笑顔さわやかアナが岐阜・白川村平瀬の『すったて鍋』を調査! 飛騨牛にも感動!“全国鍋グランプリ”で優勝の愛されフード
その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている!その町で生まれ、町に根づく愛されフード。CBCアナウンサー2年目の松本道弥アナが全力で調査します。
今回は、『岐阜県白川村』にある温泉郷『平瀬地区』の『すったて鍋』です。名前からは見当もつかない謎の鍋ですが、平瀬の方々に調査をすると、「毎食、食べたい」と熱弁する人も。“すったて”は大豆をすったものだそうで、豆乳のように白いスープが特徴の鍋料理。具材は地元の野菜などで、「味噌汁」と表現する人もいました。
訪れたのは、平瀬地区唯一の喫茶店で地元の憩いの場となっている、喫茶『おお松』。「おいしくな~れ、おいしくな~れ」と唱えながら、『すったて鍋』を作ってくれたお母さんが店主。大きなお椀で出された鍋料理は、確かに味噌汁のよう。松本アナが白いスープを一口いただくと、「豆の甘みがそのままギュッとしぼり出されている感じ」と大豆のおいしさを実感します。
『すったて鍋』のベースは、自家製のこうじ味噌。まず、すり鉢ですって滑らかにし、かつお出汁と合わせ、味噌汁を作ります。そこに、大豆をすり潰して半固形状にした“すったて”を入れて、茹でた野菜と飛騨牛を加えたのが『すったて鍋』。この日の野菜は、店主の畑で採れた大根とにんじんと小松菜です。
おいしさの秘訣は、“鍋料理でありながら絶対に沸騰させない”こと。大豆たんぱく質は熱しすぎるとザラザラした食感になるため、グツグツ煮込むのはNG。だから、あえて“お椀”で提供しているのです。神戸出身の松本アナは、初めての飛騨牛の味にも感動しました。
“すったて”そのものは、昔は各家庭で採れた大豆で作っていたとか。 大豆を煮てから、何度も水を替えて丁寧に薄皮を取り除き、石臼でゆっくりとすり潰していきます。傷みが早いため、翌日には食べられなくなるそうで、とても手間のかかる食材だとか。昭和に入った頃からは、地元の豆腐店が製造を担っていたという話も。昔は山菜の白あえや、味噌汁に“すったて”と刻んだネギを入れただけの“すったて汁”をよく食べたそう。この汁の歴史は古く、白川村の中でも平瀬地区を含む南部で愛された郷土食といわれ、店主の祖母が生きた明治時代には、既に地元に根づいていたといわれています。
この伝統食を絶やすまいと、地元の有志が集まり、作り上げたのが『すったて鍋』。2014年の“ニッポン全国鍋グランプリ”で初出場ながら見事優勝し、村外に知られるきっかけとなりました。ところが、コロナ禍の影響や後継者問題で平瀬地区唯一の豆腐店が閉店し、“すったて”自体が途絶えてしまう危機に。しかし、それを救ったのは地元の若者たち。“すったて”作りを継承し、最近では“すったて”を使ったレシピも次々と考案しているそうです。さらに、地元の蕎麦店によって『すったて鍋』を進化させた“すったてつけ蕎麦”も誕生!
“すったて”を引き継いだ若者たち。そして、その“すったて”で大切に鍋を作り続ける喫茶店のお母さんがいてこその愛されフードでした。
(12月9日(金) CBCテレビ「チャント!」より)