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第320回(8/19) 認知症

ゲンキスチューデント:滝裕可里
ゲンキリサーチャー:レッド吉田
ドクター:朝田隆

認知症はこれまで、一度なったら二度と元に戻れないとされてきましたが、近年認知症の予備軍であれば治療が可能な事が分かってきました。そこで今回は、あきらめてはいけない「初期の認知障害」。その治療法の最前線を探ります。

治る可能性がある!認知症予備軍「MCI」

認知症になると治りませんが、認知症の予備軍なら元に戻ると言われています。認知症の予備軍は、正式には「軽度認知障害(MCI)」と言います。認知症には大きく3つのタイプがありますが、MCIは、主に、認知症の半数を占めるアルツハイマー型認知症の予備軍のこと。予備軍とは、認知症の傾向があっても日常生活に支障がない事を言います。

〈MCIの主な症状〉
・少し前の事でもよく忘れ、何度も同じ確認を繰り返す
・数週間前の大きな出来事を忘れてしまう事がある
・「ながら仕事」が難しくなる

アルツハイマー型認知症は、アミロイド βと呼ばれる老廃物が蓄積する事で脳が萎縮する認知障害です。予備軍の場合は、アミロイドβの増加とともに認知機能が低下していきます。MCIと判定されると、1年で12%。4年後には半数近くが認知症になると言われています。だからこそ早めに気付き、適切な処置を行う事が大切です。

軽度認知障害「MCI」克服のカギ

認知症予備軍から元に戻った人は「リバーター」と呼ばれています。リバーターはいかにして、MCIの状態から戻ったのか?

・キツめの筋トレ
私たちが身体を動かす際には、脳の指令が運動神経を通して筋肉に伝えられます。そして筋肉が動くと、その刺激は感覚神経を通して脳へと送りかえされています。しかし、MCIの人は、この感覚神経の機能が衰えていることが多く、痛みや疲れを感じにくいと言われています。感覚神経の機能回復を目的とした筋トレ。強めに負荷をかけ、足や腕などひとつひとつの筋肉にしっかり意識を集中させて行うのがポイントだそうです。

感覚神経の状態がわかる簡単チェック法

MCIの兆候でもある感覚神経の衰え。それを簡単にチェックできる方法をご紹介します。

〈感覚神経の状態を調べる簡単チェック法〉
・「ス」「マ」「ヌ」の文字をランダムに6回背中に書いてもらう
・背中に書かれた文字を当てる
形が似ている文字を背中に描き、それを正確に認識できるかどうかを試します。6回のうち、間違いが3回以上あると要注意。感覚神経が衰えているかもしれません。

もの忘れと認知症の違いについて

50〜60代でもの忘れが増えてくるのは、加齢によるものです。ただし、「エピソード記憶」と言われる体験した事がスッポリ抜け落ちてしまうようなものは要注意です。

〈もの忘れと認知症の違い〉
「もの忘れ」
・何を取りに来たのか思い出せない
・昨日の夜何を食べたか思い出せない

「認知症」
・何をしようとしたのか思い出せない
・食べた事を忘れている

MCIを予防・改善

通常、人は脳の神経細胞の半分程度しか使っていないと言われています。そこで、これまで使っていなかった予備脳を活性化させ、衰えた認知機能を補う事ができます。番組で紹介したリバーターの山本さんがMCI再発防止のため、実際に行なっているのが下記の7つの習慣です。

〈MCI再発防止のための7つの習慣〉
・筋トレ
・楽器を弾く(音楽療法)
・絵を描く(芸術療法)
・料理をする
・睡眠を十分とる
・頭の体操をする
・しっかり歯磨きをする

歯周病になると、菌が血管や細胞を伝って脳にいき、認知症の悪化につながる可能性があると言われています。MCIの予防・改善のため、1日4回(朝・昼・晩・寝る前)の歯磨きが推奨されています。