すき焼き体験が外国人に人気!家族で楽しめる田舎体験民宿“日本一のふるさと村” が海外でも大注目のワケ
三重県の山里にある宿が、田舎の生活を体験できるということで人気を集めています。周りに気がねなく過ごせるため子ども連れの家族にも人気なのですが、あることがきっかけで海外からも注目されることになりました。宿泊施設「日本一のふるさと村」に密着しました。
家族で楽しめる“田舎体験”ができる里山の宿
海と山の自然に恵まれた町、三重県・大紀町には、農山漁村の民家に泊まって、その地域ならではの生活文化を体験できる宿“体験民宿”があります。
三重県には現在84軒、大紀町には19軒と、大紀町は体験民宿が県内で最も多い地域なのです。その中で最初に開業した体験民宿が「日本一のふるさと村」です。
運営しているのは、笑顔が素敵な女将さん、瀬古由起子さん(74歳)と、ユニークな村長の瀬古悦生さん(73歳)夫妻です。
もともと名古屋に住んでいましたが、両親の介護をきっかけに悦男さんの故郷・大紀町に戻り、10年前民宿を始めました。
(日本一のふるさと村・女将・瀬古由起子さん)
「ここはお客さんに来てもらえる特別なものがなかった。民宿をやろうとしたときに。ここにしかないものを作ってみようと、“日本一を目指しています”という意味」
宿泊は、古民家タイプ、和洋モダンタイプ、別館の全3棟あり一組一棟貸し。古民家には和室2部屋とベッドルームがあり、その隣にある一棟には、広々としたフローリングの洋室とソファースペース、さらに和室が。家一軒まるごとという別館の部屋は、和室に洋室、全5部屋と大人数の利用におすすめです。
3棟の宿泊料金は同じで素泊まりもでき、キッチンがあるので自炊も可能。他人を気にすることなく過ごせると家族での利用も多いそうです。
(日本一のふるさと村・女将・瀬古由起子さん)
「ゆったりできるというか、ホッとできるというか。そういう意味では街とは全然違うシチュエーションがある」
懐かしい“釜戸ご飯”に感動
宿の一番の魅力は、様々な体験ができること。秋にはふるさと村の畑で、さつまいも掘り体験、パンや石釜ピザ作り体験、郷土料理を作る体験など10種類以上の体験が楽しめます。
中でも人気なのは、薪を割ってみたり、火吹竹(ひふきだけ)という道具で火力を調節したりする、古民家にある昔ながらの釜戸を使った“釜戸炊きご飯体験”。
(日本一のふるさと村・村長・瀬古悦生さん)
「子どもたちが一番喜ぶのは、これで(釜戸)で火をこんなふうに。(火吹竹で)火を吹くのが一番喜ぶ」
体験を楽しんだら温泉もおすすめ。宿から車で20分ほどの阿曽温泉は小学校の木造校舎を改修してできた温泉です。ノスタルジックな雰囲気の中入る温泉も非日常感が味わえます。
夕食は女将さんの手作り料理。日替わりのおかずが2品、鮎の塩焼きなど。10月は郷土料理の「へか煮」が味わえます。
海外のお客さんもうなるすき焼きの味
オープン当時、年間宿泊客数は100人未満でしたが、田舎暮らし体験が好評になり、2013年以降は300~400人に。その3分の1が外国人で、大紀町の特産品でもある松阪牛のすき焼き体験が人気だと言います。
(日本一のふるさと村・女将・瀬古由起子さん)
「アメリカでYouTuberの方が紹介してくれて、この前もアメリカからいらっしゃいました。すき焼きを食べに。そしたら、その方から『由起子さんアメリカで結構有名ですよ、すき焼きで』と言われた」
2年前に、地域の活性化協議会が町のPRのために、チャンネル登録者数413万人のアメリカ人の有名YouTuberを大紀町に招待。
ふるさと村の松阪牛のすき焼き体験をYouTubeにアップしたところ、すき焼き体験目当ての外国人客が続々とやって来るようになりました。
コロナ休業を乗り越えた女将さんの挑戦は
しかしそんな中、コロナ禍でお客さんが激減し、やむを得ず2年間休業になってしまいました。そこで、女将さんは新たな挑戦として「ふるさと便」を始めました。
(日本一のふるさと村・女将・瀬古由起子さん)
「特に都市部の皆さんに、700件くらい無料のふるさと便を送ったんです。そしたらいっぱい『うれしくて涙が出た』という人たちがいらっしゃって。『有料でもいいから欲しい』という人たちがたくさんいた」
野菜や果物、手作りの加工品などを詰め合わせたふるさと便は、多い月で約50件の注文が入るようになり、意図せずしたことが思わぬ収入源に。
宿の仕事を協力しているスタッフと共にコロナ禍を乗り切り、2022年5月に営業を再開。予約も徐々に入るようになりました。
(日本一のふるさと村・女将(おかみ)・瀬古由起子さん)
「自分のふるさとのように感じてもらって『おかえりなさい』って言えるような場所にできるといいですね」
CBCテレビ「チャント!」10月28日放送より