則正しい生活を送っていたようで…。
名古屋国際・ななかさん:
「学校でオンライン授業が始まったので、制服を毎日着て、ほとんど学校に行ってるのと変わらない状態でした」
内田准教授:
「それは朝から晩まで、1限から6限まで全部オンラインであるんですか?」
名古屋国際・ななかさん:
「そうですね。通常通りの時間割りで進みます」
何と体育の授業まで、完全にオンラインで行っていた名古屋国際高校。また、座談会メンバーの中では、さきさんの通う県岐商と、ゆうまくんの通う四中工でも毎日複数の授業がオンラインで行われました。
津島・こゆきさん:
「津島高校では授業ごとに動画を出されて、それを見ます。1日1個出されるとは限らず、まとめて出される時もあります。(配信のため)生でのやりとりは出来ないです」
岐阜女子・ゆずはさん:
「岐阜女子も配信で、オンライン授業はうらやましい所もあるんですけど、インターネット環境が通っていない人のことを考えると、配信の方がいいのかなと思います」
内田准教授:
「ゆずはさん、教育学部に来て欲しいくらい、しっかりした考えをお持ちですね。教育はみんなに同じものを提供しなきゃいけない。これが一番大事な使命なんです」
【いいことばかりじゃなかったオンライン授業】
文部科学省によると全国の公立の学校で、休校中に授業の動画配信を行っていたのは10%。双方向でやりとりができるオンライン指導はわずか5%しかありませんでした。しかし、オンライン授業もいいことばかりではないようで…。
名古屋国際・ななかさん:
「やっぱり発言がしづらいです。対面してるとワイワイしていて出来るんですけど、音声をミュートにして画面に顔が並んでいると、気軽に出来ないような雰囲気ではあります。いちいちキーボードで打たなきゃいけませんし」
一方、動画配信を見て勉強をしたという津島高校のしょうくんが困ったこととは…?
津島・しょうくん:
「自分でやって6、7割まで理解できても、どうしても分からない所があって。質問ができないと、詰まって勉強の進みが悪くなるということはありました」
内田准教授:
「質問はやっぱりできないですか、今のところ、やる方法はないですか?」
津島・しょうくん:
「先生に携帯電話が渡されているんですけど…(電話での質問は)利用しづらいですね」
【勉強のリズムが乱れるケースも…】
さらにスポーツ強豪校ならではのホンネも…。
岐阜女子・ゆずはさん:
「普段からバスケ部ばっかりで、今まで学校でしか勉強をすることがなくて。自分で勉強することに慣れていなくて、学校と同じようには出来ていないと思います」
四中工・ゆうまくん:
「テスト前になるといつもより頑張って勉強すると思うんですけど、テストが無くなって自分の勉強のペースが落ちてしまってるんじゃないかと」
【3ヶ月ぶりの学校再開に6人が抱く不安】
そして、いよいよ3か月ぶりに学校が再開。6人全員がそれぞれ不安を抱えていました。
県岐商・さきさん:
「通学に公共交通機関を使う人が多くて、“密”になりやすい所は感染が心配です」
津島・こゆきさん:
「入試に対応するための応用をやっていくのに、休校の3カ月で時間がだいぶ削られちゃって。一方で、入試に間に合わせるために授業進度がかなり上がると思うので、もし分からない所が出てきたら、ついていけなくなっちゃうのではないかと思っています」
失われた3か月をどう取り戻すのか、また夏休み短縮だけで受験に間に合うのか…。
【政府の制度変更に振り回される高校3年生】
そもそも今の高校3年生はセンター試験が廃止され「大学入学共通テスト」に移行する初めての学年。しかし、当事者の頭越しで受験制度は何度も変更され、コロナの前から振り回されてばかりだったのです。
津島・こゆきさん:
「ちゃんと対策してきた時期もあったのに、急に政府とかの一言で『やめます』って言われて、自分達も対策をやめないといけないし、それで動揺している部分も大きいと思います」
内田准教授:
「3年分そのまま入試で出されたら、皆さん本当に大変だと思うんです。例えば、この3カ月間授業をやれなかった分、試験範囲を狭めるという策も考えられますよね」
コロナの影響はスポーツの強豪校にも…。
四中工・ゆうまくん:
「そこの高校に行く理由が『スポーツ』という人もいると思うんですけど、そのために入学したのに目標としている大会が無くなったら、自分たちの3年間って…。出し切って終わるのと、無くなってしまって終わるのとでは全然違います。悔いだけは残したくないです」
【時代に翻弄されても6人が抱く特別な思い】
コロナによって失われるかもしれない自分たちの夢。青春の全てをかけてきたからこそ、特別な思いがあります。
岐阜女子・ゆずはさん:
「こういう状況で、我慢をしないといけないんですけど、高校生最後っていうのもあるし、人生の中で大事な所だと思うので、試合や大会をやりたいなという思いはすごくあります」
内田准教授:
「僕自身が教育ですごく大事なテーマの一つだと思っているのは『持続可能性』です。学びも高校で終わるのでなく大学まで、そしてもっと20代30代まで続けていく。そういった意味では『3年間で終わっちゃう』と思ってるから試合が無くなるとがっくり来るわけですね。『みんな、もっと続けていこうよ』という空気が広がっていくように、私達大人も準備をしていきたいと思っています」
何度も翻弄され続けてきた高校3年生。だからこそ、この危機を乗り越えた先に待つ未来が輝かしいことを願います。