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左官職人・挾土秀平(はさど・しゅうへい)が作る五輪会場の壁

左官職人・挾土秀平(はさど・しゅうへい)が作る五輪会場の壁
“土のソムリエ”挾土 秀平氏に密着

今回、密着したのは・・・・

今月17日、「岐阜県内を走る東京五輪の聖火ランナーの一人」と発表された、岐阜県高山市の左官職人・挾土秀平(はさど・しゅうへい)さん(1962年生まれ)です。
3年前の大河ドラマ「真田丸」のオープニングを飾った土壁の題字でも脚光を浴びました。近づきがたいほどのオーラのある“土のソムリエ”。
大石キャスターは2年ぶりの再会を果たします!
いま、東京オリンピックのとある競技会場の土壁づくりに取り組んでいる挾土さんに会うため、名古屋を飛び出しました!

改修工事中の馬事公苑に潜入!

そこは、皇室とのゆかりも大変に深い世田谷区の“馬事公苑”(ばじこうえん)。
1964年の東京オリンピックでも馬術競技の会場となりましたが、開園は、1940年のこと。

野球は“甲子園”ラグビーは“花園”馬術は“馬事公苑”

住宅街に囲まれたおよそ18ヘクタールの広大な緑の敷地に、馬場や厩舎が揃う“馬術競技の殿堂“とも言うべき場所です。

完全リニューアルは2022年の“馬術競技の殿堂”

実は、馬事公苑は2年前から改修工事がスタート。
来年の東京オリンピック・パラリンピックでは馬術競技会場となり、収容人数およそ1万人。急ピッチで工事は進んでいます。今回、特別に撮影が許されました!!

大石「相当広い!野球できるぐらいありますね~」

工事関係者「オリンピックの際には世界各国から超VIPと呼ばれるような皇族の方々、王族の方々が来られるという想定もしておりまして、日本の皇族の方々もご来園いただけるのではないかと思います」

実は、今年10月に来日したイギリスのアン王女も、馬事公苑を視察。
“土のソムリエ”は、ここでどんな壁を作っているのでしょうか?
その時!!

大石「挾土さんだ!ご無沙汰です!」

大石「お!挾土さんだ!どうもご無沙汰しております」
挾土「なんですか?これ」
大石「2年ぶりですよ!」
挾土「テレビではいつも見てるよ」

挾土さん「自分史上最大サイズの屋内の壁」

さっそく、世界のVIPも訪れるであろうメインの建物の2階に案内してもらいました!
そこは、馬場が目前にある広々とした空間が・・
そして、大石キャスターの目に飛び込んできたのは、挾土さんが屋内で作る壁としては「自分史上最大だ!」と言う土壁。幅はなんと、約45メートル!

挾土「まず、この壁をやったんですよ」
大石「あ!ずっと向こうまであるんですけど、全面ですか?」
挾土「まだずっと続くんですよ!これ目地がなくて1枚なんで、すごい難しいんですよ」
大石「間近に来るとよくわかりますけど、ここから向こうまで全部一直線なんです」

挾土さんをはじめ、8人の職人が10日間て仕上げた巨大な土壁。こだわりは、切れ目のない仕立てです。中でも・・・

車輪&蹄鉄&ブドウの葉のレリーフ

挾土「これ粘土細工から作ったんですよ、馬術なので馬車の車輪と、蹄鉄と、ブドウの葉っぱが連結している」
大石「確かにどこにも切れ目を感じないです。壁一面が左官仕上げ。この中央には繊細な挟土ワールド!」

壁の中央を飾るレリーフ部分は、挾土さんが1か月かけて製作したもの。
大事なアクセントです。

VIPを迎える“馬と草原”をイメージした土壁

そして、“挾土さんの土の世界”は、建物の1階のここにも…

挾土「これ芝生。馬が駆け回る草原をイメージしているわけ」
大石「草原が風で少し揺れているような…」
挾土「そうそう揺れてる。風のような」

土を使って緑の芝生を表現するという大胆な発想です!

一番大掛かりな製作作業が・・

更に案内されたのが、建物3階のエレベーター前の空間。
壁にこれから土を乗せていきますが、ポイントは何か?と言うと・・・

挾土「桜が散る壁をやるわけ」
大石「桜が散る壁?」
挾土「(今年)天皇陛下が即位をされて黄櫨染(こうろぜん)を着ていたでしょ?あの黄櫨染に桜を散らそうかと・・・」
大石「即位礼正殿の儀の時にそれこそ天皇陛下がいつも特別な時にお召しになる着物ですよね」

天皇陛下の装束をイメージした土壁に向かう“土のソムリエ”

ことし10月に行われた即位礼正殿の儀。
儀式の中で天皇陛下が着用されたのが黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)。
重要な儀式で天皇陛下だけが着用できる淡く赤みがかった茶色の装束です。
その色を土壁に再現し、そこに桜の花びらが舞うイメージです。

花びらの配置を決めると、一発勝負!

大石「えー!1枚1枚?これはなんで作ってあるんですか?」
挾土「漆喰でほら」
大石「本当だ!でもこうやって見ると桜の花びらのように見えますよ、とってもリアル」
挾土「これを壁塗ってから埋め込んでいく。表面には俺の指紋がちょっとついてる」
大石「ついてる~ここに。ほら指紋がついてる」
挾土「どういうふうに入れるかは、現場目線だね」
大石「現場目線・・・」
挾土「そう、これ今日の一発勝負!だから怖いんだって・・・」

漆喰の桜の花びらには手作りの証が・・・

壁の表面に埋め込む桜の花びら。この段階の映像を公開できるのは、手前味噌ながら・・・信頼関係だと思っています。

大石「飛騨高山の挾土さんの活躍は嬉しい!」

今回の取材の最後、2人が交わした言葉は・・・

大石「東京オリンピックの時に、世界のVIPが集まるようなこの場所を東海地方=飛騨高山の挟土さんが手掛けているというのが僕は嬉しいんですよ」
挾土「うーん・・・あまり意識はしていないけど俺の人生にそんなことがあったんかという感じでね、そういう1ページにはなりますよね。左官っていうのは背景。だから、やったという自己満足ですね。それを振りかざす気は全くない。それと、自分の名前はないほうがいい。名前がなくて『あの壁いいよな』って言われたいよね・・・」
大石「挟土さん、現場じゃ全くひっそりしていませんけどね!!」
挾土&大石「ははは(笑)」

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